私と少年
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私は果てのない地平線を見た。
少年は笑って言う。
「不思議だよね。ここ最近ずっと歩いてるのに街が見えない。」
私は目を細めて、それから少年のポケットから抜け出し、肩に登った。
少年は私を見てにこりと笑う。
「休憩にしよう。」
そう言うと少年はリュックからビスケットと干しぶどうを取り出した。そして私に花の種を渡し、一緒に昼食をとる。食べることで、先ほどのイライラも消えて頭も冴えた。
少年は地図を広げてある街を指差した。
「僕らが向かってるのはここ。今は多分ここら辺かな〜。」
私は、何故わかるのだと首をかしげるポーズをした。少年と出会う前、住み着いていた酒場でよく人間の女がやっていたので真似をして見た。
「あれさ」
少年の指した先には太陽があった。そして自分の時計を見せる。
「僕らは同じ緯度上を歩いてきた。次行く街とこないだ出発した街の気候は同じで、年中温暖だって冒険者ギルドのお姉さんが言ってただろ?なのに、日の当たる時間が20分ほど早い。緯度が15度ずれたら1時間のズレが生じる。つまり今は出発点から緯度が5度ずれた場所にいる。」
私は感心して聞いていた。少年がどうだ!という顔を向けてきたが、素直に少年のほおに自分のモフモフとした毛を擦り付けて褒めた。
「ふふふ、これ全部前の街のギルドのお姉さんに聞いたことなんだけど。」
なんだと⁉︎
私は反射的に少年のほおを噛んだ。不正は許せぬ性分なのだ。
「痛た⁉︎何すんだよ!」
少年は拗ねた目で私を見た。
しかし、よく考えてみると、聞いた話を生かして、現在地を言い当てたのもすごい気がする。全く、私は少年に甘いなと思いつつ、再び頰に擦り付けて許してやった。