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Dear World  作者: 山波 孝麻
第3章 熾天使とドラーゲンドルフの魔王
251/253

第251話 火山島ヌーフォリア

 堕天(だてん)という言葉を浴びせられた白亜(はくあ)は落ち着きを取り戻し、白色のスラックスの膝頭(ひざがしら)に付着した土を払った。


何事もなかったように表情は真顔に戻り、赤の女王に尋ねた。


「赤の女王様はどこにお住いなのでしょうか?」


「様なんて付けなくて良いよ。俺の家はマドリーナ王国にあるよ。旅をしてるからほとんど家にはいないんだけどね。」


「マドリーナ王国?」


「ヨミ大陸の最南東にある国だよ。少し前まではタケトラ領と呼ばれていた土地なんだ。とても素敵な国だよ。王様がね、最高なのさ。」


「ヨミ大陸の最南東と言えば、グラングランがあるかと存じます。」


「あれ?グラングランを知っているの?グラングランはね、マドリーナ王国の一部なんだよ。そう言えば、クラングランには天使の市長のリアさんがいるよ。」


白亜は驚いて赤の女王を見た。


「リア様をご存知なのですか?」


「うん。数箇月の間、リアさんを警護する仕事をしたことがあるんだ。」


白亜は切実な表情となって、濃い碧眼(へきがん)で赤の女王を見つめた。


「リア様に私を紹介していただけないでしょうか?」


赤の女王は少し考え込んだ後、静かに返答した。


「白亜とは出会ったばかりだからさ、君がどんな人物なのかよく分からない。一緒に旅して、良いヒトだと感じたら、紹介してもいいよ。」


「もちろん、それで結構です。よろしくお願いいたします。」



 マドリーナ王国最大の都市で、テチス海に面するグラングランの南には、(さめ)の形質を有した千家(せんげ)海坊主(うみぼうず)が縄張りとする諸島がある。


そこからさらに南側にあって、ヨミ大陸とパンゲア大陸の中間付近には東西に長いヌーフォリアと呼ばれる火山島があった。その島は羽根を有した両腕に、鱗状(うろこじょう)の両足を持つハルピュイアが支配する土地であった。


赤の女王、蓮華(れんげ)白亜(はくあ)がパンゲア大陸から帆船(はんせん)に乗ってヌーフォリアの本島にやって来た時、島では大規模な戦闘が繰り広げられていた。


帆船(はんせん)の船長はその光景を見て絶句(ぜっく)し、入港することを拒否したことから、赤の女王は(ぜん)鳴動(めいどう)で、蓮華(れんげ)は風の魔法で、白亜(はくあ)は翼を羽ばたかせてそれぞれ空を飛び、島へと降りた。


大勢のハルピュイアが火山の上空を飛んで、何者かと戦闘していた。


蓮華(れんげ)白亜(はくあ)。ハルピュイア達が誰と戦っているか分かる?」


遠くて私は見えない、と蓮華(れんげ)が返答したのに対し、白亜(はくあ)が目を()らして言った。


「人間、でしょうか。空中戦ではハルピュイアの方が上手(うわて)ですね。」


「この先に集落があるんだよ。心配だから急ごう。」


赤の女王は走り出した。その速度は非常に速く、一足で長い距離を()けた。蓮華(れんげ)白亜(はくあ)も同じ速度で大地を疾走(しっそう)した。しゃもじは蓮華(れんげ)(よる)羽衣(はごろも)の内側にある衣嚢(いのう)の中で丸くなっていた。

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