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232 (sideギィ)いい事を思いついた

スノウラビット族 アンデス (衛兵隊長:白熊討伐派)

         タンゲ (衛兵隊の隊員、アンデスの幼馴染:白熊討伐派)

         レニーエス (アンデスの妹:白熊討伐派)

         アリウス族長 (族長で穏健:白熊討伐派)

         ロレンズ族長補佐 (アリウス族長の補佐:ターキウス族長の追放理由を知っている)

 早朝、緊急的に部隊を徴収してメンバーが集められた。1部隊は3兎で構成され、3部隊が編制された。


 あまり多すぎると変な疑惑を持たれてもいけないことも考慮して、さらに武力衝突した際でもそれなりに対応できるようにと3部隊編成をアリウス族長より指示が入っていた。


 第1部隊はロレンズ族長補佐が全体のリーダー兼部隊長として、第2部隊をアンデス衛兵隊長、そして、第3部隊はタンゲが任されていた。


 そして、積雪の雲がまだ残っている薄暗い中に出発の号令が響いた。


「よし、部隊は整った。これから犠牲享受派の村にむかう。しかし、戦いに行くのではない。まずは交渉からとなる。皆その点を考慮するように。さあ、出発だ」


 犠牲享受派の村に移動中にロレンズ族長補佐はアンデス衛兵隊長を呼んで確認を取っていた。


「アンデス衛兵隊長、もう一度確認をしておくが、犠牲享受派の連中がレニーエスをとらえたという証拠はないんだな」

「確かな証拠はありません。ロレンズ族長補佐。しかし、レニーエスがいなくなったと思われる場所で戦闘が起きていました。そして、その戦闘のあった場所で巨大杉に残っていた傷跡はスノウラビットの爪によるものでほぼ間違いありませんでした」

「そうか。わかった・・・しかし、正攻法で話を持っていってもレニーエスを取り返すの難しいだろう。であれば・・・」


 アンデスから見てもロレンズ族長補佐は少し苦い顔をしていた。


 きっと交渉をどう進めていけばいいか考えていたのだろうことは分かった。

 それにしても、ロレンズ族長補佐はどうするつもりなのか!?

 アリウス族長から何らかの指示が入っているのだろうか!?


 アンデスにはロレンズ族長補佐がどうするつもりかは想像できなかった。


 ただ、証拠がないのにどうやって相手と交渉するのだろう。

 自分だったらどうせ犠牲享受派の連中がさらったのは間違いないのだから、めんどくさい手続きなんか行わずに怒鳴り込んで話を進めるだろう。

 それが簡単で分かりやすいのにと思っていた。


 アンデスは次にどんな質問を受けるかと思っていたが、ロレンズ族長補佐からの質問はなかった。


 アンデスは何か言った方がいいかと思ったが、特に思いつかなかったこともありそのまま第2部隊に戻り移動を続けた。


 丁度、ロレンズ族長補佐の号令出る直前に、タンゲはリザード族を探していた。

 思っていた以上遠くに離れた場所で隠れていたがすぐに分かった。


 それは、その場所から暢気に手を振ってきたからだ。

 タンゲは、アンデスに気づかれるのではないかとひやひやした。


 しかし、距離が離れていたこともあったが、リザード族はその気配を消していたので、見つける為には視界に入ってないと無理に思えた。


 あいつは何のんきに手を振っているんだ。

 まあ、距離をとって待機するように話していたことはキチンと守っているみたいだ。

 後はついてくるだけだから、問題はないだろう。


「第2部隊と第3部隊は送れずについてこいよ」


 ロレンズ族長補佐の透明感のある声が周囲に響いてくると、最初の号令に続き、3部隊全部が移動を開始し始めた。


 部隊はある程度まとまっているが、それでも、ピョンピョンと飛び跳ねながら移動するので一見するとバラバラに移動しているように見えた。


 通常では飛び跳ねながら移動することはなかったが、とらわれているレニーエスに何かあってはいけないからと、アリウス族長からスピード優先で、犠牲享受派の村に向かうように指示が出ていた。


 タンゲはリザード族に遅れずについてこいと心の中で声を掛けると他の隊の移動に合わせて移動を開始した。


 移動中は特に何の問題もなく到着した。


 普通であれば、スノウキャット達が1~2匹はいるのだが、この日に限って全く出会うことはなかった。


 こうして、アンデスとタンゲそして離れたところからついて来ているギィは、積雪の雲が抜け切る前には犠牲享受派の村の近くに到着して待機していた。


「みんな、ここで待っていてくれ。私の部隊と・・・アンデス衛兵隊長は一緒について来てくれ。これから交渉に向かう。タンゲは待機だ。スノウキャット達は村の近くには来ないと思うが注意しておくように。あと・・・・もしも、武力衝突になれば、いつでも応援に来れるようにしておいてくれ。できれば、そう言う状況にならないでいて欲しいものだがな。頼むぞ。タンゲ」

「了解しました。周囲と状況には気を配っておきます」


 武力衝突は望んでいないといっていても、ロレンズ族長補佐の表情は緊張していたので、タンゲはその可能性が大きいだろうと予想した。


 それと、リザード族が余計なことをしないでいるようにと心の中でいのりながら・・・。


 ※     ※     ※


「へぇ~、あれがもう一つのスノウラビット達の村なのか。といっても、ほとんど一緒だな。断崖絶壁の前に作っているのも、土塀で高い壁を作っているのも、門があるのも。でも、あそこにレニーエスちゃんがとらえられているのか・・・」


 タンゲ達の部隊の移動が止まった所から少し離れた場所で、ギィは正面にある村を見ていた。

 まだ、少し薄暗く、少しもやがかかっているのでよく見えなかったが、村の様子は何とかわかった。


 この場所からは村の中まではよく見えないな・・・・・・そうだっ!


 ギィはいい事を思いついたと思って周辺を見回した。


 あれがいいかな!

読んでいただきありがとうございます。

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