團警部
「ええ、前例のない事ばかりよ。それで設計図は?」
「はい、横須賀基地に届けました。
それが、司令官がわざわざ来て團によろしくと
言われました。どうして司令官が團さんの事を
知っているんでしょうね」
「そうね、亮がいつもの調子でアメリカの
軍隊の中をかき回しているんじゃないかしら」
「はい」
樫村は亮がかき回していると言う
表現がピッタリだったので
笑いをこらえるのに苦労をしていた。
そこに原巌から電話が掛かって来た。
「美咲、ご苦労だったな」
「いいえ」
「團君の事なんだが、先日の国家公務員試験
が満点だったそうだ、二次試験が有るんだが
実務経験と前回と今回の功績を考慮して
團君を警部に任命する」
「えっ、本当」
「巡査が国家公務員試験に合格は前例が
無くて苦労したが、承諾は取った」
「嬉しい、これからやり易いわ」
~~~~~~
「さて、捜査会議をするわよ。一文字大介、
清水大作、高田義信と父親の高田健治
と与謝野の関係を徹底的に調べましょう」
「はい!」
樫村は背筋を伸ばして頭を下げた。
「ところで保釈した徹の方は?」
美咲は机の上に置いてある
徹の写真を見て樫村に聞いた。
「はい、尾行を付けていますがまだ
一文字と接触をしていません」
「そう、必ず接触するはずです、油断しないで」
美咲は亮が命を懸けた捜査を無駄にしたくなかった。
「はい、警部補が戻るまでに必ず」
「お願いします。今度警部に昇進したわ」
「えっ!」
「でも今度はいつ戻ってくるのかしら?」
美咲はそう言って上を見上げた。
~~~~~
亮がBlvdに着くとロビンたちが
陽気に酒を飲んでいた。
「亮、我々が付いてきていいのか?」
マシューが亮の耳元で囁いた。
「良いですよ、ボディガードとして
一緒にいた方が良いでしょう」
亮はマシューとイーサン二人と
もっと親しくなりたかった。
「わかった」
二人はみんなに挨拶をすると
玲奈とマギーの隣に座った。
亮はデビッドとローラに呼ばれ
二人の間に亮が座るといきなり
デビッドが親しかった尚子の事を聞いた。
「亮それで尚子とはどうなった?」
「はい、尚子さんはRRレコードジャパン
からデビューしますよ。
それに彼女のお父さんと仕事をしています」
「いやいや、プライベートの方だよ」
「ああ、普通の男女の関係です」
「本当!良かった」
ローラが喜んでいた。
「そう言えばパティは?」
「この前来た時はFBIの研修を受けていたので
今度会えたら」
「そうよ、パティだって亮が自分に気が
無いって落ち込んでいたもの」
ローラが亮の横腹を肘で突いた。
「女の気持ちがわからない
ひどい男だな、お前ってやつは。
まさか彼女たちともまだと言う
訳じゃないだろう」
「いいえ、一応・・・」
亮が女性関係では大学時代と全くの
別人になっていた事をデビッドは
知らなかった。
「デビッド、Natural Grillの日本戦略に
関するレポートはどうでした?」
亮は女性の話を避け仕事の話をした。
「うん、Natural Grillをホテルチェーンの
レストランと機内食とは素晴らしい話で
親父も大喜びだ」
デビッドはうれしくて亮の肩を叩いた。
「五島商事に販売する、
冷凍商品はすぐに輸出できますね」
「ああ、もちろん。担当者はここにいる」
デビッドはローラの肩を触った。
「えっローラが」
「ああ、僕がバイオ燃料の仕事をしているので、
今度Natural Grillの取締役に
就任した」
「おめでとう、ローラ」
亮は図書館の事務員だったローラが
会社の取締役になった事がとてもうれしくて
思わずローラとハグをした。
「別にうれしくはないんだけど、仕事は楽しいわ」
ローラの笑顔はとても光っていた。
「R&Dが経営できたのも父の会社が
順調なのも僕たちが結婚できたのもすべて
亮のお蔭だ」
デビッドとローラは抱き合ってキスをした。
亮はその愛し合う二人の姿を見て羨ましくなり、
ここに居るみんなを抱きしめたくなった。
~~~~~
亮から一番離れている席に座っている
玲奈とマギー、マシューとイーサン
が話をしていた。
「マギー、亮の命をどうやって助けたんだ?」
マシューはマギーのボディガードの
レベルを知りたかった。
「ええと・・・」
マギーはチラッと亮の方を見た後、
マカオで中国人がポーカーで負けた
腹いせに亮をピストルで撃って
それをかばって脇腹を撃たれた事と
亮をかばって後頭部に船の
破片が当たった事を話した。
「すごいなあ、マギー」
イーサンはマギーに好意を持った。
「見て、見て」
マギーはイーサンに褒められて
うれしくなってドレスを捲り上げ
下半身を露出させ脇腹を見せた。
「おお」
マシューとイーサンはためらいながらも
マギーの脇腹の傷跡を見た。
「まだ新しいじゃないかこの傷」
マシューはその傷を見ながら下の
パンティの方に目が行った。
「うん、最近」
マギーは亮が感謝してくれていたのは
うれしいがプロのボディガードに
褒められてマギーは恥ずかしさも
消えてなくなった。
「本当、痛々しい。これがピストルの弾の傷なの?」
玲奈も覗き込んでマギーに同情した。
「玲奈、ピストルの弾傷って色々な種類がある、
弾に当たらなくてもナイフで切ったような傷が残る、
それは弾の周りに真空状態が出来るからだ、
そして弾が体に当たって貫通すると
こういう風に赤く盛り上がるでもまさに体で受け止めた傷だ、
ただもう少し内側だったら間違いなく死んでいた」