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パルクール・ランナーズ  作者: 桜崎あかり
第5部『トゥルーエンディング』

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パルクール・サバイバル

・2021年10月31日付

細部調整

 4月7日、様々な勢力による衝突はありつつも――大きな問題が発生する事がなかったのは不思議な位だろう。


 その中で公式サイトが告知したイベントに注目が集まっていた。『パルクール・サバイバル』というイベント名が判明しているだけで、それ以外は不明である。


【タイトルだけ?】


【フラゲ記事かな】


【フェイクと言う可能性がありそうだ】


【どちらにしても、何かありそうな――】


【タイトルだけ先行公開では?】


 ネット上では様々な憶測もあるのだが――詳細は不明である。


 一つだけ言えるのは、ランダムフィールド・パルクールを使用したイベントである事だけ。


 事実、このイベントページが出来ているのはランダムフィールドの公式ホームページ上だからだ。


 細かいルールは徐々に発表されていき、チートや不正ガジェット以外のガジェットが使用可能、コースは10キロコース固定、上位プレイヤーによる6人同時バトルと言った ルールが判明していく。


 上位プレイヤー限定と言う事で、下位プレイヤーには無縁な話題にも見えるかもしれないが――そうではない。

サバイバルの予選日程は未発表であり、そこまでに上位プレイヤーになればチャンスはあると考えているプレイヤーが多かった。


「そう言う事か――全ては――」


 このサイトを見て、何かを察したのはビスマルクだった。ARパルクールは他にも展開されつつあり、ランダムフィールドの影響があったのかもしれない。



 4月8日、ランダムフィールド・パルクールはシステムの変更を理由にサービスが終了される事が告知された。


 これには衝撃を受けるプレイヤーは多かったが、他のARパルクールへガジェットは引き続き使用可能と言う事で――大きな炎上が起こる事はなかったのである。


 しかし、ネット炎上が全くなかった訳ではない。一連のサービス終了は、せっかく集まったプレイヤーたちをバラバラにしてしまったのである。


 その為――こうしたプレイが二度と見られなくなる可能性を感じた特定勢力が炎上――と言う展開が起こってしまった。


 この事態こそ、おそらくはミカサが恐れていた事なのだろう。せっかくの人気が特定勢力や一部のモラルのないファンによって炎上され――。


 それから1週間後、ランダムフィールドとは別のARパルクールで『パルクール・サバイバル』が行われる事が判明する。


 やはりというか――ランダムフィールドでは無理があったという事なのか? 実際はサービス終了と関連付けるまとめサイトもあったが――真相は不明のまま今回の一件が決定したと言ってもいいだろう。


【ランダムフィールドのサービス終了って、どういう事だ?】


【プレイヤーが一定数いても、それだけでサービスが継続できる訳ではない】


【つまり――常連だけでは運営が難しいと?】


【そう言う事になるな】


【この辺りが一番大変な所かもしれない】


 ランダムフィールドのサービス終了がトレンド入りする事はなかった。しかし、この衝撃は――様々な所に波及する事になる。


【そう言えば、噂ではARパルクールの有名プレイヤーがリアルのパルクールへ進出したらしいぞ】


【このまとめサイトによれば――】


【それこそネタじゃないのか? あるいはフェイクニュースとか】


【それも――フェイクとは思えない】


【関連動画があるのか?】


【別のプレイヤーが研究用に録画した物らしいが――】


 動画の内容は、目を疑う様な物だった。まるで、ARパルクールに進出したビスマルクの逆バージョンである。彼女の動きはARパルクールで見せるソレをパルクールのフィールドで展開したのだ。



 ゴールデンウィークに突入しようとしていた4月28日――西雲春南にしぐも・はるなは予想外の場所で話題となっていた。


 その場所とは――ARではないパルクールである。ビスマルクがARパルクールでプロゲーマーに匹敵する実力者となっている中で、真逆とも言える展開だろう。


 彼女の服装はメイド服であるが、ARガジェットやARアーマーは未装着――つまり、下手をすれば怪我をする可能性だってあるのだ。


 それなのに、ギャラリーの反響があるのは――彼女がランダムフィールド・パルクールである程度有名なプレイヤーだった事もあるだろう。


 しかし、それ以上に、そのプレイヤーがパルクールへ進出した事の方が驚きで迎えられたと言ってもいい。


(このフィールド、今までとは感じた事のないような空気を感じる)


 西雲は周囲の雰囲気がARゲームの時とは違う事を、周囲のギャラリーを少し眺めて――察する。


 しかし、この空気に飲まれてペースを乱されるようであればー―ARゲームの時に鍛えられたメンタルも偽りとなるだろう。


(私はランダムフィールドがサービス終了したとしても、そこで歩みを止めたりはしない!)


 ランダムフィールドのサービス終了は、確かにダメージになるような痛い物である。


 しかし、そこで立ち止まっては今まで得てきた物を一気に失うかもしれない――それがリアルのパルクールへの進出を決めた。


「ここからが、私の新たなスタートライン」


 西雲は冷静だった表情を変えて、レースに挑む。


 この結果は、別の意味でもビスマルクの目に留まる事になり、そこから別の流れを生み出すきっかけにもなった。

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