DHA
「ああ・・・例のシャンプーか
あれは合成だろう」
松川は密輸に奔走した千野を思い出した
「はい、こちらは純正ですからね。
使う者にとってはかなり良いんじゃないですか
混ぜ物を入れれば量も増やせるし。
しかし、千野は惜しい事をしましたね」
香山は松川が何を考えているか察した。
「そうだな、お前たち兄弟分で仲が良かったな」
「はい、あいつは一文字のところに入り込んで会社を
乗っ取る計画だったのに香港で急死するなんて残念です」
香山さびしそうな顔をすると松川は
「ああ、二人が松川組の双璧になってうちの
組を盛り立ててもらおうと思っていたのに」
「はい、俺は一葉学園の経営に入り込むつもりでした」
「まあ、この仕事が終わったら一文字の会社
ストレートホールディングスを
うまく利用して金儲けをしよう。
今度は千野の代わりにお前が直接話をするといい」
「はい!」
松川は一葉学園を狙っていた。
~~~~~
1時間後、亮は会議を抜け到着したヘンリー・エバンスと会った。
「團亮だね、ヘンリー・エバンスだ」
ヘンリーは亮に握手を求めた。
「来てくれたんですね」
「ああ、ヘリコプターで飛んできたよ、
エミリオ・ゴメスの話をきいたら
放っておけないだろう。しかもここに
来なかったらジャネットが一生、
口をきいてくれないような気がしてな」
大柄で浅黒く口ひげをはやした
ヘンリーはにっこりと笑った。
亮はDHSのマシューとイーサン、
FBIのジェニファー、アメリカ軍の
デュークを紹介した。
「すごい連中が集まっているな、いったい何があったんだ」
ヘンリーが声を上げて驚いた。
デュークはアメリカ軍に射殺された
メキシコ人の死体の写真を見せた。
「エバンスさん、この中に知っている人がいますか?」
ヘンリーはじっと写真を見つめて死体の損傷が
少ない男の顔を指差した。
「こいつは、エミリオ・ゴメスの子分の一人だ、
麻薬の取引よりゴメスのガードをしている男だ」
「なるほど」
亮がうなずくとみんなを誘いホテルの
会議室で作戦会議を始めた。
~~~~~
一方ラルフ・スチュアートを囲んだ会議が終り
会議室からにこやかな声が聞こえてきた。
「あれ、亮は」
亮がいない事に気づいたデビッドが三人で
ドリンクのアイディアを出し合っていた
祐希に声をかけた。
「会議室で会議をしています」
祐希は会議室を指さすと
「まったく、こっちの会議を途中で出て行って
何を会議しているんだ」
デビッドは憤慨していた。
「まあ、いいじゃないか。亮のプラン通り話が進んだから」
ラルフは亮の弁解をした。
「ええ、そうなんですが・・・」
デビッドはラルフに諌められたが
亮には傍にいてもっと自分をアシストして欲しかった。
「それより月曜日の会見に出席を頼むよ」
ラルフはデビッドの肩を叩いた。
「光栄です」
デビッドはラルフとしっかり握手をすると
亮たちが会議室から出てきた。
「亮、順調に会議が終わった。後は頼むぞ」
「了解です、こちらの後片付けをして月曜日にワシントンに入ります」
「ああ、大統領も楽しみにしている」
ラルフはそう言ってワシントン向かって帰って行った。
「ご苦労だったね亮君。君の話を信じてよかったよ。
今夜はパッとやろうじゃないか」
倉沢栄三郎はスチュアート上院議員とバイオ燃料の
ビジネスの話ができてご機嫌だった。
「はい、それで飲料水製造の
打ち合わせもしたいんですが」
「ああ、そうかそちらもあったなあ」
「はい、同じ水でもこちらは飲料水なので」
「うん、大丈夫だ。任せてくれ」
倉沢は機嫌よく引き受けると
亮は祐希を正式に紹介した。
「倉沢さん、大阪の黒崎さんの忘れ形見、祐希さんです」
「黒崎祐希です」
祐希は亮に言われてように笑顔で
栄三郎に挨拶をした。
「えっ?あの黒崎さんに娘さんがいたのか?」
栄三郎は驚いて祐希に顔を近づけてじっと
見て誰かに似ているような気がして首をかしげた。
そのしぐさを見た祐希は笑いながら答えた。
「私の母はクラブ蝶の絵里子です」
母親の仕事を恥じらうこと無く堂々した祐希の
態度に感心して上原が祐希に言った。
「なるほどお母さんに似て美人だね」
「ありがとうございます。今度休みで日本に帰った時は
お店を手伝おうと思っています」
祐希は亮のおかげで一晩で女になり自分の
これからの生き方を決めようとしていた。
「お店手伝うんですか?」
上原が驚いて聞いた。
「はい、社会勉強と情報収集に」
祐希が少女のように笑うと顔を見ると
亮は将来、祐希が大実業家になる事を期待した。
「祐希さん、頑張ってください」
亮は祐希を激励すると祐希は嬉しそうに笑った。
そこに小妹が来て祐希たちに聞かれないように亮の耳元で囁いた。
「亮、もうすぐ関龍たちが飛行場に着くわ」
「早過ぎないか?香港からだと15時間くらいかかるだろう」
「ううん、昨日の夜に関龍は香港を立って、
ヒューストンで合流してこっちへ向かったの」
「さすがですね」
「実は今朝暗鬼の狙撃手がエリックを狙っていたわ」
「はい、ありがとうございます。みんなをホテルに
チェックインさせてゆっくり休ませてあげてください」
「了解」
小妹がマギーを連れてホテルを出ようとすると
「小妹ところで何人来るんですか?」
「五十人よ」
「ご、五十人!」
亮は目を丸して立ち上がった。
~~~~~
エミリオ・ゴメスの別荘の大広間では
歓迎パーティが始まっていた。
ゴメスは大きなテーブルの真ん中に
座り両側に裸同然のドレスを着た
女をはべらかし、招待客の脇にも
それぞれ女が付いていた。
香山と津田は松川の命令で日本刀を
ゴメスに土産として渡した。
「おお、これが日本刀か」
刀を受け取ったゴメスは鞘から刀を抜き
刃を眺めた。
「美しい」
ゴメスは実際に切ってみたい衝動に駆られていた。
「カシラ、こんな美人たちをゴメスは
どうやって確保するんでしょうね」
津田は隣の女の目を気にしながら香山に聞いた。




