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第5話

「ここ、陰謀だらけなの?」

 陰謀にかけられた私。

 そう証言できる。

「陰謀とか計略とか言うのは、あったってあながち、おかしなことでもありません。内裏では陰謀や政変は毎度のことです。ここは朝廷の、政治の中心なのです」

「確かに」

 久理子が言うのも最もだ。ここは後宮、都の政治の中枢。 

「政治では、都が京の都に置かれる前から、いろいろな事件が起こってます。私の知る限り、内裏の事件は多いですわ。

 追放怨霊事件・・・わざと密造した文書を潜ませ、謀反の罪に擦り付けたが、その後、関係者は次々死没し、呪いと言われた。

 牛の刻参り事件・・・内裏では禁忌の呪いをかけた妃がいて、秘かに処分された

 横領事件・・・権勢を極めた公卿が逮捕、一族郎党処分を受けた

 右大臣事件・・ときの右大臣が皇太子を廃嫡しようとしたと密告され、蟄居を命じられた」

「う、牛の刻参り・・・?」

「誰かを呪うってことも多いです、ここは」

 だ、内裏って・・・

 う、怖い。

「あとは、スキャンダルもあります。

 駆け落ち事件、身分の低い貴族と帝の妃が密会し、追放された。

 女官の密通事件・・・帝の女官が高官と密通し、処分された。

 賄賂をもらい、後宮を取り仕切っていた女房が、一斉に衛府に捕捉された」

 み、密通・・・

 あれ?どうしてどきどきするの?

 道臣とは別にやましいことをしているわけではないのに。

「凄い事件の数々ね。本当に、この内裏で起こっているなんて、信じられないわ」

「これぐらい、物の数ではございませんわ。毎日ぐらい事件がおこってますもの、この内裏は、ここはそんなところです。それはもう、都の中心、国の根幹ですからね」

「そう言えば、開国以来、政変ばかりだもんね。蘇我氏と物部氏の争い、皇位継承争い、謀反の疑いをかけられ、粛清されたり、一方で平清盛なんかの地方の反乱も起ったり、それが謀反とか逆臣の一族として、皆、時の政権に殺されてしまったのでしょ?」

「しっ、椎子様、大声で言ってはいけませんわ」

 久理子は怖そうにしながらも、一方で円座に座って平気で揚げ菓子をぼりぼり食べてる。

「内裏は、王朝が開かれた時からの豪族や貴族が居残っている場ですから、中には滅んだ一族も、謀反や流罪の人もここにはいますし、勤めにままた戻って来ています。ここは、いわば、そういう怨念や因縁の集まりです」

 どうやら、私がのんびりと冊子を読んで過ごせないには、理由がある。よく分かった。周りが騒がし過ぎるのだ。

 例えるなら、朱雀大路すざくおおじで冊子《本》を読むようなもの。

 ああ、読書しようと来たのに、周囲がうるさかったのね。

 まあ、邪魔されても、それでも、読むけどね。

「今の清流帝も、先代の粛清により、皇太子廃嫡後、新たに立てられた後継者ですよ」

「あいつも?でも、それは父から聞いたことがある。先代が粛清したと。先々代が謀反を起こしたって言ってたわね」

「先々代は、都を襲撃しようとしましたから、先代の粛清を浴びました。その時の皇太子は先々代の皇子だったので、今の清流帝に入れ替えられたのです」

「襲撃?何でそんなこと」

「この都を再び、己の手にしようとしたとか」

「ひえっ・・・」

「政治の世界では、考えられないことも起こるのです。ほら、さきほど、椎子様も言われた。平将門の乱もそうです」

 そうなの?

