黒崎祐希
「そうだろう・・・彼が世界的な暗殺集団暗鬼の
次期統領なんて信じられないなあ」
モーリスは5階の窓から帰って行く亮たちの後姿を見て
微笑んでいた。
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「亮。遅かったから心配したわ。
あと5分過ぎたら乗り込んでいたわ」
「あはは、大丈夫ですよ。
紳士的な取引をしてきました」
亮は趙剛が動いたことをマギーに話さなかった。
「亮の事が心配で統領に電話をかけたら、
マギーは死んだって言われました」
「そうですか、マギーは本当に暗鬼を辞めたんですね」
「ええ、それで何かあったらジェニファーに
連絡をしろって言っていたわ」
「そうですか・・・」
亮はモーリスの葉巻を撃ち抜いたのはライフルの
名手ジェニファーだと確信した。
「マギー家族は?」
前を歩くマシューとイーサンに
聞こえないように聞いた。
「前にも言ったけど5親等以内はいないわ」
「そうですか・・・」
「どうしたの?突然」
マギーは亮の質問に驚いた。
「いいえ、別に」
「亮。気持ち悪いわ、ちゃんと言って」
マギーが亮の脇腹を肘で突いた。
「うっ!」
亮はあまりにも強い肘打ちに息を詰まらせた。
「マギー痛いじゃないか!」
「もう一発行こうか?亮」
右足を軽く上げて亮の股間を蹴ろうとしていた。
「わかった、わかった。
アリゾナの仕事が終わったら話します」
「楽しみに待っているわ」
マギーはうれしそうに亮の腕を掴もうとすると
亮は体をのけぞって逃げた。
「うふふ、亮もうしなから逃げないで」
「何やっているんだ?あの二人」
ふざけ合っている亮とマギーを見て
イーサンが不思議な顔をしていた。
そこに亮の所に電話がかかってきた。
「もしもし、黒崎祐希です」
「あっ、初めまして團亮です」
電話の向こうのしばらく無言が続くと
祐希のしっかりした声が聞こえた。
「初めまして、電話が出来て光栄です」
「どうしました?」
「すみません、感動してしまって」
祐希がそう言うと周りから男女の声が聞こえた。
「ハロー、ハロー、コンニチワ、アリガトウ」
「あっ、すみません。友達が團さんと
話をすると言ったら集まってきて
しまって」
亮は自分と違って祐希が
友達が多いので微笑ましく感じた。
「祐希君、僕がアメリカにいる間に
一度会いませんか?」
「本当ですか?」
祐希の声が裏返って高い声を上げた。
「祐希君。僕がアリゾナから
戻ったらボストンに行きます」
「はい、ロバート・スミス学部長にも伝えておきます」
「学部長、懐かしいなあ」
亮はロバート・スミスと言う名を聞いて
祐希と何かが繋がっているような気がした。
「團さんは大学で有名なんですよ。
学部長も講義で何度も名前を出すし
図書館の階段の1段目にAKIR・DANの
プレートが貼ってあるんです」
「あはは、それは知らなかった」
亮は笑って答えたが内心ドキッとして答えた。
「團さん、僕もアリゾナに会いに行きます。
いいですか?仕事の邪魔はしません」
「ええ、まあいいですけど
月曜にはワシントンに行きます」
亮は祐希とゆっくり話をする時間が無いので
申し訳ないような気がしていた。
「僕は16時17分の飛行機で
フェニックスに飛びます」
「はい、僕も同じ時間に着く
ようにこちらを出発します」
「じゃあ、夕食を一緒にしましょう」
「はい!」
祐希は元気な声で返事をした。
「亮、誰からの電話?」
マギーが心配になって聞いた。
「蝶の絵里子さんの息子さんからです」
「今日会うの?」
「ええ、彼はボストンから向かうそうです」
「了解」
マギーが大きなバストを揺らして敬礼をすると
電話をしていたマシューが亮に言った。
「亮、明日はスチュアート上院議員も
フェニックスに入るそうです」
「わかりました」
亮は政府の慌ただしい動きに嫌な予感を感じた。
「僕も現地をまだ見ていないのに、バイオエネルギーと
ドライアイスプロジェクトと一緒にやってしまう
つもりだろうか」
亮が呟くとマギーは簡単に言ってのけた。
「その方が大統領の人気が上がるんじゃない?」
「そうだよマギー、その通りだ」
「キャー、当たった?ウフフ」
笑うマギーに亮は真剣な顔をして答えた。
「月曜日に2つの案件を発表
すればかなり話題になります。
ドライアイス計画が実際に稼働するのは2年後、
バイオ燃料の製造が始まるのは
1年かかりませんからね。
タイムラグを埋めるのにちょうどいい」
「そうか、彼らもなかなかやるね」
「あの人たちは政治家だ、
僕たちより計算高い。あはは」
亮たちはイーサンが運転するSUVに乗り込むと
スチュアートから衛星電話の方に電話がかかってきた。
「亮、ラルフだ」
「はい、明日午前中に現地に全員が揃います」
「うん、急がして申し訳ない。
私は明日の午後にはフェニックスに着く」
「了解です、気をつけて」
「ありがとう、亮」
亮は助手席に座っているマシューに聞いた。
「マシュー、明日のスチュアート上院議員の
警備は大丈夫ですね」
「もちろん大丈夫だ。そうだジョンが来るぞ」
「そうですか。懐かしいな」
亮はジョンとハーバード大学の
図書館の爆弾を撤去した
あの緊張感を思い出していた。
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フェニックスのホテルで目を覚ました亮は
頭が重かった。
「おはよう」
ベッドの隣でマギーが微笑んだ。
「亮、昨日はとてもよかったわ」
「えっ?僕はマギーと・・・」
「うふふ」




