1話
12月24日中に投稿したかったです。
身を切るような冷たい空気の満ちた冬の夜。数えきれない数の男たちが硬い表情で整然と並んでいる。
腰にブロードソードを佩き、身には重厚な鎧を身にまとう者。
多数の紋章が描かれたローブをかぶり、手に精緻な模様が刻まれた杖を持つ者
何より目を引くのは十頭のドラゴンだ。
ドラゴンの口の端から赤い焔がこぼれるように見えている。
全員臨戦態勢の軍隊だ。
「……」
先頭に立つのは背に金に煌めく翼をもち、太陽の光を持った鎧を着た天使だ。
目を伏せているその顔立ちは戦士の力強さと婦人の優美さを持っている。
ゆっくりと目を開いた。
エメラルドのごとき碧の瞳の奥には確かな決意が宿っている。
同時に伝令と思しき人間が駆け込んでくる。
「ア、アイスヴァイン様!! エルフの王国が連合軍から離脱したという連絡が来ました」
「……あの石頭――いえ樹頭を説得したですか……して相手は?」
「は、はい!! こちらに向かっております」
そこでアイスヴァインは右腕を天へと伸ばす、するといつの間にか一本の槍を持っている。
その刃は月のように青く白い光を持っている。
「皆よ、聞け!!」
空間に響くような張りのある声でその場の兵へと呼びかける。
「今ここに向かっている相手は魔王を下し、魔族の国を崩壊させ、竜の軍団を退け、旧き種エルフも飲み込んだ存在だ」
軍団に困惑に近いどよめきが満ちる。
しかしその不安を吹き飛ばす言葉が続く。
「しかし我らは何百年も魔族との戦争での最前線に立ち、一度たりとも退かなかった人類最強の盾であり矛だ!!
たとえどのような存在であろうと恐れることはない!! さぁ、剣を抜き、構えよ!!」
と空の果てより星とは違う光が見える。
最初はゴマ粒のようだったが見る見るうちに大きくなり、集団の百メートルほど先に落ちる。
地響きがして土煙が上がる。
「ドラゴンよ!! 山をも消し飛ばす十連ブレスを放て!!」
その声に従い十頭のドラゴンが一斉にブレスを放つ。
土煙を蒸発させるような熱量が一点に集中される。
「攻め手は緩めん!!『ジャッジメントジャベリン』!!」
手にした槍を投げた。
その槍は空中で瞬きの間に数えきれない数に分裂し撃ち込まれた。
軍団のどこかから声がした。
「やったか!?」
「当たり前だろうが、一発でも砦を崩すジャベリンをあの数だ、跡形も残って――なっ!?」
着弾したそこから何かが飛び出してきた。
それは血のように赤い衣装を着ている。
背には白い布の何かを背負って、叫んだ。
「メリィィィッ――――クリスマス!! 悪い子はいねぇがぁ!!」
一時間後くらいによろしくお願いします。