第28話:殿、大人も学校に通います
布武丸小学校が開校して一年。
子供たちはすっかり賢くなった。
「殿!米俵の計算、もう子供に任せれば間違いありません!」
「字が書けるから、子供に文を書かせたら商人が驚いてました!」
……なんか子供が家の経営を仕切り始めてるんだけど?
―――
一方、大人たちは焦っていた。
「わしらより子供のほうが頭が回る……」
「税の計算を子供に教わるなんて情けない……」
「でも学校は子供のものだろう……?」
俺は笑って言った。
「おとなも!がっこう、きていい!」
―――
翌日から――大人も学校へ。
教室には子供と大人が入り混じり、黒板を前に真剣に座っている。
「いちたすいち!」
「にーーーっ!!」
元気よく答えるのは子供。
隣でこっそり声を合わせるのは大人。
さらに給食の時間。
「今日は味噌汁と団子と……特製カステラ!」
「やったあああ!!!」(子供)
「やったあああ!!!」(大人)
……おやつ欲しさで大人のプライド消えてるな。
―――
だが効果は抜群だった。
大工は図面を描けるようになり、
農民は収穫量を帳簿に記録し、
商人は複式簿記っぽいことを始めていた。
父上もこっそり通い、九九を暗唱していた。
「ににんがし……さんさんが……えーと……」
「父上!声が小さい!」
「す、すまん……」
―――
数か月後。
村はまるで巨大な学園都市。
子供も大人も、勉強とおやつを糧に、日に日に知恵をつけていった。
重臣「布武丸様……もはや村全体が“学校国家”に……」
父上「戦ではなく、学びで国を治めるとは……」
俺は黒板の前に立ち、チョーク代わりの木炭で書き殴った。
『学びは天下布武』
そして胸を張って叫ぶ。
「おとな!こども!べんきょう!てんかふぶ!」
全員「「「おおおおぉぉぉ!!!」」」
布武丸、9歳。
大人まで学校に通わせ、村を学園国家にした春の出来事である。




