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パルクール・ランナーズ  作者: 桜崎あかり
第2部

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1年前の惨劇

・2021年10月26日付

細部調整

 ビスマルクがフレスヴェルクと言う名前を見て、ある特撮番組を連想したのは間違いではない。パワードフォースと言うタイトルの特撮番組で、同じような外見の人物がいたからである。


 しかし、フレスヴェルクのコスプレイヤーが、これだけのレベルを――と言うのも納得できない部分があった。何処かの芸能事務所に所属しているアイドルのコスプレとも疑うが、それにしては顔もテレビで見た時と同じ――つまり、演じた俳優本人と瓜二つである。


「一体、何がどうなって――」


 しばらくして後ろを振り向くと、別のプレイヤーらしき人物が終わるのを待っていた。つまり、待機しているという事だろう。


 これ以上の占拠は時間の無駄と判断し――ビスマルクは買い物の方を済ませる事にする。


「そう言えば――」


 ビスマルクは、順番待ちをしていた男性とすれ違うのだが――その目はビスマルクの方を見ていたかもしれない。


 さすがに長く使いすぎた事に対して怒っている訳ではないだろう。しかし、その感情はどちらかと言うと――。


「メットは――してないよね?」


 ビスマルクは改めて男性の方を向いたが、特にフルフェイスと言う訳ではない。コンビニ内でもARメットは禁止ではない一方で、一部のシステムは店内に入ったと同時にロックされる。


 具体的にはARバイザー等の見ている映像をAR画像で処理するシステム、ボイスチェンジャーなどだ。これらの機能が強盗や窃盗等に悪用されては風評被害が広がると判断したのだろう。



 2月13日、様々なプレイヤーがオケアノスを訪れるようになっているのは――調査をしなくても明らかだろう。それ程にフレスヴェルクの一件は目立っていたと言うべきか? あるいは黒騎士ナガトの方か――どちらにしても、観光客が増えるのは草加市にとっても都合が良かった。


 市民からは色々なクレームも来るだろうが――と覚悟はしていたのだが、オケアノスが出来てからはそう言った苦情は来ていない。


 理由は不明だが、オケアノスがゲームマナーを学ぶ講習会を行ったり、無人ドローンや監視カメラ等のシステムを犯罪防止等に応用している点も評価されているのだろう。市民が買収されているのでは――と考えるまとめサイト管理人が草加市に取材を申し込んだ事もあったが、こちらは拒否されている。


【そう言えば、ミカサと裏取引しているのでは――と考えたまとめサイト管理人が、炎上している話だ】


【ミリオンプレイヤーには秘密があるのは――当然の噺と考えるが】


【まさか、まとめサイトがまた潰されたのか?】


【これも草加市の圧力か?】


【ソレは違う。仮にそうだったら、ニュースになっていておかしくない】


【じゃあ、何者がサイトを潰すのか?】


【まさかと思うが、まとめサイトの管理人の自宅を特定して――と言うパターンを考えているのか?】


【SNSテロと判定されれば、アカウント凍結されるなら別の手段を――と】


【物理突撃をやったら、それこそペナルティどころのレベルではない。警察に逮捕されるぞ】


 様々な発言がまとめサイトに載っているが、それが真実と考えている閲覧者は少ない。真実ではなく、これらのコメントはWEB小説を切り貼りして捏造しているという話のある大手まとめサイトの物だからである。


「あからさまなコメントが多くて――こっちの身にもなってみろ、と」


 スマホでニュースサイトを見て、怒りたいような衝動に駆られた長渡天夜ながと・てんやだが――それでもスマホは叩きつけない。


 それをやっても無意味な事を知っているからだ――同じような場面がデジャブしたとしても。


 彼がサイトを閲覧していた場所は、谷塚駅内の休憩スペースだ。それを踏まえると他の一般客にも見られる事になるだろう。


 それに加えて――ネットで英雄になりたいと願望欲求を持つ一般ユーザーが、ふとした事で炎上できそうなネタを探してまとめサイトを立てる事もありえた。


 それをやられると、ARゲーム運営としても堪ったものではない。一歩間違えれば、SNSテロが起きる可能性やネット炎上もあり得た。


「しかし、今回のタイミングで現れたミカサと言う人物――何者なのだろうか」


 実は長渡もネット上で有名であり、ウィキや大百科で記事も作られているのに――今の今までミカサの事をあまり知らないのである。


「ミカサと言えば、1年前にネットから失踪した三笠の方も気になるが――」


 彼の言う三笠とは――三笠藍みかさ・あいと言う女性だ。彼女も同じミカサと言う読み方をするので、最初はそちらとも判断出来るのだが――結局はネット上で炎上事件が起きた後に姿を見せたという報告は聞かない。


 最低でもハンドルネームを変えて密かに活動しているのでは――とミカサと名乗る人物を片っ端に炎上させた事件もあった。


 しかし、その行動が一種のSNSテロと認定され、国会でも一時期問題視されていたのは、ネット上でも有名な話である。


「1年前に起こった悲劇から、彼らは何も学ばないのか?」


 長渡はネット炎上事件の詳細をリアルタイムで目撃していた人物でもあり――ある種の被害者とも言えなくもない。実際に被害者なのは三笠本人かもしれないが、ARゲームまで一緒に炎上されては、さすがの彼も黙って見過ごす訳にはいなかった。


「過去の事例は、WEB小説等の形で警告はされてきた。それなのに問題を放置した事――その代償は高くついた」


 一連の事件が決着し、それからネットに対する規制法案が強化――それと同時に日本国内におけるSNSテロ規制法案も新設された。


 この法案によって、事実上のデスゲーム禁止が明言され――日本に置いての命のやりとりはフィクション以外で全面禁止される事になる。

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