砂漠の水
亮はキャシーとマシューとイーサンを紹介した。
「わあ、ランド不動産の社長さんですか」
将来経営者を目指しているザックは
キャシーを見て目を輝かしていると
ケンはDHSアメリカ国土安全保障省
(U.S.Department of Homeland Security)の
マシューとイーサンを見て顔を紅潮させていた。
「亮ったら、友達の息子さんて言ったのに、
祐希さんは可愛い女性じゃない」
キャシーは亮の脇腹を肘で突いた。
「痛っ!キャシー最近乱暴になっていません?」
「そう、ストレス解消よ」
亮とキャシーの掛け合いを聞いていた祐希は
必死で笑いをこらえていた。
「どうしました?祐希さん?」
亮は祐希が自分の話すタイミングを作ると
祐希は今まで憧れの亮が身近に感じていた。
「いいえ、はい。実は私は性同一障害なんです。
父が死んでから母に相談して
自分を出す事にしたんです。
あっ、産みの母の方です」
祐希は混乱している亮の顔を見て気づいて言った。
「そうですか・・・」
亮は納得できない様子で返事をしていると
キャシーはそれに気づいて首を傾げた。
「じゃあ、ザックとケンはそれを
知っているんですか?」
亮は二人に聞いた。
「もちろん、祐希はいい友達です」
亮の質問にケンはすぐに答えた。
「しかし、入学した時は男の格好だったのに
突然女になった時は驚いたなあ」
ザックが美しい祐希の顔を見てしみじみと言った。
「うふふ」
祐希は母親の絵里子にそっくりに笑った。
その色っぽさと博多人形や京人形のような
透き通った肌の白い黒髪の姿はどこから見ても
女性に見えマシューとイーサンは
信じられないような顔をしていた。
亮は祐希がどこまで手術をして
女性になっているか知りたがったが、
胸の膨らみは間違いなく整形済だと確信した。
「亮、失礼よ。胸ばかり見て」
キャシーが亮も耳元で囁いた。
「すみません、カミングアウトは
これくらいにして、ちょっと状況が変わったけど
祐希君。いや祐希さん将来はどうするつもりですか?」
亮は祐希を自分のアシスタントに一緒に
ビジネスをしていくつもりだったが
外見が女性だと逆に仕事が難しいような気がした。
「私は父の後を継ぐと言っても、株を多く
持っているだけで日本に帰っても仕事は
ありません。出来たらアメリカで就職を
して勉強をしたいと思っています」
「そうですね。日本に帰るのは
急がなくてもいいんじゃないですか。
いつか祐希さんの力が必要となってくるはずです」
亮は自分がアメリカで就職したかったが
、DUN製薬の不穏な動きを察した父親秀樹が
DUN製薬の内部調査の為に亮をアメリカから呼びもどされた。
「僕が出来る事なら力になります」
「團さんは何の仕事をしているんですか?」
ザックはキャシーの友達である亮の事に興味があった。
「ええと、日本ではプラウと言う
小さな会社の社長でRRレコードジャパンの代表、
プラネット証券、Jバイオの社長をナチュラルグリル、
D&R,AmericanWebの取締役をやっています」
それ以外の暗鬼、アメリカの兵器開発、
警察庁捜査員の話はできなかった
「本当ですか?」
ザックはわずか28歳の青年が
様々な会社の経営者をしていると聞いて
目を丸くして両手で亮の手を握った。
「團さんぜひご指導ください、
やはり團さんは凄い人だ」
亮は褒められて調子に乗ってアメリカと
ヨーロッパとアジアの経済の将来と
アラブの金の行方を熱く語った。
「祐希さん、今日本経済が冷え切っている為に
日本人は留学をしなくなってしまいました、
その弊害として日本人の海外への人脈が
弱くなってしまって日本経済は孤立し、
景気回復が遅れてしまいます」
「ええ、ハーバード大は勉強だけではなく
世界中の優秀な学生とコネクションが作れます」
祐希は日本の大学生のように就職のための
大学ではなく、コネクションを作って
父親の黒崎を上回る人間になる目標があった。
「優秀な大学に入れば同級生同士が
互いに助け合える、悪く言えば利用し合える。
それをほとんど人が考えていますよね。團さん」
ケンが熱く語ると亮が笑って答えた。
「あはは、僕は全くそれを考えなくて来ました。
でも人間が信じあえると言う事が
この中で一番難しい事です。
出来るだけ交流を深めてください。
今やっているバイオ燃料は大学時代に
知り合った友人と始めたんですよ」
「わかりました。團さん」
祐希が答えると亮は親しみを持って言った。
「祐希さん、ザック、ケンこれから、
僕をRYOと呼んでください」
亮は日本と違って名前を呼ぶ風習に
照れながら三人に言った。
三人はそれを聞いて亮に対して
仲間意識が出てきた。
「さて今回、僕たちがアリゾナに来た理由は
ここから車で30分の砂漠の地下から
地下水が出た為です」
「本当ですか?本当に水が出たんですか?」
ザックが驚きの声を上げた。
「はい、この水を利用して飲料水の
工場を作って販売します。
水の製造技術は日本のクラサワから受けます」
亮はキャシーと目を合わせてうなずいた。
「クラサワですか?凄い!」
クラサワが特許技術の保護がなされない
海外での仕事をしない事を知っていた祐希は、
亮の交渉力の凄さを驚きの声を上げた。
「亮、僕に何か手伝える事がありませんか?」
ザックは亮の経営能力、開発能力素晴らしさを
察し亮に近づきたかった。
それを察して亮はザックに答えた。
「では、飲料水の販売プランを
立ててください。あなたたちの能力なら
可能なはずです。やってみませんか?」
「それって、水以外でもいいんですか?」
祐希が亮に聞いた。
「もちろん、売れそうなありとあらゆる
ドリンクを考えてください」
亮は祐希たちに期待して言った。
「はい」
祐希は大学の仲間を集めてドリンクの
企画グループを作ること考えた。
「祐希さん、レッドブルに負けない物を
考えてください。エナジードリンクを
作るノウハウが有ります」
「はい、亮さん」
祐希は亮の手を握った。
「ん?」




