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幼馴染は俺のことを好きじゃないのに、独占欲だけ強いらしい  作者: 海風


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8/11

決別

「ねえ凪斗」


「返事して凪斗」


「目合わせてよ凪斗」


 あの日以来、何度無視しても唯は話しかけてくることをやめず、それどころか日が経つごとにそれは悪化していた。

 唯が隣のクラスの男子といい感じだと言った時、初めて恋を自覚した。そして、その瞬間その恋は終わった。

 唯は、俺と恋人よりもっと深いところで繋がっていたいと、そして誰のことも好きになるなと言ってきた。唯が、唯でいるために。

 幼い頃からずっと一緒に育ってきた、唯の一部となっている俺が変わるのが許せないんだろう。言っていることは分かる。でも無理だ。好きになってしまった。変わらない関係なんてもう無理なんだ。

 また、唯の目が俺を捉える。足が、こっちへ動いてくる。

 言うんだ。


「ねぇ凪..」

「もう話しかけないで欲しい。お願いだから」

「勝手に好きになったくせに。それに言ったでしょ?凪斗が私無しで生きられるわけない。はやくいじけんのやめた方がいいよ」

「別に生きられなくたっていいよ。好きになってごめん。」

「は..?」


 席を立つ。とにかく、ここではないどこかへ逃げないと。


「逃げんなっつってんじゃん!」


 シャツの袖を掴んだ唯の手を振り解く。


「2度と喋らないから」

「ねえ本気?」


 返事はせず教室を出る。また目が熱くなってくる。本気なんだ。そう自分に言い聞かせる。

 もう、唯とは喋らない。


 スマホの通知音が絶え間なく鳴り始める。既読はつけず、唯のアカウントに飛ぶ。

 ブロック。歩き続けているからなのか、手が酷くぶれる。視界も良くない。どこからともなく降ってきた雨が操作を妨げる。

 

「あぁ..」


 学校の一番端。体育館の裏扉に寄りかかるように座る。

 唯のアカウントとトーク履歴は俺の端末から消滅し、通知は鳴り止んだ。

 最後に見えた通知は、私たちはずっと一緒。


「ふざけんなぁ..」


 自分の体に顔を埋める。また、足音が聞こえてくる。逃げなきゃ。

 がむしゃらに足を動かす。廊下を抜け、階段を駆け上がり、誰かと肩がぶつかった。


「いって」

「あ、ごめん」

「あれ、君あれじゃん。唯の幼馴染でしょ」


 端正な顔立ちをした彼は、唯がいい感じと言っていた、蒼井春翔その人だった。




更新が遅れてしまい申し訳ありません。

これからまた更新していきますので、よければ応援お願いします。

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