 私、のんびり家で本ばっか読んでいたから、知らなかったのよ・・・

 内裏がここまで不穏だったってこと。

「皇后と皇太子の座が、今、空白なのですよね、そう言えば。そう思うと、何やらきな臭くなってきましたね。今回も後継者争いで、何事か起こるかもしれませんね」

「え・・・」

 う、ありそう。

「襲撃の先々代も、まだ旧都のほうでのうのうと生きていますよ。今も先々代が都を狙っているというのは、公然の事実です」

「内裏って、平和に過ごしているのが変なぐらいね。追放されたり、戻ったり、殺し合ったり、共に働いたり、騙し合ったり、奪い合ったり、不穏よ、不穏すぎる・・・」

「確かにそうですね」 

「ねえ、清流帝の周りって、皇后は死に、兄弟も、御子も何人か死んでるのって・・・?」

「そうですね、死んだ皇后は病死と発表されていますが、何やら毒殺されたという噂もあるのです」

「えっ・・・それって」

「私も先ほど、長池殿から伝え聞いて。これを椎子殿に言っておいておくれよ、シメシメ、いいもん手に入ったぜみたいに言って、甘栗を持って来て、私に嬉々として耳打ちして、そのあと、出て行ったと思ったら、すぐ、しょっ引かれていましたけど・・・」

「甘栗・・・長池殿、捕まる前まで、ちゃんと付け届けしてくれてたのね」

 最近、長池殿から私のところへ、付け届けが届くようになっていた。私が役職がついたので、何か得になると算段をつけたのだろう。

 落ち着くために、私達は、長池殿の置き土産の甘栗を食べながら、柑子こうじを蜂蜜に漬けたものを溶かした温かい湯を飲んだ。

(もし、皇后の死が陰謀なら、それに師匠が巻き込まれた?いえ、自ら率先して陰謀を調べているかも)

 私は聞いて、全身が震え、頭の毛が逆立つほどだった。

「そういえば今生きている、歴代の天皇で、毒殺した天皇はいます」

「だ、誰?」

「先々代の永城えいじょう天皇ですよ。先代加賀かが天皇の兄弟。柑武かんむ帝の異母兄弟。清流帝の叔父、さっきも言った粛清された天皇です。都を襲撃しようとした天皇。その永城天皇は在位中、異母兄弟を、謀反の罪で疑って、毒殺したことがります」

「え、なんだか聞いてると、すごい天皇ね・・・」

「だから、三年ですぐ譲位させられたのです。本人こそ周りから責められて、慌てて譲位したとでも言いますか、しかし、すぐ都に戻って来ようとした、襲撃で。夕闇の王子の父親ですよ」

「え・・・それが、夕闇の君の父上?」

「はい。内裏では人気者で振舞っていますけど、あの人もワケアリなのですよ。それゆえ、不満を感じる者は多いでしょう。女関係だけでなく、その血統、背景にも不満を抱える者は多いです。皆表には出しませんがね。ですので、内裏では弘徽殿と同じく、夕闇の皇子も、昔、反逆を起こした永城天皇のことは禁句です。夕闇の方も今の朝廷では、まだ皇太子は決まってませんから、周りから担ぎ上げられるのに、神経質になっているようです」

「あの人も皇太子候補になるの?」

「お血筋で言えば、文句ありません。ですが、左遷や追放の声も多いことは確か。人気が凄いので、かき消されてますが、夕闇の皇子もお上が贔屓にするので、内裏に留まっていますが、今後、内裏ではどう転ぶか分かりません」

「あの人が?左遷間近なの?」

「どうやら、帝の妃にも手を出したとか」

「どんだけ、女・・・」 

「そうですね。もう男前ですから、どこでも手を出せるのでしょうが、女の噂はそれは多くて、右大臣も左大臣も、そこは憂慮して、不届き者だと、帝に奏上があったとか」

 そりゃ、そこらへんの女に、手つけられたらね。やさもさ言われるわよ・・・

「その上、帝の妃まで、とあっては、そこは禁断の相手です。ですので、朝廷ではかなり激しい反発があったそうです。朝廷から追放しろと。しかし、帝がそれを止めたのだとか」

