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パルクール・ランナーズ  作者: 桜崎あかり
第2部

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22/63

黒騎士ナガト

・2021年10月26日付

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 午前10時30分、草加市では謎の黒騎士が突如としてつぶやきサイトのトレンドに入る程のワードになっていた。その理由は、例のなりすましとされるアイドル投資家を倒した事にある。オケアノスエリアは関係なくデスゲームは禁止なので、倒したと言ってもゲームでの撃破扱い。


「これは驚いた。まさかネット上で噂の黒騎士が新たに姿を見せるとは――」


 別のエリアをうろついていたフレスヴェルクは、黒騎士を発見したのだが――それと同時にアロハシャツの袖裏から薄いスマホにも似たような端末を取り出す。


 そのガジェットは――間違いなくARガジェットだった。腰の辺りに端末をかざすと、腰に何もなかった所からベルトが出現する。


 おそらくは特撮ヒーローにあるような変身ベルトだろう――黒騎士は無言で察した。こちらも自分の姿を見た以上は――と考えたのだが、この人物はある事を思いつく。


『ネット上――そう言う事か』


 黒騎士はARバイザーをSNSモードにして、状況を把握した。その様子を見たフレスヴェルクは――。


「ワンオフやカスタムガジェットではないと言う事は――お前は一体、何者だ?」


『悪質な便乗黒騎士ではないと言うのは事実だ』


「言葉だけで信用出来ると――」


『先ほどの人物、あれは偽者だ。後で分かる』


「後で? 冗談は――?」


 フレスヴェルクが黒騎士と話している途中で、どこかから着信音が鳴る。ARバイザーでは着信音と言う概念がない為、おそらくはフレスヴェルクのスマホか何かだろう。


「――分かった。今回は信用する」


 着信音のなっていたスマホを操作し、特殊なニュースアプリを立ち上げ――掲載されたニュースを見て、黒騎士を信用する事にした。


 しかし、捕まえたのはガーディアンと記載されているので――もしかするとガーディアンと言う可能性もあるが。フレスヴェルクに関しては、その情報を確認後――別の場所へ向かう事になり、黒騎士とはここで別れる事になった。


【大手まとめサイト、地下アイドルの芸能事務所との裏取引で炎上】


 フレスヴェルクが確認したニュースの見出しには、こう書かれていた。ニュースの内容は見なくても、触れられている物は即座に分かる。それ程に、彼は事の重大さを察していたのだ。これ以上の遅れは――本気で依頼に影響が出る、と。



 ネット上で例の黒騎士がナガトと言う人物だと分かったのは、このニュースが拡散してから1時間後の事である。しかし、名前が判明するきっかけは彼の投稿したプレイ動画でナガトと名乗った事による物だ。


「既に再生数10万だと?」


 該当する動画はランダムフィールド・パルクールのプレイ動画だった事には彼も驚く。しかし、驚く個所はそれだけじゃなかった。プレイ回数は既に100回以上――ランクも60と高い。


「最大レベルは、現状で100が最大と聞く――まさか、本物だと言うのか?」


 プレイに関しては完璧の一言、動きに関してもコメントで『凄い』や『かっこいい』の弾幕コメントになっていた。相手プレイヤーを挑発するようなルート選択をする、ヒューマノイドモードを使用しない、縛りプレイのようなランニング特化という欠点を除けば――列強と言っても過言ではない。


 現段階でランカーを対象としたイベントが開かれた場合、ミカサに太刀打ちできるのは彼だけかも――とネット上では予想合戦になっているだろう。


 その証明として、非合法のカジノサイトではナガトの倍率は2倍以下――ほぼ100%勝つような倍率になっている。


「向こうとの契約関係もあるが、これ以上のスケジュール遅れはクライアントに――」


 動画を見て焦りを感じたフレスヴェルクは、草加駅より1キロほど離れた場所にあるギルドへと向かう事にした。このギルドは、最近になってランダムフィールドを設置したばかりの場所であり――穴場と言っても過言ではない。


 あまりにも店舗が奇麗すぎて、女性客が多いという難点を除けば――だが。


 彼のクライアントは準大手のゲームメーカー、ネットで炎上する前にランダムフィールド・パルクールをサービス終了にする事が目的だった。


 しかし、例のニュースを目撃し、更には黒騎士ナガトが暗躍する現状は――滅多に焦らない彼を焦らせ、判断を鈍らせるには十分な流れなのは間違いない。



 午前11時、フレスヴェルクはギルドでランダムフィールドのエントリー受付を終えて、初めてのプレイに挑戦しようとしていた。


 ARアーマーは、ナガトに対して使用しようとしていた変身ベルトをそのまま使うらしい。これに関して、ギルド側は問題視しなかったのでチートではないと認められたと言える。


「変身!!」


 スタート地点にやって来たフレスヴェルクは、変身の構えを取ってベルトを展開――そのまま特撮ヒーローの如く変身する。


 ARアーマーはワンオフと言ってもいい仕様、ARバイザーも実在の特撮番組ではなく、オリジナルデザインのSFヒーローを連想させた。


 本来であればARパルクール用の物ではなく――FPSで使用する装備を一部で持っていたが、そちらはランダムフィールドでは封印されて使えない。


《一部装備はロックされております》


 唯一ロックされていないのは、両肩のシールド型のビームアンカーのみ。本来の使用用途は相手を捕まえて投げ飛ばす――と言う物だが、クライミングや障害物を越える為の手段にしか使えないだろう。


 ランダムフィールド・パルクールでは相手プレイヤーを意図的に傷つけたりする行為は禁止されているためだ。


『さて、こちらも本気を出しますか――』


 初見プレイで本気を出し過ぎたフレスヴェルクは、思わぬ方向で目立つ結果を作ってしまう。中級者コースを――初見で1位通過してしまったからである。おかげで、パルクールレベルは一気に10も上昇した。その動きはナガトほどではない一方で、アスリート系の動きとサイトでは分析されている。

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