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バイオ燃料

亮が答えるとザックは疑問を感じていた。

「いま世界中でEV(電気自動車)化

になろうとしていますが、

バイオ燃料は時代遅れではないでしょうか?」


「ザック、今発電はどうやって行っていますか?」

「原子力、火力、水力、太陽光その他色々です」

「その原理は?」

「タービンを回して作るんですよね」


「我々は緑藻で作ったバイオ燃料、メタンガス発電そして

余った電気で水を分解して水素ガスを取り出す方法

を考えているんです」

「本当ですか!」

ザックは声を上げた。


「EV自動車にはまだたくさんの欠点があります。

まずリチウム電池の原材料に希少物質の

コバルトが使われている為に高価である事、

1回の充電での走行距離が短い事、

充電時間が長い事、電気が安いために

充電スタンドが経営できない事、

暖冷房に電池を使うために極寒地、

極熱地では走行距離は極端に短くなるなど

欠点を上げればまだまだたくさんあります」


「そうですね、アメリカの砂漠やアラスカで

電池切れになんかなったら死んでしまいますね」

ザックは砂漠の中でエンストした車の

外で空を見上げて汗を拭く姿想像をして

舌を出した。


「ええ、だからしばらくはガソリンエンジンで

そのまま使えるバイオ燃料が必要だし

例えば戦車や作業車などはエンジンでなくては

ならないのです」


「そうですね、戦車を充電していたら

 戦争できない」

「我々は大気汚染の予防の為に

航空燃料の研究もしているんです」

「航空燃料もですか。凄い!」

ケンは自分の会った亮と言う

人間の凄さにただ驚くだけだった。


「でもバイオ燃料だけでそんなに爆発力が

出るんですか?」

「はい、我々の研究で緑藻で作った

バイオ燃料に木蝋の原料櫨の実を入れて

圧縮を掛けて燃料効率を上げます」


理科系ではない祐希たち三人でも

それがどんなに良い物で

どれほどの需要があるか予測できていた。


「凄いビジネスね。バイオ燃料のプラントを

世界中に作れば資源に乏しい貧しい国も助かりますね

燃料の自給自足」

ケンが言うと亮顔から笑みが浮かんだ。


「その通りです」

そう言った亮の顔から血の気が引いた。

「ひょっとしたら」

亮はなぜスチュアート上院議員が

命を狙われているか考えた。


亮はバルコニーに飛び出して

ホワイトハウスから借りた衛星スマフォ

スチュアートに電話をかけた。

「亮です」

「おお、どうした?」


「ラルフは上院議員での委員会は?」

「うん、私はエネルギー委員だった。

それで前任者が病気で辞めて

 エネルギー委員長になった」

「それで委員長時代にはどんな活動を?」


「石油の高騰を防ぐために石油の先物

買いに規制をかける法案と

 新エネルギー開発だ」

「わかりました、では明日

お待ちしています。気をつけて」

「うん、楽しみにしている」


「ラルフ、明日はエグゼクティブで

デザートを食べませんか?」

「ん?・・・わかった。

美味しいデザートを食べよう」

スチュアートは亮の言った事を

少し考えて答えた。


亮は電話を切って高く上がった月を見て考えた。

スチュアート上院議員の活動が石油

メージャーあるいは産油国に

不利益になり敵視されて暗殺の

指令が出たのでは無いかと思った。


しかし、このプロジェクト案が

大統領の耳に入り三日後月曜日に

全国民に発表される為に上院議員を暗殺したところで

その流れを止める事が出来ない。


それより敵が恐れる事は、世界中の貧しい国が

安価でできるバイオ燃料プラントを作り

石油を買わなくなる事を危惧していると推測した。

それを企んでいる国は・・・


まるで亮の後を追って来たかのように

祐希が亮のいるバルコニーに出て

絵里子に電話をかけた。

「おはようママ」

「あっ、祐希どうしたの?」


「今、亮さんとアリゾナで会っているわ」

「アリゾナ?亮の仕事の邪魔をしないでね」

「うん。ママ亮さんすごく素敵」

「でも、あなたがそんな事言うなんて珍しいわ」

絵里子は女っぽい言い方する性同一障害

の祐希に違和感を覚えた。

「ママが亮さんと関係があるの?」

「そうよ。絢香は亮の子よ」

絵里子は祐希に嘘をつかず正直に話をした。


「凄い!亮さんは難関不落のママを落としたんだ」

祐希は絵里子が好きになった亮に増々興味を持った。

「そうよ。亮のフェロモンで夢中になったわ」

「ママ、私こっちへ来て性同一障害の治療をしたの」

「じゃあ・・・」


「うん、全部わかっちゃった。パパが私にした事。じゃあね」

「待って!祐希」

「私亮の事好きになっていいかな?」

祐希は強引に電話を切ると、

亮に声をかけスマフォを向け

一緒に写真を撮った。

「どうしたの?祐希さん」

「ママに送るの」


絵里子の携帯に送られてきた

写真を見て絵里子は息を飲んだ。

「祐希が女性の格好を・・・」


「亮さん、私の性同一障害で子供の頃から

ずっと男の格好していたのよ」

祐希は大きな胸を揺らして亮の腕にしがみついた。

「だって、今女性の格好をしているじゃないですか?」

亮はまだ祐希は男だと思っていた。


「アメリカに来た頃はずっと男の格好をしていたんだけど

 ロバート・ハンクス教授の診療を受けて大変な事がわかったの」

「なんですか?」

亮は在学時代の恩師の一人医学部の

ロバート・ハンクス教授の研究室に出入りし

不妊症の精子の提供もしていた。


「父が自分の跡取りにするために

生まれた時から男として

 育てられただけじゃなくて、

催眠術をかけられた形跡があったの」

「それってひどいじゃないですか」


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