「追放って、あれ、本物の追放?左遷とかのあれ?」

 あの人の憂いに、ただならぬものを感じたけど・・・

 女、父親、帝という関係があったんだ。

 夕闇の君があの隠れた殿閣で、毎夜、酒を飲んで、女と戯れているのを見たけど・・・

 世界一かもしれない色男。麗しい綺麗な目で色気が立ち昇り、整った目鼻立で、すべてが完璧だと思ったけど、それはもう想像もできないほどの憂いがあったんだ。

「まあ、夕闇はん、そこにいはったん?またそないに憂いはって、男前が台無しやわ」

「私はそう憂えてない」

「そういう夕闇はんは、憂いの皇子とも言われるんですえ」

 あの時、聞いた声を思い出す。

 夕闇の王子が黄昏ているのは、そういう事情があったからか。

 私は改めて、知る思いだった。

 見映えの良い世界で、豪勢に振舞うトップで、内裏に君臨する華々しい人かと思っていたけど、きっと、どうにもならない思いを抱いてるんだ。逃れられない宿命を背負って・・・

 せっかく親切にしてくれた人だから、お礼なり何かしたかったけど・・・

 どうにも遠い、難しい人だ。やはり・・・ 

(それにしても・・・)

 女・・・

(あんの帝、これだけのことを、つつじケ丘の続きが知りたい?)

 まったくもって嘘。

 皇后は、いわば帝の最大の後ろ盾。

 御子など、そういう人たちを失ったというなら、帝にしては最大の損失だわ。

 皇后の死も、周りの死も、あいつ、あんなのでも、周りから勢力を削がれてるのかも。

 右大臣と左大臣との力の均衡を計りたい?と言ったのも、あいつの本気の本心かもしれない。たぶん、執着心は本心だけど。

 まったくこんなことを言わず、恋文書け?

 本当は、自分を脅す勢力をどうにかしたい、が正しいのじゃないの?

 ふざけたクズの讒言にころっと騙された。

 あいつ、裏がある。ちゃんと内裏のことを考えている。


「椎子様は高貴な姫君ですので、今まで、そのような気遣いは無かったのでしょうけれど、ここは内裏。北川殿もそうですが、何かまた、どこかの関係者に睨まれる事件も起きるかもしれませんから、気をつけてくださいね」

「うん、そうね」

 それは、今ようやく分かって来た。

「夕闇の君も、そういうことにもなるかもしれません。ですので、椎子殿もあの方には気をつけるのですよ」

「分かった」

 久理子はうーんと首を傾け、何やら空を見据えて考えている。

「それに、男関係では、若竹の君も注意したほうが良さそうですね」

 疑問に思った私に、久理子は言う。

「だって、若竹の君も逆臣の一族ですね」

「あれは架空の物語よ?」

「椎子様。師匠は陰謀を元に物語を作っている。そう椎子様が言ったのですよ」

「うん、まあ、そうだけど」

「椎子様は隠れた事情の裏側を知りたがるお人でしょう?なのに、若竹の君は素通りするのですか?知りたがりの勘はどこへ行ったの?若竹の君が異国へ渡ったのは反逆者の一族だったからです。まだ、疑ったことはありませんの?」

「え・・・」

「なぜ、疑いませんの?」

 私のことを思ってくれる久理子だから、若竹の君のことも心配してくれているのだろうけど・・・。

「後宮は、内裏もそうですが、薄氷を踏んで生きるようなもの。帝の想い人の妹である椎子殿の立ち位置は、帝の妃につながる。それは後宮の中では微妙なものですわ。今言いました通り、帝の周りも危険です。ですので、椎子殿が大馬鹿で、周りも嫉妬しない石ころみたいなものでしたら相手にされないでしょうが、椎子様はいろいろ注意してくださいね」

