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220 (sideギィ)影の存在!?

スノウラビット族 アンデス (衛兵隊長:白熊討伐派)

         レニーエス (アンデスの妹:白熊討伐派)

         ソロンゾ (衛兵隊の隊員:白熊討伐派)

         タンゲ (衛兵隊の隊員、アンデスの幼馴染:白熊討伐派)

 レニーエスは臨時で巡回に出ている兄の所にどのルートで行くか走りながら考えていた。


 巡回のコースをたどって行く・・・・だめ、それだと時間がかかりすぎる。

 でも、直接祠に向かって、もしも、行き違いになったら・・・・。

 迷っていても仕方がない。

 とにかく、祠に行ってから考えればいい。


 レニーエスは走りながら、門が見えてきた。

 いつもは特に問題なく出入り出来ていたから、いつも通りに門番に挨拶をして出ようとした。


「レニーエス。悪いが今日は外には出られない」

「何っ、何でよ。こっちは急いでるの。そんなのいいから・・・出しなさいよ」


 レニーエスは今にも殴りかかりそうな勢いで、門番に言い寄っていた。


「そう言われてもな。アリウス族長からの指示なんだよ。勘弁してくれよ」

「でも、今、緊急事態なの。どうしても、アンデス兄さんと話をしないといけないことがあって・・・とにかく急いでいるのよ。開けなさいよ。門!」

「そんなに怒んなよ。レニーエス。だけど内緒だぞ。ただ、最近はスノウキャット達がうろうろしているから気をつけろよ。アリウス族長もそれが理由で外出禁止令をだしてるんだからな」

「ごめん。恩に着るよ」

「今度、狩りに行くときには付き合えよ」

「うん、任せて。とにかく、急いでるから・・・ごめんね」


 レニーエスは門番にお礼をいって少しだけ開けてもらい、そこから抜けるように出て行った。


 祠まではまっすぐに行くよりも、いっぽん道を通って行った方が速いかな。


 でも、いっぽん道は最近危ないって言ってたけど・・・どうせ、巡回もいっぽん道を通るからいいや。


 レニーエスは少し危険かなと思いながらも、ギィちゃんとの和解を少しでも早く済ませる方が先だと判断した。


 レニーエスはアンデス兄さんの元に少しでも早く到着するために、はやる気持ちを抑えつつも走り続けた。


 よし、あの巨大杉を越えれば、いっぽん道にでるわね。

 もう少し・・・もう少しで兄に会える。

 ギィちゃんの事は絶対に説得しなくちゃ・・・。


 この時レニーエスは兄のアンデスに会うことに一生懸命すぎて、いっぽん道の周辺にいた影の存在に気づいていなかった。


 ※     ※     ※


「ここまで順調だな。最近はスノーキャットたちが暴れ回ってるから注意するように。先日もいきなり遭遇して、その結果戦いとなった。今は、何時あいつらがやってくるかわからないから、気を抜くなよ」

「わかりました。アンデス衛兵隊長。それにしても、今日はありがとうございました。せっかくの非番なのに出てきてもらって、本当によろしかったのですか?いやぁ、ご家族の反対とかがあると、ほらねっ・・・心配でしょう」

「タンゲ、お前は本当にどうでもいいところに気がつくよな。お前の言葉を聞いていると、ねぎらっているのか?からかっているのか分からなくなるぞ。はははっ」


 アンデスは衛兵隊長としてランクが上であったが、タンゲはアンデスとは幼馴染として一緒に育った経緯がある。


 それだけでなく、タンゲもレニーエスの事をよく知っていて、訓練を一緒に行ったり、白熊の討伐方法や村の今後についてなど、しばしばアンデスを含めて話をする仲であった。


 まるで兄弟のような間柄であった。


 それゆえ、ご家族の反対というのは、『レニーエスの反対があるんじゃないのか』ということであった。


 今回の部隊は顔見知りが多くて、雰囲気のよい巡回になったと、アンデスもタンゲも思っていた。いつもはアンデスもタンゲも巡回リーダーを行うことが多かったので、同じチームになることはほとんどなかった。


「ところで、アンデス。ここだけの話、お前の姉さんは残念だったな」

「こればっかりは、仕方がないよ。順番だからね。まあ、ターキウス前族長みたいな不幸があるわけではないし、まだ、レニーエスもいるしな」


 今回、タンゲはアンデスの姉が生け贄としての順番で出て行ったことを深く残念に思っていたので、どうしてもそれをアンデスに伝えたかった。

 しかし、それに対しては思った以上にあっさりしていたことに、どうしたんだろうと疑問に思ったが、それ以上は触れない事にした。


「そう言えば、ターキウス前族長はスノウキャット達を操っているっていう噂があるが、お前は直属の部下だったんだろう。何か知らないのか?」

「はぁぁぁ、何言ってんだ。ぶっ殺すぞっ!お前がどれだけターキウス前族長の事知ってるんだよ。勝手なうわさ適当なこと言ってんじゃねーよ。タンゲ、仮にお前でも許さねぇぞっ!」

「あっ・・・いや、そう言うつもりじゃなかったんだ。すまない。アンデス」


 アンデスは突然人格が豹変したかのように怒り出した。話をしていたタンゲもアンデスのあまりもの豹変ぶりにあっけにとられたが、何か危険を感じたためすぐに謝罪した。


 タンゲは昔の事を思い出していた。


 レニーエスとアンデスとタンゲがいつも仲良く遊んでいたころの事だ。気の強いレニーエスとそれを受け止めるアンデスのやり取りを見ていて、何時も腹を抱えて笑っていた。


 それなのにアンデスがターキウス前族長の部下になった後、ターキウスの娘のターニと恋仲なってしまったことから、歯車が狂いだしたのだ。


 それもアンデスが、最愛のターニをスノウキャットに殺されて、独りで戻ってきた頃からおかしくなっていった。


 それでも、タンゲは元のように仲の良かったアンデスに戻ってほしいと常々考えていた。

読んでいただきありがとうございます。


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