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パルクール・ランナーズ  作者: 桜崎あかり
第4部
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打たれた先手

・2021年10月30日付

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 午後1時20分、様々な勢力がネット上で論争を展開しているのだが――その理由は書くまでもないだろう。オケアノスで起きた事故の一件は、運営が想定していた以上のスピードで学級会やまとめサイトで取り上げられていき、次第に大炎上するのだろうか。


「まさか、これほどのスピードで炎上するとは――」


 炎上行為をどうやって止めるべきなのか――力技ではミカサと同じで上手く機能するかも分からない。


 下手をすれば、ミカサの便乗等と逆に炎上ネタにされるのは目に見えている。そこで、ビスマルクは別手段で訴える事にした。


 力技の方が手っ取り早いし、周囲がテンプレで同様のアクションを起こせば――あっという間にネット上で話題になるだろう。


 しかし、そう言った力技だけでは解決しないことだってある。それをビスマルクは悟り始めていた。


「力技以外では、これしかないのか――」


 彼女の手にはタブレット端末があり、そこに表示されていたサイトは――。


【超有名アイドル商法のノウハウ教えます】


【芸能事務所AとJを信じれば、日本が救える!】


【これを実践すれば、一週間で1000万円も夢じゃない!】


 これではまるで、何処かの振り込め詐欺サイトである。これが放置されていた事も――非常に危険なのだが。SNSテロと言う悲劇の連鎖を止める為にも、先手を打って止めなくてはいけない。


 ミカサやナガト、それらに便乗する勢力は炎上する事こそ目的と考えている節さえある。


 ビスマルクのいた場所は草加駅近辺のアンテナショップであり、ギャラリーも集まりつつあった。


 迂闊に行動すれば、ギャラリーがSNSに画像をアップして――逆に炎上しかねない。仮にもパルクールのプレイヤーと言う事もあり、注目度が高いのが裏目にでいていた。


「どう行動するべきなのか――」


 周囲の目を盗んで説得を行うにしても、ARバイザーを使う必要性が出てくるだろう。しかし、それの方が逆に目立つ可能性が高い。どちらにしても、別の方法で説得する必要性があった。

 


 午後1時30分、ビスマルクの行動を変えられてしまう展開が起きてしまう。天気は晴天だったが――ネット上には台風が来たような光景が展開されている。


【まとめサイトが吊し上げにあっている】


【それも一つだけじゃない。複数だ! 複数のサイトが閲覧できない】


【悪質なまとめサイトが閲覧できないのは草加市限定のはず】


【足立区からアクセスしようとした人物の情報だ。おそらく、何処からアクセスしても同じだろう】


 このつぶやきが拡散した時には、ビスマルクの想定していた作戦が破たんしたのである。まとめサイトに対して、これ以上の炎上行為が無駄である事を説得するはずが――先手を打たれたのだ。


 ウイルス等で炎上したというよりは、フェイクニュースを報道し続けた事に対して警告を受けた可能性の方が高い。そして、警告を無視し続けた結果が――今回の一件に繋がった、と別サイトのニュース記事が伝えている。


【あのまとめサイトはつるしあげられて当然だな】


【SNSテロを起こしていた元凶、遂に潰されたか】


【これで怪我人とか出ていたら、本気でARゲームが潰されていた事を考えると――】


 様々なコメントが拡散されている事から、既に吊し上げされた後らしい。該当サイトは既に404エラーで閲覧出来ない状態である。警察の手に落ちたと言うべきか?


「何て事を――」


 後にニュースで報道された情報によると、まとめサイトの管理人は芸能事務所AとJ関連の広告会社だったとの事らしい。


 これに関してはフェイクでも何でもない――事実だった。このニュースを見て、面白おかしく記事を書き変えて炎上させる勢力がいるのは間違いないだろう。


『これは――まずい』


 別の場所でまとめサイトの吊し上げまとめを見ていたミカサも、この状況には――思考が追い付かない。自分のやって来た事が全部無駄に終わってしまうのか? それとも逆に他の広告会社等の手柄にされてしまうのか?


 どちらにしても――危険な状態になっているのは間違いない。しかも、極めつけが――。


「何としても、あの勢力を止めなければ――」


 唐突にミカサの声はボイスチェンジャー経由の声から、女性の生声に変化した。この声を聞いているギャラリーはいなかったので、まずは助かったと言うべきか。

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