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Dear World  作者: 山波 孝麻
第1章 たたりもっけと餓者髑髏
119/253

第119話 次は何をしようか

 湖宮(こきゅう)の扉をコンコンと(たた)く音がした。


「どうぞ。」


扉が開き、双竜兄妹(そうりゅうきょうだい)のテンマとツバキ、それにリョウコが部屋へと入ってきた。タタラは喜びの声を上げ、席を立ち、(ねぎら)いの言葉をかけた後、3人にルルを紹介した。


ツバキは九尾の(きつね)玉藻前(たまものまえ)を見て、目を見開き、釘付(くぎづ)けになった。ツバキの視線に気付いた玉藻前(たまものまえ)は9つの尻尾(しっぽ)をひらひらさせた。


さらに、茶々丸(ちゃちゃまる)玉藻前(たまものまえ)のひらひらさせた尻尾(しっぽ)に反応し、玉藻前(たまものまえ)が乗っている椅子(いす)に自分も跳び乗って、身体の側面を密着させ、2本の尻尾(しっぽ)玉藻前(たまものまえ)の9本の尻尾(しっぽ)に合わせてひらひらさせた。


それを見たツバキは彫像(ちょうぞう)のように固まった。タタラとテンマはツバキの様子の変化に気付かないふりをした。



 そこへ、芭蕉(ばしょう)と書記官のピアが急須(きゅうす)に入れたお茶と湯呑みを盆に載せて、湖宮(こきゅう)に入ってきた。芭蕉(ばしょう)とピアもそのまま席についた。タタラ、ルル、テンマ、リョウコはお茶をすすった。


「タタラ王にご相談がございます。」


芭蕉(ばしょう)の発言にタタラが答えた。


「どうしました?」


「実は、他国の者より、湖都(こと)ユマで開業したいと申し出がございました。」


「へぇ。どなたですか?」


赤神(あかがみ)ナナセ様です。」


リョウコが口に含んでいたお茶を全て吹き出した。


「リョウコさん、いかがされましたか?」


「ごほっ、ごほっ。いえ、あの、詰まってしまっただけです。申し訳ない。」


ピアが布巾(ふきん)を手渡し、リョウコは礼を述べた。


「それって、アカガミ国からの正式な依頼なの?」


「いいえ。それを聴くと、あたふたした様子でしたので、おそらくは赤神(あかがみ)ナナセ様の独断だと思います。」


「ふうん。諜報(ちょうほう)活動をするにしては堂々としすぎているし、かと言って、アカガミ国からの正式な依頼じゃないし、いったい何がしたいのかな?」


「申し訳ございませんが、よく分かりません。」


「まぁ、アカガミ国と揉めたくないし、断ろうか。」


タタラはまたお茶をすすり、ゆっくりと息を吐いた。


「国営のお店を開こうと考えていてさ、どうしてもって言うなら、その店の店員さんをやってもらってもいいけどね。」


「どのようなお店でしょうか。」


タタラはにやり笑みを見せた。


「ふふふふふ。店名はマドリーナ堂。お庭番衆の絵柄の入った生活用品やお人形さんを売るお店さ。交通整備に力を入れてるし、王国内の往来が活発になれば湖都(こと)ユマの観光客も増えるでしょ?だから、お土産(みやげ)物屋さんを開くのさ。茶々丸(ちゃちゃまる)分福丸(ぶんぷくまる)真珠丸(ましゅまる)玉藻前(たまものまえ)の可愛い絵柄の服とかを売るの。赤神(あかがみ)ナナセさんはこの話に、絶対に乗っかってくると思うよ。」


それを聞いたツバキはさらに硬直した。そんな中、シヴァ、赤の女王、分福丸(ぶんぷくまる)真珠丸(ましゅまる)湖宮(こきゅう)に入ってきた。


「皆、勢揃(せいぞろ)いだね。」


シヴァがタタラに言った。


「タタラ、次は何をしようか?」


茶々丸(ちゃちゃまる)がタタラの(ひざ)の上にぴょんと乗った。タタラは茶々丸(ちゃちゃまる)の頭を()でながら、笑顔で答えた。


「シヴァ達に食べさせてあげたい魚介類があるんだよ。テチス海へ皆で旅行しよう。」

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