センラバルの町へ
ーー???
「……あの〜、大丈……ですか?」
途切れ途切れに、誰かの声がする。
「(?)」
輝は眠そうに目を開けた。
すると、視界に自分を覗き込む目が飛び込んできた。
「うわぁっ!?」
バサンッ。驚いた輝は、自分の寝ていた場所から横に落ちた。
※輝は西洋風の細工がされた石の台で寝ていた。
「いててて……、誰だよ脅かしやがって!……えっ!?」
首をさすり、声のした方向を見てみるとそこには大西美香が居た。
格好からして輝達より先に来ているようだ。
「え!?なんで?似てるとは思ったけど……まさか本当に藤崎君?」
「嘘?なんでお前が居るんだよっ?」
大西が居る事に戸惑いながらも、輝は竜崎を探さなければいけなかったので、一旦話は中断された。
辺りをキョロキョロする輝に大西が聞く。
「誰かと一緒に来たの!?」
「ああ、竜崎と一緒に来たんだ。あのヤロー、どこ行ったんだ?」
どうやら日中の魔界で、輝は竜崎を探し始めた。
雲ひとつない青空が、やけに眩しい。
「この神殿広いし、手伝うね。」
大西もとりあえず竜崎探しを手伝ってくれるらしい。
白っぽい神殿の周りには、大きな木がポツポツとあり、草の背丈はそれ程高くなかった。
そして比較的大きな木の下を通り抜けようとした時だった。ガサガサッ。
「ん?」
音のした頭上を見上げると、黒い影が輝に向かって飛びかかってきた。
ヒュンッ。
「うわ!?」
あわてて横に飛んだ輝。しかし、相手は追撃をしてきた。
ダガーを使い、輝を攻めてくる。
「やめろって!何者だよ?」
「戦闘の訓練受けてから来なかったの!?魔界に暫くいるなら、敵は追い払えないとだめよ。」
大西の言葉に、魔界での鉄則を思い出した輝。そう、自分の身は自分で守るのだ。
「(よし、こいつに勝つ!)」
相手がダガーを振りかざす瞬間、輝は手首を攻撃した。
思いがけないタイミングで攻撃された相手は、片方のダガーを落とした。
黒い布で顔を隠した盗賊風の相手は、驚いた様子だ。
しかし、盗賊はダガーのもう片方があるので輝を倒す事を諦めていなかった。
輝はダガーを後方に置き、相手に向き直る。
そして、武器が片方になり隙の増えた相手を攻めた。
ドガッ。※輝が盗賊のみぞおちに蹴りを入れた。
「くっ、小僧が……。」
盗賊はうめき声をあげると、倒れた。
「盗賊にゃ負けないぜ?」
「(おお、やるじゃん。)」
経験はないものの、なんとか盗賊を倒した輝。大西は少し見直したようだ。
盗賊を倒したので、再び歩きだそうとした輝と大西。
すると、後ろから「おーい」という声が聞こえてきた。
走って近づいてくる声の主は竜崎だった。
「よかった(汗)俺一人しか来れなかったのかと……。」
「大丈夫だったか!?俺なんか盗賊に襲われたぜ。」
「まじか!」
「……あのー。」
2人が話す中、輝の影に隠れていた大西がひょっこり顔をだす。
「へっ!?大西がいる……。」
「まあ、びっくりするわな(汗)魔界だと俺らの先輩だぜ。」
「べ、べつにそんな先輩じゃっ!」
先輩じゃないという大西だが、もちろん魔界には輝達より先に来ている。
(大西がいつから来ているのか、前にも来ていて二度目なのかは分からないが。)
「私は予定があるけど、2人はこれからどうするの?」
「うーん……この神殿探索するとか!」
「それもいいけど、宿探さないと寝る場所無くなるぜ?」
「(ほんとこの2人大丈夫かな?(汗))」
ウキウキしている竜崎と、ついさっきの体験からつっこむ輝。
大西から見れば隙だらけで、危険な者のターゲットにされかねなかった。
「(来たばっかだし、しょうがないか。)最初にやらなきゃいけない事があるから、町に行こう。他の事はそれからね。」
ーー魔界中部、「センラバルの町」
神殿から歩く事30分。最初の町に到着した。
至る所で催しものがされていて、町はとても賑やかだった。
「すげーっ!人も多いし、あっちはイベントしてるみたいだぜ!?」
「なんか楽しくなってきた!」
「この町は冒険者が最初に寄る町だから、賑やかなの。」
3階だての建物が並ぶ中央通りは、出店が多く……。
「ハップルの包み焼きはいかが〜っ!?」
「ムマの肉、新鮮な野菜もあるよ〜っ!」
「ハップル?ムマ?」
※ハップルはリンゴ。ムマは走るのが早いが飛べない鳥。
どうやら、調理済みの食べ物もあれば新鮮な食材もあるようだ。
さらには、こんな声が聞こえてきた。
「“飛竜石”から最高級の“人魚の涙”まで!さあ買った買った!」
「なんだ、今すごい物の名前がさらっと聞こえたんだが!?」
「宝石の商人ね。(もしかしたら、思わぬ装備品が手に入るかも。)」
出店が気になりつつも、中央通りの一つ隣にある通りへ輝たちは入っていった。
そして目の前に現れた建物こそ、大西が目的にしていた建物だった。
西部劇に出てきそうな木造の建物で、特徴は簡単に開きそうな扉だ。
まるでBARだが、中に入るとそこは以外な場所だった。




