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エピローグ

ラストです。

 その日は、2人の門出を祝うように澄み切った青空だった。


 結婚式は、歴代のリューバルト大公が式を挙げる公都はずれにある教会で行われた。

 新郎新婦共に純白の衣装に身を包んでいた。


「エルミール妃殿下(・・・)、おめでとうございます」

 結婚式後のお披露目を兼ねたガーデンパーティー――晩餐会ではなかったのは、ひとえに2人が口をそろえて、新婚旅行を兼ねた外交に行きたいから、と言ったからだ――でまず初めに、挨拶に来たのはくすんだ水色のカクテルドレスを着た黒髪暗赤色の瞳の少女、ザザ・ナハトリ――北帝国の辺境伯の娘でアドリアンの弟、レオンの恋人である――が、冗談交じりで、わざと敬語付き(・・・・)で祝いの言葉を言った。彼女は男勝りな性格で、狩りなどを得意とし、当時から仕事大好き引きこもり(ワーカーホリック)気味だったレオンが視察から引き連れて帰ってきて、そのまま|周囲もドン引くくらいの恋人同士バカップルとなった経緯は、大公家の解いてはいけない謎(パンドラの箱)の一つとして未だに誰も知らなかった(ちなみによくよく聞いてみると、2人はすでに結婚しているのだそうだ)。エルミールから見たアドリアンの弟、レオンの印象は確かに引きこもっていそうな雰囲気だった。2人とも母親のジゼルとオルガには全く似ていない。

 あのオイドリヒ国王断罪の直後、大公国にエルミールがアドリアンに連れられてきて、大公一家の面々相手に緊張しているエルミールにザザは、気さくに声をかけ、エルミールにとって人生初の『友達』となった。

「ザザ、やめてよ」

「いいじゃない。私がこうやって敬語になるのは今日だけ、ですのよ」

 ザザは、軽く右目でウィンクした。ちなみに、エルミールが大公家の一員としては一番若かったが、一番大人びても見える。


 ちなみに、アドリアンの母親とレオンの母親に最初に挨拶した時、

「あら、こんなアドリアンに見合う年齢の女性で、未婚の方がこの大陸にまだいらっしゃったの」

「そうね。こないだレオンがザザちゃんを引っ張ってきたときは、年齢より幼く見えてたから、『それ、誘拐したらまずい年齢なんじゃないの』ってちょっと焦ったけれど、アドリアンくんはちゃんと大人の子を連てきたね」

 と言われた。いつものように、実年齢(14歳)と裏事情を言ったら、

「嘘でしょ。アドリアン、あんた、幼女趣味(ロリコン)だったの?」

「ジゼルお姉さま、エルミール王女様は私たちでさえ年齢を隠せてたのよ。身内には疑うことを知らないアドリアンくんは騙されるわよ」

「そうね、オルガ。レオンくんなら見破って故郷(その場)に置いておいて、通い詰めて自分好みに育てる(調教する)わね」

「絶対にそうよね」

 などと、若干物々しい語句が混じってたような感じがしたが、とりあえず何も言われなかったので、反対はされなかったみたいだ、とエルミールたちは胸をなでおろした。


 一通り国内外の賓客――国外からの賓客は、エルミールの兄王やその弟たち、リンデン王国の王太子夫妻、そして3か月の間に滞在した国の君主や外交官もいた――の挨拶が終わり、遥か彼方の国の風習を取り入れ、『お色直し』と呼ばれる着替えも何回か行った。この結婚式は、『外交上手の大公』と呼ばれるアドリアンの名に負けないよう、食事や花なども雰囲気を壊さない程度に国際色を豊かにしていた(ちなみに手配したのは大公兄弟(アドリアンとレオン)だった)。

『お色直し』では、その『お色直し』と呼ばれる文化がある国『煌』の民族衣装が一番人気だった。以前、アドリアンがエルミールそっくりだと思った薔薇に似た花――赤のツバキ――の花が生地に刺繍されていたものだった。


 そうして、みんなで楽しく同じ時を過ごすという、夢のようなひと時が過ぎていった。






「エル、行く?」

「うん、行きましょう」

 銀髪の彼と蜂蜜色の髪の彼女はまた、新たな地を求めて今日も歩いていく。あなたの近くに来る時があるかもしれない。







「一緒に来てくれる?」

「ええ、もちろん。






 どこまでもついて行きます」







 Fin.

アドリアンは外交で得たコネを活用できています。遥か彼方の大陸の国『煌』にまできちんと届いています(笑)

お母さんs、通常運転です

ザザさん、レオンさんとのイチャイチャ書きたい(ちなみに結局、レオンさんを本編に登場させることはできなかったのが悔やまれる)

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