「何言いたいの、本当は私馬鹿って?いや、それとも馬鹿のふりしようかしら?」

「いいえ、そんなことは」

「まあ、それは、気をつける」

 いっそ、馬鹿のふりをしようかしら?でも、私、もともと、せわしない、嗅ぎまわる、知りたがりだから、嫌われてるみたいだし、もうこれ以上、ふりをする必要もないかも。

 まあ、これがふりと思われるのは、悲しいわね。自力でこれ、ですから。

 ま、ほんと、政治の世界は薄氷を踏むぐらいと言う。

 内裏は政治の世界だもの。それもそうだわ。己の浅慮や思惑で通るところでないのは分かってる。

 そこは、うかっとする気でもないの。そこは見物しにも来ているのだし。うかとして、内裏の事情を見落とすのも惜しいし。

「でも、怖れてばかりいても探せないし、気をつけて過ごすことにする。じっとしてても、探せないもの」

「はい、でも、当然、気をつけてくださいね。椎子様にはここにいてもらわねば、私、安らかにまがりも食べられませんもの」

 久理子の心配は嬉しい。

 でも、道臣は物々交換目当ての文字オタクだし、気の良い仲間思いの学者先生ってだけなの。

 私もそこは考えたわよ。でも、道臣は物々交換目当ての文字オタクだし、気の良い仲間思いの学者先生ってだけなの。

 もし何か目的があるとしても、私のところに、物々交換しに来て、物語を読んでほくそ笑んで笑って帰っていくだけなのに、何があるってのよ?



(ああ、後宮がいかに、非日常的で物騒なところか、分からされたな)

 淑景舎付近の前庭の池須の前でため息。

(ここは右大臣、左大臣、手下たち、それから良からぬ勢力までが暗躍するところ。入り乱れて、何が起こるか分からないところ)

 皇后の毒殺疑惑まで出て来た。

 毒殺。それは、師匠の本で読んだし、その後自分でも薬草の本を調べたから、毒殺をする毒には心当たりがある。

 トリカブト、ヒガンバナ、バイケイソウ、ハシリドコロ、ドクセリ、朝顔、フクジュソウ、スズラン。

 毒になる植物はある程度決まっている。

(清流帝の主だった家臣たちは、前からほぼ変わっていない。とりあえず、今の朝廷の勢力は全部怪しいと思ったほうがいいわね。つまり今の朝廷の人物の周りを嗅ぎ回ると、そこに師匠がいるかもしれない。何なら、師匠が私のもとへごろっと出て来るかも?どこに毒があるか、この内裏中の庭を掘り返してでも、探してみようかしら?)

 いやでも、そんな分かりやすいところの毒なんて、使わないか・・・

 なんて頭を悩ましていると、背後から誰かが出来た。

 くすくす・・・・

 日が暮れて、植木の半分が影になっている中から出て来たのは、目元に宝石がはめ込まれたような美しさのある、謎めく雰囲気の雪風人だった。

「何をそんなに悩んでいるの?」

 前の内宴の時に、舞台を桜で演出した時、仮面を被った時は分からなかったけど、顔はまだ少年のあどけなさが残る若者だった。

「いえ・・・手に入れたいものがあっても、なかなか後宮でも、手に入らないものがあるなあって、涼んでいたとこ」

 もう辺りも暗くなって来ていて、誰も通らないと思っていたのに、思わぬところを見られちゃったな。

「へえ。偶然だね。僕もここに来て何年も経つけど、今だ欲しいものは手に入らない」

「モテるのに、恋の悩みを聞かせるの?」 

 ということを、


我が恋は知らぬ山路にあらなくに迷う心が侘しかりける


 という歌に絡めて言ったら、茶目っ気たっぷりだねと、雪風人は笑った。

「誤解だよ、恋なんて、行方もなしさ。御三家の夕闇の皇子なんかと比べたら、僕なんて何もないよ」

 雪風人も、


和歌の


我が恋はむなしき空に満ちぬらし思ひやれどもゆく方もなし

  

 と、絡めて答えた。

(ああ、なんか、雪風人も恋の悩みを抱えているのかしら?)

