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キンバリー博士

キャシーは笑顔で亮の手を握った。

亮はキャシーの会社を出てロイの会社に向かった。

~~~~~

その頃日本の夜の銀座の蝶に亮の父親の秀樹、

五島商事の内村、石橋工業の石橋、

いなほ銀行の横山が集まっていた。


「そう言えば倉沢さんは?」

横山が聞くと秀樹が

「倉沢さんはうちの息子に呼ばれて

アリゾナに向かっています」

「ほほう、いよいよバイオ燃料製造の

開始ですか。亮君は元気ですな」

横山が大声で笑った。


「みなさん、今日亮君から電話が有って

例のドライアイス製造機の確認がありました」

「えっ?」

秀樹は亮に全く聞いていない

話で驚いて声を上げた。


「と言う事は発注先が見つかったと

言う訳か。驚いたなあ」

内村は腕を組んで言った。

「内村社長、私は亮を信じていました」

絵里子は微笑んでいた。


「ところで、亮は何機を受注すると言っていました?」

秀樹が石橋に聞いた。

「それが、亮君の話では来週月曜日、

つまり日本の火曜日に

アメリカで何かがあるそうです」

石橋の返事に三人が石橋の顔を見た。


「まさかアメリカの国が動く訳じゃないだろうな」

秀樹が呟いた。

「いくら亮でもアメリカを動かせる

政治的コネクションを持っていないはずだ。

 きっと亮の友人の投資ファンド会社の

ロイと民間で動き出すんだろう」


内村は秀樹の意見を否定しながらも、

自分の孫ほどの年齢の若者が

突き進んでいく姿を羨ましくも

頼もしくも思っていた。


「それにしても凄い話だ、計画を我々に

言ってから何日も経っていないのに

ドライアイスプロジェクトを

実現させてしまうんだからな。


團さん素晴らしい息子を持った」

横山はすぐにでも自分の娘を

離婚させて亮と再婚させたかった。


「團さん、そろそろ亮君と政治家を

接触させてはいかがですか?

 彼が日本を動かすのには政治家の力がいる」

石橋が秀樹に進言した。


「しかし、今のアジア情勢では

中国と太いパイプを持っている

亮君は逆に政治家に利用されてしまう

のではないでしょうか?」

内村が今の混沌とした政界を危惧していた。


「確かに今の政府は不安定だ、

与党も野党も政局ばかり見ていて

これからの日本をどの方向へ

向けていいかわかっていない。

それで彼が一緒に方向を見失っていいだろうか」

横山も政界を危惧していた。


「まだ早いのかしら亮には?」

絵里子はどうしても亮に日本を動かしてもらって

強い日本を作ってもらいたかった。

「ええ、早いのかもしれませんね」


秀樹は亮の才能を認めていたが

理想が高すぎる亮にとって

今の日本の政治の現実は失望に

値するものではないかと思っていた。


「どうですかみなさん、

亮君に皆さんの会社の優秀な社員さん

 と交流をさせてはいかがでしょうか?

大きなプロジェクトを進めて行くためには

 多くの人間を動かす方法を学ばなくてはならない、

厳しい言い方をすれば

 彼はまだそれを学んでいない」


「内村さん確かに、あいつはいつも子供の頃から

個人行動で団体生活に慣れていない

 だから一度それで苦労すべきだと思っています」

秀樹は内村の提案を快く受け入れた。


「そうかしら、亮さんは苦労しないと思いますよ。

彼は生まれながらにして、

リーダーの資質を持っています」


「あはは、それは私も感じている。

だからこそ彼には人を従えるだけではなく

自分より劣っている者や弱いもの気持ちを

理解して、やる気を起こさせる

人間になって欲しいんだ」


内村は絵里子の言葉に答え横山と

石橋そして秀樹がうなずいた。

「彼はすでに自分で学ぼうとしています・・・」

絵里子は天を仰いで独り言を言った。


~~~~~

亮はロイの会社に着くと社長室に案内され

二人の男をロイに紹介された。

「キンバリー博士。私の会社の

アドバイザーのアキラ・ダンです」

亮は白髪の男を紹介された。


「アキラ・ダンです。よろしく」

「こちらが、私のパートナーの

チャトルヴェディ博士です」

キンバリーが色黒いあご髭を

蓄えた男を亮に紹介した。

「スルニ・チャンドラバブ・チャトルヴェディです。

よろしく」


「家族名が最後に来ると言う事はインドの

アハーラーシュトラ州ですか?」

「はい、ムンバイです」

「チャトルヴァディさんはご先祖も

学者さんだったんですね」


「よくご存知ですね」

ロイは二人の会話の意味が解らず

チャトルヴェディに聞いた。

「チャトルヴェディ博士、

お名前でわかるんですか?」


「はい、チャトルヴァディと言う名は

バラモン教の聖典サンヒター、ブラーフマナ、

アーラニヤカ、ウバニシャットの4つを

習得した者に授けられ名なのです」

「おお、素晴らしい」

ロイは自慢げに語るスルニを褒めた。


「それにしても、ダンさんはインドに詳しいですね」

キンバリーが亮に興味を持って語りかけた。

「ええ、漢方薬の宝庫インドには何度か行きました」

亮が答えるとキンバリーは興味深そうな顔をして言った。


「ほほう、薬学を」

「はい」


亮とキンバリーは互いに腹を探りあっていて

「キンバリー博士、なんでも財団の

中に天才児ばかり集めている

教育機関、神経科学研究所があるそうですね」

亮は話の口火を切った。


「ほう、日本にも話が伝わっているんですか、

ダンさん、もしも天才児を

 発見したら一報願いたい、

教育かかる費用はすべて財団が払います」


「わかりました。心に留めておきます」

亮はそう返事をするとキンバリーは

せっかく天才児生まれても飛び級の無い日本の

教育は時間の無駄だと思っていた。


「私どもにお預けいただければ15歳までに

ハーバード、プリンストン、イェール、

スタンフォード、コロンビア、マサチューセツなどの

大学を卒業させる事をお約束します」


「素晴らしい教育機関ですね。その見返りは?」

亮は以前ジェニファーに聞いたのジェニファーの

姉アンナの子供ロバートが

研究施設でどのように生活しているか心配だった。


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