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片魂の王と転生少女  作者: 夢小物
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騒がしい夜会

 第36章


 世界学の試験を何とか合格し、休暇前の面倒な夜会に参加する為の準備は整った。


 最近、ノムシルたちは、魔石布を使い靴やバックを制作してくれていたが、夜会に向けてパニエを注文した。パニエは、ドレスの中に着用し、色々な魔法陣を覚えさせる事が出来る。


 ドレスは、最高の布で出来た王室御用達の物で、国王陛下がご用意して下さり、そのドレスを無碍には出来なかった為に、メゾンドオリザボシ帝国の社交界では珍しい形の、ふっくらドレスを着用する事になった。


 「お嬢様、ドレスの下にこのような物をお召しになって、重くないのですか?」

 「魔力持ちには軽く感じるはずよ、モンスールも着てみる?」


 試しにモンスールも制服の下に着用したが、体調に変化はなく、ただ、スカートが膨らむだけだった。


 「ねぇ、大丈夫でしょ?」

 「はい、少し、涼しく感じます」

 「それはね、会場は少し暑いの、熱気があると言えばそうでしょうけど、この季節なのに、なぜか暑いのよ‥‥」


 「そうなのですね、ご一緒できないので心配です」

 「大丈夫よ、今年は、モモホラ様がエスコートして下さる。陛下は、休暇前は、他国の視察に向かわれるでしょ?」


 (まぁ、視察と言う回避に思えますけどね‥‥他国ってどこよ?)


◇◇◇◇◇◇


 夜会当日、モモホラ様にエスコートされ会場に到着すると、スペイン様にエスコートされたソーラー嬢が待っている。


 「お待ちしておりました。パール様、ご一緒させて頂いてよろしいでしょうか?」

 「はい、会場内でルリーシャさんともお約束していますが、ご一緒でよろしいでしょうか?」

 「はい、ありがとうございます。パール様、今日のドレスも素晴らしいですけど?陛下からのプレゼントですか?」

 「はい、去年も送って頂きましたが、今年もご用意して下さりました」

 「良くお似合いです」


 少し進むと、ルリーシャ嬢が、一人で待っている。

 「ごきげんよう、お一人ですか?」

 「はい、来年は弟が入学してきますので、今日はひとりの夜会を楽しみにしてきました」

 「もしかして‥‥弟さんは、やんちゃな方なのですか?」

 「いいえ、すべてにそつがなく、何を考えているのかわからないタイプで、パール様に紹介したくない人物です」


 (ルリーシャ嬢、そこまではっきりと、弟さんの情報を流すのはどうなのでしょうか?)


 「まぁ、それは大変ですね」

 「来年、ご入学でしたら、ファルセット様と同じですね」

 「来年の研究室への入所は、厳しい戦いになりそうですね‥‥」

 「パール様は、早期の卒業は考えていらっしゃいますか?」

 「いいえ、まったく、公園事業もありますが、やはりこの国に関しての勉強量が足りていませんので、結婚前まで、沢山の知識を詰め込みたいと思っています」


 5人で歓談していると、今年は、ここのアカデミーの校長でもあり、魔法塔当主ラオネル‥ズッキクル公爵が舞台に登場した。両サイドは魔法塔の魔法使いに達に守られながらの登場である。


 「珍しいですね。魔法塔の当主が夜会に参加するのは‥‥、それに、魔術師たちも‥‥」


 去年は、ポリアンナ公爵が舞台に立ち、パールに罠を仕掛けて来た。今年はラオネル魔法塔当主が現れると言う事は、五大公爵家の持ち回りなのか?などと思っていると、会場内の電気が薄暗くなり、舞台に乗っている魔術師たちが魔法陣を展開して、会場内に発掘された遺跡を移りだした。


 (なんと!!プロジェクションマッピングで、遺跡の中を紹介して今後の成長予測までも映りだした)


 「すご~~い」会場内はどよめき、この「すご~~い」の言葉しか聞こえてこない。パールの映像技術とは全然違う、これが魔法塔の力だと、ここにいるすべての学生に印象を与えた。


 (実に大人気ない!!それに、モモホラ様の門兼邸宅までもが写り出してあり、最新版だ)


