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224 (sideギィ)再開

スノウラビット族 アンデス (衛兵隊長:白熊討伐派)

         タンゲ (衛兵隊の隊員、アンデスの幼馴染:白熊討伐派)

「ね~~え、ギ~ィちゃん。元気か~ぃ」


 アンデスはおそるおそる洞窟の穴の下にいるリザード族に声を掛けた。


 ギィは丁度上を向いたときに、アンデスがいるのに気がついた。ギィはせっかく気持ちよく新しい魔法の完成に喜んだ気持ちが一気に覚めていく感覚が、逆に、怒りに向けて急速に充填していくのが分かった。


「アーーンーーデーースーーーー。おい、アンデス。お前は何なんだぁ。私をこんなところに閉じ込めて、ここから出たらお前!ただじゃ置かないからなぁ。それから、さっさとここから出しやがれ。そしたら、ギィッタギタのメェッタメタにしてやるから。おい、聞いているのか?返事位しやがれっ!こら、アンデス!返事はっ!そこにいるんだろうがぁ」


 ギィは怒りに任せてアンデスに言葉をぶちまけていた。


 アンデスはやばいと思った。もしも、魔法や何かの遠距離攻撃をされたらやばそうな気配を感じ取っていた。


 あいつやばいな。

 めっちゃくちゃ怒っているじゃないか?

 そんなんで、話なんか聞けるのか?

 レニーエスはこんな奴とどんな話をしたって言うんだ。


「ねぇ、ギィちゃん。少し話できるかなぁ~」


 アンデスは顔を出さずに少し離れたところから声だけで会話をすることにした。


「こらぁ。アンデス。話がしたいんなら、ここから出せばいいだろうがぁ。ここから出したら、なんぼでも話くらいしてやるっていうもんだ」


 アンデスは迷った。

 妹とのつながりを確認するためには話をしないといけない。

 しかし、目的の為には今はリザード族を出すことは出来ない。

 レニーエス・・・こんな大事な時に何やってるんだよ。

 どうするか?


「ギィちゃん、やっぱりいいや。今は出せないよ。まずは、レニーエスを救い出してから聞けばいい。それからでも充分間に合うだろう。だから、また今度ね」


「アンデスッ!ちょっと待てよ。レニーエスちゃんに何かあったのか?」


 アンデスはすでにその場から離れていて、ギィの声は届かなかった。


「アンデスッ!レニーエスちゃんを救うってどういうことだよ。レニーエスちゃんは友達なんだよ。もしも、困っているなら手伝うから。どういうことなのか教えろぉぉおお。アンデスゥゥゥウウッ」


 ギィはせっかく友達になったレニーエスちゃんに何が起きているのか心配になった。


 もしかしてスノウキャットにとらわれているのか!?

 もしかして白熊に襲われているのか!?

 それとも他の事件に巻き込まれているのか!?


 どれもありそうで何か出来ることがないか回りを見回した。しかし、これ迄何度も見てきた円形の壁があるだけだった。


「おいっ」


 不意に上から声が聞こえて来た。


「アンデスかっ!戻ってきたのか!?レニーエスちゃんに何があったんだ?教えろよ!」

「私はアンデスではない」

「誰だよ」

「それは・・・・とにかく、お前はリザード族のギィというのか!」

「ただのギィだ」

「そうかリザード族のギィか」

「違う師匠のギィだ!」

「ししょーーのギィ」

「違うし・しょ・うのギィだ」

「すまんが急いでいるんで、簡単に答えてほしいギィ殿。今から顔を出すが、攻撃しないと約束してもらえるか?」

「大丈夫だ。アンデス以外は攻撃しないよ」


 えっ、出してもらえるのか!

 じゃあ、攻撃なんかしなよ。

 それに、レニーエスちゃんの事あいつは知っているのかな。

 知っていたら私も救出に向かえる。

 助けられる。

 やったぁー。


 ※     ※(アンデスが洞窟に入る前)


 タンゲはアンデスの動きに何か変なとこがあった事が気がかりで悪いとは思ったが、あとをつけた。すると、アンデスは立ち入り禁止区域に指定されている。洞窟の中に入って行った。


 ここは立ち入り禁止区域じゃないか。

 アンデスはなんでこんなところに向かっているんだ。

 確か、ここは落盤や、大穴があって危険だから来てはいけないはずなのに・・・。

 こんな忙しい時に何やってるんだよ。


 そう思いながら入り口で待っていると、アンデスはすぐに出て来た。タンゲはアンデスが洞窟から離れたことを確認してから、気づかれないように洞窟の入り口に入って行った


 洞窟に入るとすぐに、何かの叫んでいる声が聞こえて来た。奥の方から聞こえて来たので、タンゲはその声のする方に向かって慎重に進んだ。


 しばらく進むと、声の主からの音はなくなったが、どこからその声が聞こえたかはすぐに分かった。そして、声を掛けると、『ししょ』などと、なんだか変なことを言っていたが、レニーエスの事を知っているようだったので、話をしてみたくなった。


「大丈夫だ。アンデス以外は攻撃しないよ」


 眼下にいたのはリザード族だった。リザード族は生け贄を捧げる相手と同じ種族だったからタンゲは非常に違和感を感じたが、それでもレニーエスの事を口走っていたから、その事だけでも解決したかった。


「なあ、あんたはレニーエスとどうつながっているんだ?」

「朝早くにね、トーロモイをもってきてくれて、話をしたんだ。アンデス・・・あいつは嫌いだけど、妹のレニーエスちゃんとは仲良くなったんだよ。友達なんだ。それでね、レニーエスちゃんがアンデスに頼んでここから出してもらうようにしてくれるって言ってたから待ってたんだ。だけど、あいつがやってきて、レニーエスちゃんの救出がどうとか言って、そのまま、いなくなったんだよ。お前はレニーエスちゃんの事を何か知っているのかい?」


 何だって、レニーエスとこのリザード族は友達なのか。そして、やっぱりここにリザード族を閉じ込めたのはアンデス・・・なんで、アンデスはこんなところにリザード族を閉じ込めたりしてるんだ。


 わからない。

 情報が少なすぎる。

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