皆殺し
マギーは亮の腕に顔を埋めた。
「マギー、食事に行きましょう」
「はい」
ベッドから出た亮はテレビを点けると
CNNが飛行機墜落のニュースを流していた。
「飛行機にはスチュアート上院議員
が乗っており死亡が確認されました。
原因は調査中ですが、目撃者によると
突然空中で爆発したと証言があります」
「えっ!まさか・・・」
亮の体から力が抜けて椅子に座り
テレビのボリューム上げた。
「マギー」
亮は大声を上げてマギーを呼んだ。
「どうしたの?亮」
「ラルフの乗った飛行機が墜落した」
「えっ?」
マギーの顔色が変わった。
「どうしよう」
そこにマシューから電話がかかってきた。
「亮、スチュアート上院議員の飛行機が落ちた。
それにジョンも一緒だった」
「そんな・・・」
亮は突然の事故に声も出なかった。
「亮、どうしますか?」
「とりあえず、予定通り現場へ行きましょう。
みんなが待っています」
「了解」
亮たちは気を取り直して車でホテルから
メキシコへ向かって1時間の
場所に着くと車から降りた。
「暑い!」
亮がそう言って振り返るとマギーの
首から真っ赤な血が吹き上がった。
「マギー」
亮がマギーの元に駆け寄ると
首から血が噴き出て亮はそれをハンカチで押さえ
出血を止めようとしていた。
「亮」
やっとの事で発した声が聞こえると
マギーの目から涙が流れていた。
「どうした!」
マシューとイーサンが周りを
見渡しピストル持って車から
身を低くして降りてくると
「シュー」
と言う音がしてマシューと額に
弾丸が当たり後頭部から血が出て
その場に仰向けに倒れた。
イーサンが周りを見渡すとすぐに
胸に弾丸が突き抜け
イーサンは崩れ落ちるように前向きに倒れた。
「マシュー、イーサン!」
亮はマギーの首の出血を抑えていると
目の前にジープが止まり、男が降りてきて
額にライフルの銃口が突き付けた。
「やっと、会えたな。團亮」
「お前は?」
亮は驚きで恐怖すら消え去り冷静に男の名を聞いた。
「エリック・ジョナサン。殺し屋だ」
エリックは勝ち誇ったように口元に笑みを浮かべて言った。
「ひょっとしてスチュアート上院議員も」
亮の頭は完全に冷え切って状況を判断していた。
「そうだ。俺の相棒のボビーがやった、
爆弾のプロ、ボビーが見事に飛行機を落とした」
「なんて言う事を・・・」
「ここにバイオ燃料工場を作ってもらっては
困るんでね。
お前には死んでもらう。借りは返すぞ!」
「僕は死なない」
エリックが引き金を引くと
亮の体は後ろに跳んで倒れた。
~~~~~
車の中で亮の睡魔が取れると亮の目の前が
明るくなった。
「マギー!予定変更です」
「どうしたの急に」
隣に居たマギーが驚いて返事をした。
「マギー、ハリーと連絡を取れますか?」
「もちろん、もしもの時の為に週に
一回は連絡を取っていたわ、美喜もボビーと
連絡を取っていたはず」
マギーはいつでもハリーと連絡を取れる
自信を持って答えた。
「ありがとうマギー」
マギーを抱きしめると
マシューとイーサンとマギーに
自分が見た夢の話をした。
「でも、亮が居眠りしたのは5分くらいよ。
それで夢を見たの?」
マギーが不思議な出来事に首を傾げた。
「たぶんデジャヴです。昔馴染みの人と会ったので
思念が動き出したのでしょう」
「じゃあ、私も亮も死んでしまうの?」
たとえ自分が死んでも愛する
亮には死んでほしくない、
マギーの心は不安でいっぱいだった。
「大丈夫です、僕たちの未来は無限の選択があります。
まず美喜さんがボビーから情報を収集してもらって
スチュアート上院議員の乗る飛行機爆破を阻止します。
マギーはハリーから情報収集してエリックの動きを
調べてください」
「亮、美喜さんが危険だわ、日本にいるはずの
美喜がこっちに居てはワザとらしくて怪しまれる」
マギーは美喜が殺し屋と接触する事を心配した。
「そうですね」
亮は前の席に座っている
マシューとイーサンに話しかけた。
「マシュー、イーサン。お願いがあります」
亮は自分が見たものを話すと
「わかりました、すぐにワシントンに連絡します」
マシューが電話を取ると
「マシュー信用してくれるんですか?
僕の見た夢を」
「当然です。しかしさすが上には
そう言えませんから、上院議員暗殺の
情報を入手したと伝えておきます」
マシューに取って亮は自分たちの
希望であり亮の命はどんな事があっても守りたかった。
それが上司への嘘の報告であっても
「ああ、そうですね。ありがとうございます。
マシュー、イーサン
僕はあなたたちの命も絶対落とさせません」
亮は美喜に電話を掛けた。
「美喜さん、ボビーと連絡を取れますか?」
「はい、週一は連絡を取っています」
亮は美喜にボビーの電話番号を聞いて
ロビンに電話をかけた。
「ロビン、忙しいですか?」
「うん、ケイト以外はみんな帰ったから
仕事をしている。だから暇だ」
ロビンの意味の解らない返事で亮は笑った。
「では今から言う電話番号の持ち主の
居場所を発見してそれを追跡して欲しい」
亮は2つの電話番号を言った。
「了解」
ロビンがキーボードを叩いてスマフォの
持ち主の居場所を探した。