 遺跡のプロジェクションマッピングの後、夜空に変わり大きな花火から小さな花に変化して魔術師たちの仕事は終了し、ラオネル校長が話し出した。


 「え~~、現在、メゾンドオリザボシ帝国の王都で発見された遺跡には、無限の可能性がある事が、学生の皆さんにも理解して頂けましたか?今後の遺跡の調査では多くの発見があるでしょう。そこで、我がアカデミーも全面的にこの遺跡調査に協力して行く所存です。学生の皆さんはその事を念頭に置き、学びを加速させて下さい」


 「はい!!」


 その後は、それぞれの表彰式が行われ、モモホラ様も何故だが表彰され、パールは1番最後に表彰台に登り、ラオネル校長から小さな置物を手渡された。


 「パール嬢は、遺跡について何かお考えはございますか?」と、今年も舞台上で質問される。


 「いいえ、わたくしは現場に立ち入っていませんので、今の映像に大変、驚いています」

 「遺跡は、キナグリ公爵家にお願いしたようですが、陛下より魔法塔も力になってくれと頼まれました。何かございましたら、魔法塔へ何なりとお申し付けください」


 「ありがとうございます。大変心強いです」


 パールがラオネル校長の挑発に乗らないには訳があって、今日のドレスの下の魔法陣を知られたくない為で、なるべく近くに居たくない。部屋に戻ってからもう一度、あのプロジェクションマッピングを見直したい。しかし、この時の問題はそのような事ではない、ラオネル校長がアカデミーでも、全面的に遺跡の調査に乗り出すと宣言し、壇上で魔法塔も協力するとパールに約束した。


 これは大変まずい状況で、舞台から降りると、大勢の学生に囲まれ始めた。ナイト役のモモホラ様は役に立たずに行方不明で、そんな中、ドレスは大活躍で、多くの飲み物は跳ね返り、手渡されたコップは、そのままお盆にもどして、パールが繰り返した言葉は、


 『危ないですよ、わたくしは、フラグメール国皇族として身を守る魔法陣が備わっています』と、何度も忠告したにも関わらず、体格のいい男子学生が、近づきすぎて飛ばされた。


 その瞬間、会場内は落ち着きを取り戻し、安易にパールに近づく学生がいなくなり、静かに道が出来た。そのような状況で手を差し伸べてくれたのは、ルリーシャ嬢だった。


 「パール様、少しバルコニーで休憩を取りましょう」

 「ええ、そうですね。疲れました」


 ルリーシャと一緒にバルコニーへ向かう途中、流石に接触を試みる学生は現れず、ゆっくりと歩きながらバルコニーへ向かう事が出来た。バルコニーへの扉はすでに開けられていて、椅子に腰かけると、飲み物と軽食が運ばれて来た。いつものお手拭きで手を拭いていると、スペインとソーラーも同席の許可を頂きたいと伝えられ、パールは許可を出す。


 スペインは、宰相の息子らしく、使用人に、「他の学生をここに通すな!」と命令している。


 「パール様、大変でしたね?アカデミーの夜会で、このような騒ぎになるとは思いませんでした」と、ソーラーは同情した面持ちで話す。


 「ええ、わたくしも、あのように学生に囲まれるとは、思ってもいませんでした」

 「皆さん、遺跡の映像を見ておかしくなったのでしょうか?」とルリーシャは話す。

 「さぁ、わかりかねますが、遺跡と公園事業は別物だとは思っては頂けないようですね‥‥」


 「公園内に遺跡がありますからね‥‥」

 「わたくし、少し恐怖を感じました。研究所にも護衛を派遣してもらった方が、良いのではないでしょうか?恐ろしいです」

 「わたくしには、すでに陛下より護衛が派遣されていますのですが、研究室を守る事も必要になるかも知れませんね」


 スペインは言葉を発しないが、女の子3人は、休暇後の研究室が、どうなるのか想像もできないと思って、対策を考えている。


 「パール様の身を守る為の魔法陣を、研究所にも設置すればいいのでは?」とスペインは安易に発言する。


 「そうですね、それが出来ればいいのですが、身を守る魔法陣は常に魔力を必要としますので、研究所向きではございませんね。この魔法陣は魔力消費が著しいので‥‥」


 ルリーシャもソーラーも魔力持ちで、意外にもルリーシャの方が魔力は多い、魔力持ちにしか身を守る魔法陣は使えない事を、スペインが知らないとは、この二人も思っても見なかったのだろう‥‥、そして、パールに少し触れただけで、ガタイのいい男子学生が吹き飛ばされた事で、パールの魔力量の多さを世間に広めた事になる。


 国王陛下に匹敵する魔力量をお持ちのフラグメール国、皇女パール・フラグメールを‥‥



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