 と私は思った。夕闇の君には及ばずとも、内裏では人気がある男性だ。

 あどけなさとは反対に、醸し出す色気は夕闇の君に負けるとも劣らないほど、豊潤なものがあるし、容姿も優れている。立ち居振る舞いもそつがなく、この人に恋をされたら、誰でも恋をせずにいられなくなる。なんて思ってしまうほど。

 それほど魅力的なものが圧倒的に勝っているのだったら、ものすごい恋でも捕まえそうだもの。

 ああ、池のほとりで、鯉を捕まえるだの、恋にかけてしまったわ。

 


「あくせく働いて、必死で上に媚びて、わずかの棒給を争って、身をすりへらして、僕ら、何をやってるんだろうな、ねえ、椎子殿」

「そうそう。内裏で身を縮めて生きるなんて、かったるいわ。楽しい時期なのに、楽しむこともしないで」

「君は陽気な人だね」

「あなたが暗すぎるのよ。もっとぱーと気晴らしでもしないと」

「君はやはり、京の都の人だね。僕は田舎の生まれだから、考えがそういう自由に出来てないんだよ。いいなあ、都会の人は」

「そう?私、都風出しているかしら?」

「僕は出雲で生まれ育ったから、人見知りとか、都の人に馴染めない部分があるんだ。君は雅なところがあって、華やかなところがある、さすが都人だ」

「そんなに尊敬されるの初めてよ。でも、誉めても何も出ないからね」

 気さくな雪風人のせいで、私も調子に乗って雪風人の背中をばんばん叩いて言ったら、雪風人はごほごほとむせたけど、嬉しそうだった。

(そう言えば、この子のせいで、帝が私を桜の君に誤解したのだっけ?)

 あんな演出して、嫌なことするなあ。

 なんて思っていたけど、今の雪風人は何も考えてないみたい。

 闇の中で潜んだ姿を見た時は、危ない雰囲気もしたけど、今はぜんぜん、違う。キャッキャ笑って、楽しいことが好きな少年て感じだ。

「じゃあ、雪風人は、都が嫌い?」

「都も嫌いじゃないけど、今は時々、あの時、都に来ず、田舎にいたらって思うんだよな」

「気晴らしでもしたらいいわ。物語見たらいいわよ、あなたも。いいのがあるわよ?男なら漢文読めと言われるだろうけど、物語もいいわよ」

 話の流れで、私もつい、常盤御前の作品の中で、一番お勧めの若竹物語、如月尚侍日記が良い。これが内裏でどこで書かれたのか。この原本があれば、欲しいなどと言って、お勧めしてしまった。

「ありがとう。また読みたくなったら、君に言うよ。いつでもまだ、後宮にいるものね」

 にこにことして、爽やかだ。好青年だ、雪風人は。

 ちょっと影があると思ったけど、間違いだった。

「なるほど、君が探しているのは、常盤御前か」

「世の中にこんな人がいたら、探さずにいられる?」

「うーん、知りたがりの椎子っていう君らしいね」

「ありがと、誉められてなくても、嬉しいわ」

「誉めてる。悪い意味で言ってない。そう言えば、君がお探しの如月尚侍日記、出どころを聞いたことがある。たしか、たまゆらの君の部屋にあるとか、なんか聞いた記憶がある」

「ほんと?」

 雪風人は、私の横でごろんっと根っこんで、黄昏ていく空を見ながら言った。

「うん。まあ、僕の情報だから、不確かかもしれないけど」

「いいわ、真偽は自分で確かてみる」

「もし、常盤御前のことが分かったら、また僕にも教えてくれる?僕も世間を賑わす女作者がどこにいるのか、興味があるから」

「あなたも興味があるなんて意外ね。でも、こっそりとね。ししょ、いえ、常盤御前が嫌がったら、言えないから。それに秘密よ、これは」

「もちろん、秘密にする。誰にも言わない 少々でもいいよ、極上の秘密だ。内裏の者にとっては、知れるだけでもいい」

 まあ、雪風人まで、師匠って興味持たれてる。すごいなあ。

 雪風人はくすくす笑う。


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