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208 (sideギィ)レニーエスの心配事

スノウラビット族 アンデス (衛兵隊長:白熊討伐派)

         レニーエス (アンデスの妹:白熊討伐派)

 少しほっとした反面、打算的に聞いたことになんだか申し訳なく思い、一瞬どう答えたらいいか迷ってしまった。


 しかし、グレートリザードの親近者ではなかったが、ギィちゃんの師匠に当たる仲間がいる事がギィちゃんの口からこぼれてきたことに聞いておきたい気持ちが湧き上がってきたけど、これ以上詮索するのはどうしても気が引けたのでこれ以上聞くことはやめることにした。


「・・・ごめんなさい。ギィちゃんに嫌なこと聞いちゃったね」

「そんなことないよ。師匠は家族だって言ってくれているしね。それに、師匠とは生まれた時からずっと一緒だったよ。これまでいろいろ教えてもらって、ず~~と一緒に戦ってきたんだ。ここに来る前にもね凄く強い白熊と戦ったんだよ」


 白熊という言葉がギィちゃんの口から出てきたことで、レニーエスは背筋か凍るような恐怖を覚えた。レニーエスの所属するスノウラビット族はこれまで白熊と戦い続けた部族だった。


 しかし、何度も大敗を続けたことで最近では戦いを挑む事をやめている。

 そんな現状に兄は不満を常々漏らしているが、何とかなるようなことは決してありえない。

 しかし、今ギィちゃんから、そんな白熊と戦ったという言葉が出てきた。

 大事な師匠が白熊に倒されたとしたら、こんなにうれしそうに口に出すことはできないんじゃないかと思ったが、ギィちゃんは今できる事をやるだけだと言っていた。

 きっと、深い悲しみを乗り越えて今に至るんだと思うと、ギィちゃんの心の強さに、涙がこぼれて来た。


「ギィちゃん、白熊ってね、もしかして吹雪の中でやってくるスノーベアーの事だよね。その・・・大好きな家族の師匠さんの事は残念だったね」


 悲しみを乗り越えたギィちゃんにさらに深い悲しみを思い出させたことに申し訳なく思い、お悔やみを伝えた。


「うん!?レニーエスちゃん違うよ。何か勘違いしてない!?師匠はね、あの白熊を追い返したんだよ。だから、私もアリスちゃんも死なずに生きて逃げることができたんだ」


 ちょっと待って、あの白熊を・・・そんな・・・うそ・・・うそでしょう。信じられないわ。でも、もしもそれが本当だとして、その師匠がギィちゃんを助けに来たら・・・・この村は・・・・。


 兄は何か大変な勘違いをしてるんじゃないか!?それとも、もしくは何か大きな誤解をしているんじゃないか!?と思うと言いようのない恐怖がレニーエスの背中に一筋の汗が一気に流れるのを感じた。


「そ・・・そうなんだ。その師匠さんて、相当に強いんだね。・・・で、その師匠さんてキルアント族の王族か何かなの!?」


 キルアント族だったら、この極寒エリアでは能力が低下するから少しは危険が減るのではないかと思い確認をした。


「うん全然違うよ。師匠わね、スネーク族なんだ。それに体もとっても大きいし、私達の中で一番強いんだよ。いろんな魔法も使えるしね、私たちがこんな寒い中でこれほど動けるのも師匠のおかげなんだ」


 えっ、えっ、えっーーー。

 どういうことっ!?

 つまり、ギィちゃんやアリスちゃんが寒さ耐性を持っているわけじゃなくて、その師匠さんから寒さ耐性の加護を受けてるとでもいうの、だけどそんな話聞いたことないよ。


 そしたら、だめだよアンデス兄さん。

 ギィちゃんをいつまでもこんなところに閉じ込めてちゃ、この村にとんでもない危険が訪れてしまうかもしれないよ。

 はやく、兄さんに、この事を兄さんに伝えないと・・・。


 レニーエスは一刻も早くこの大変な状況を兄に伝えないといけないと考えた。


 いや、それでいいの!?

 それだけで、足りるの!?

 いや、兄だけに伝えるのでは、遅いかもしれないよ。

 族長にも伝えておいた方がいいのかもしれない。

 もう兄さん。こんな大変なことを・・・。

 一体全体、なんてことをしてくれたのよ。

 白熊の前にこの村が終わっちゃうかもしれないじゃないの。


「ギィちゃんの師匠って凄いんだね。もしも・・・もしもね、ギィちゃんがここにとらわれているってわかったら助けに来るかな?」

「そんなのあたりまえじゃん。ここにいるのがアリスちゃんでもきっと同じように助けにくると思うよ。何があってもね。だから私達は師匠を心から信用しているんだ。でも、ずーーと連絡が取れないんだよ。たぶん、遠くにいると思うんだよね。近くだったら通信っている魔法が使えるからそれで連絡とれるんだけどね・・・」


 ギィちゃんは、そんなの当然という顔で話していた。ますます、ここに幽閉しておくことの危険性は上がってしまった。

 このスノウラビット族が全員で黙っていれば何とかなるわけではないということがわかったからだ。

 ギィちゃんは何かよくわからないが、魔法で連絡を取る方法があると言っている。

 そろそろ話しを打ち切って、この事をアンデス兄さんに伝えに行かないといけない。

 辺に話を打ち切って、疑われたら大変だから注意して会話を終わらせないといけない。


「そうだ、ギィちゃん。提案があるんだけどね。聞いてくれる?」

「うん、良いよ」

「ありがとうね。今外出しているアンデス兄さんにギィちゃんを出してもらうようにお願いしてみるよ。だからね。もしも、師匠さんと連絡が取れても争いにならないようにしてほしいんだけど・・・私のお願い聞いてもらえるかな」

「うん、大丈夫だよ。だって、レニーエスちゃんとはもう友達だからね。私は友達とは出来るだけ、戦いたくないんだ。あっ、でも模擬戦ならいつでも大歓迎だよ」


 良し、とりあえず最悪の事態は回避できそうだ。

 よかったぁ。


「そう、それは良かった。私もギィちゃんと友達になれてうれしいよ。それじゃあ。約束ね。あっそうそう、また食べ物の差し入れ持ってくるから、待っててね。絶対に持ってくるからね」

「うん、楽しみにしているよ。またね。レニーエスちゃん」

読んでいただきありがとうございます。

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