226 (sideギィ)報復!?
最近、時系列がばらばらになってしまっています。
すみません。
どうか、ついて行ってもらえれば・・・。
(レニーエスが影に襲われた時の話)
ガサッ・・・・ガサッガサッ
「誰!?・・・誰かいるの!?・・・・・気のせいね」
レニーエスは後ろから来る気配と物音に周囲を見回した。視界の中には変わらないいっぽん道と巨大杉だけだったが、気配だけは隠せていないようだった。
いるわ・・・1匹・・・・いや、もっと!?
そう言えば、いまはスノウキャット達が群れを成して襲っているって言っていたけど・・・・。
もしかして・・・・。
レニーエスは心配したが、今自分は一人しかいないので、複数から襲われたらひとたまりもない。とりあえず、まだ距離はあるみたいだから、気づかない振りをして祠に進む事にした。
アンデス兄さん達はまだ通過していないみたいだし、合流すれば何とかなるはず・・・・。
レニーエスはいっぽん道に出てから祠まで行こうと最初は考えていたが、敵が複数いるとするならば、巨大杉の間を抜けていった方がいいだろうと考えた。
全速力だと怪しまれるから少しスピードを落として、その分周囲に意識を広げていくしかないかな。
レニーエスは気づかない振りをして巨大杉の間を不自然にならない程度に巨大杉を背にして進んだ。しかし、後方からは、気配を消さずに少しづつ距離を詰めてきていた。
まずいわね。
このまま、このままだと後方から攻撃を受るかもしれない・・・・。
それなら・・・。
レニーエスは巨大杉の後ろに隠れた。
スノウキャットの2~3匹位だったら、なんとかなるかな。
レニーエスは衛兵隊長のアンデスの兄弟であり、タンゲとは幼馴染だったこともあり、小さいころから遊びだけでなく、戦いの訓練を行うことも多かった。
今でこそ、2兎にはかなわないが、小さい頃は互角以上に戦えていたので、レニーエスはスノウキャットが2~3匹位ならギリギリ何とかなるのではと考えた。
仮に厳しい状況になったとしても、戦闘に気づいた周辺警戒の巡回部隊が応援に来ればそれで逃れられるはず・・・・だといいけどね。
いずれにしても、このまま逃げ続けることは出来ないと考えて心を決めていた。
「・・・いるぞ、そこだ」
「右と・・・左から囲め・・・」
えっ、何・・・!?
スノウキャットじゃないの・・・・!?
レニーエスは巨大杉の後ろから聞こえてくる声がスノウキャット達の声ではない事に違和感を感じた。スノウキャット達も声を発するが、具体的に指示を出し合って連携を取ることはない。
それは、レニーエスを含むスノウラビット族にとっての共通認識だった。
レニーエスは確認したかったが、むやみに顔を出して攻撃されてしまうのは危険だと考えてた。
スノウキャット達じゃなくてもかまわない・・・いずれにしても、囲まれようとしているのは変わらない。
身体強化魔法!!
レニーエスは身体強化魔法を発動した。体全体を薄いもやがかかり、その色は白・・・薄いピンク色をしていた。
身体強化魔法はスノウラビット族が編み出した魔法だった。発動時にはもやがかかるのは変わらないが、それぞれで色が違っていた。
レニーエスは発動時のこの色薄いピンクがとても気に入っていた。そして、レニーエスの場合、攻撃力はそれほど上がらないが、スピードはかなり上昇するのだった。
レニーエスは気持ちと聴覚を集中して、敵の動きをとらえようと努めた。
右から・・・1匹・・・・左から・・・・2匹・・・いや、3匹・・・・。
ちがう、右からはそれ以上・・・・なんで、左右から6匹も・・・・。
レニーエスはこのままでは集団に囲まれて、部隊がくるまで戦闘を維持することなんて無理と考えた。
そこで、この身体強化魔法発動を利用して、逃げ切ることにしようと飛び出した。
スノウラビット族では6匹といえば、2部隊に相当する。こんな大勢で囲まれてしまえば、魔法を撃ち込まれてすぐに殺されてしまう。
レニーエスは瞬時に最高速を出して飛び出した。
そして、敵の行動を確認するために後方の敵を確認した。
ザァッ、ザァッァァァーーーー。
後方の敵を見た瞬間に、レニーエスは走るのをやめて、敵の方を向いて声を上げた。
「あなた達は犠牲享受派じゃないの!?どうして、私を襲うのよ。協定はどうしたの?」
正面にいた6兎はまとまって、レニーエスと対峙するように歩いてきた。そして、おそらく部隊長らしき、スノウラビット族が前にでて、返事をしてきた。
「はぁぁっ、お前たちがそれを言うのかっ!散々、俺たちの仲間を捕まえ続けて来たくせに。何を言っているんだ。俺たちはお前たちがやってきたことと同じことをしているだけだ。そうだろお前ら」
「そうだ。報復だ」
「俺の家族を・・・ゆるせねぇ」
「まずはそこにいる雌からだ」
「そうだ、捕まえて生け贄の代わりにしてやれ」
ちょっとまって、何をいっているの!?
報復って・・・私達は、これまで犠牲享受派を襲ったことなんて一度もないのに・・・。




