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218 (sideアリス)戦勝気分

トロンギルス(スノウキャット討伐部隊の部隊長で第1小隊の小隊長、ドロイアスよりも一回り体が大きく、穏やか:犠牲享受派)

ドロイアス(スノウキャット討伐部隊の第2小隊の小隊長、片目に傷のある体格のいいスノウラビット:犠牲享受派)

ヘロス(スノウキャット討伐部隊の第3小隊の小隊長、部隊の索敵と偵察を中心とする。性格に少し変わった所がある:犠牲享受派)

レイダス(スノウキャット討伐部隊の第4小隊の小隊長、アリスの所属する小隊で少し寡黙:犠牲享受派)

レイテ(スノウキャット討伐部隊の第4小隊のメンバー、穏やかな性格もあってアリスはレイダスよりも好感触:犠牲享受派)

「ちょっと、大丈夫なの?皆、大けがをしているのではありませんの?」

「なんだアリス。何を驚いているんだ?」


 声をかけてきたのは隊長のトロンギルスだった。しかし、トロンギルスはケガを負っているが、その怪我は頬にわずかと腹部にわずかだった。ほとんど軽傷(かすりきず)といってもおかしくないくらいだった。


「ああ、こいつらの傷か。まだまだあまい。まあ、体力馬鹿だらな。これくらいの怪我は大したことないぞ。まあ、横になっているのは身体強化魔法ブーストアップの使用後だからだろう。それも、まだまだだがな。がはははっ!」

「アリスちゃ~ん。隊長のいうことを真に受けちゃぁ、だ・め・よぉ~。隊長の反射神経と防御力はほんとぉ~に、おかし~ぃ、ものねぇ~ん」

「ヘロスっ!変なことを吹き込むな。これは日々の鍛錬の賜物だからだ。お前ら訓練が足りないんだ。この戦いが終わったらお前らは鍛えなおしが必要だな。うん」


 トロンギルスの再教育が決まったようだった。

 その言葉を聞いたスノウラビット達の戦勝に浮かれた顔から、一気に沈んだ顔に変わっていった。


 一瞬で・・・。


「ヘロス小隊長。あんまり変なことを吹き込まないでくれよ。訓練される身にもなってくれ」


 隊長の次に体の大きなドロイアスが少し弱気な声で、ヘロス小隊長に苦情を言っていた。


 アリスはあの嫌味なドロイアスの少し違った一面を見て意外に感じていた。


 少し遅れて、ヘロス小隊のメンバーが手に何かを大量に持って戻ってきた。


 アリスは戦闘終了後に密集巨大杉の方に走っていったので、戦闘後の何かの調査かと思っていた。しかし、その手にもっているものが近づいてくることで、その意味が理解できた。


「おっしゃ、皆食って体を癒せ!」


 ヘロス小隊のメンバーが手に持った木の根を配って回っていた。


「くあぁーーー。戦闘後のトーロモイはうめぇなぁ。生き返るぜ」


 アリスはこの時納得した。ある程度攻撃を受けても、回復薬である木の根(名前はトーロモイというようだが・・・)を食べれば傷はすぐに回復できる。


 だから、攻撃を受けずに倒すのではなく、攻撃を受けても出来るだけ早く敵を倒すことに集中する事がスノウラビット族の戦いなんだと。


 しかし、それは、あの第1小隊や第2小隊の体格があってこその戦いだろう。


 まあ・・・その・・・特殊過ぎて私には無理ですわね。

 でも、師匠なら・・・・。


 アリスは不意に師匠の事を思い出した。


 あれから1度も師匠からの通信は来ていない。近くに来ているなら、師匠はきっと通信を使って連絡をしてくるに違いない。


 アリスはすぐにでも探しに行きたかったが、命を救ってもらったこのに対する恩返しとせっかく強くなれる機会があるので先々の為にも今強くなっておこうと判断した。


 自分の寒さ耐性がある間は師匠が無事であるという証拠だったから、それがある以上は安心できていたこともあった。


 アリスはスノウラビット達の戦いを目の当たりにして自分の戦闘ポジションをどうするか迷っていた。


 もともとアリスは正確な攻撃と移動に特化して仲間をサポートする遠距離支援タイプだった。

 ただし、スノウキャット達の戦いはアリスの戦い方とほとんど同じだった。

 それゆえ、前回の戦いではどうする事も出来ずに死にかけたのだった。


 やはりそうですわ。

 私はスノウキャットの完全に下位互換でしかありませんわね。


 しかし・・・・。


 アリスは何かを思い出すかのように、第1小隊と第2小隊を眺めていた。


「おう、お前ら!初戦だは大勝利だな。まあ、キャット達がいくら群れようとも俺たちにかかればこんなもんだぜ」


 トロンギルスは部隊全員を鼓舞するように褒め称えた。

 トーロモイをかじりながら、第1小隊と第2小隊のスノウラビット達はがははっと笑っていた。


 そんな中、部隊の端で見つめていたアリスに向かってドロイアスがのっしのっしと歩いてきた。


「おう、嬢ちゃん。俺たちの戦いを見たか?あれが、俺たち流だ。お前みたいなほせぇ体のやつがまねできるようなもんじゃねぇからな。まあ、最後まで見学しておくんだな。わぁっははっ」


「・・・・・・・」


 アリスは何も言えなかった。

 ドロイアスが言っていることはその通りだったからだ。


 ・・・くやしかった。


 ギィちゃんと一緒ならそれなりに戦えて来たと思っていた。しかし、ここでは、体力も、スピードも、攻撃速度も、視力ですらも劣っているように思えた。


 役に立てない・・・・でも、強くならないと。


「ねえ、アリス。ドロイアスの言っていることは僕も思うよ。でもね、ドロイアスやトロンギルスやヘロスといった隊長達はスノウラビット族でも特殊だからね。気にしちゃだめだよ」


 側いたレイテは辛そうに見えるアリスにやさしく声をかけた。


 アリスは黙ったまま返事をしなかった。


 レイテはそれ以上声をかけなかった。


 身体強化魔法ブーストアップあれがあれば・・・・。

 でも、どうすればいいの!?


「ねえ、レイテ!あなたもあの身体強化魔法ブーストアップ使えるの?」

読んでいただきありがとうございます。

先日、あらすじを修正していて気がついたことがあります。

連載開始してから2年が経っていました。

途中、お休みがありましたが、応援して下さった方々のおかげで

復帰するに至りました。

もしよければ、皆様の応援が力となります。

手厳しい応援は辛いですが、それでもいいのでよろしくお願いします。

夢の総合評価2000ポイントを目指して頑張ってみます。

たぬき

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