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立心偏(りっしんべん)

心はいつも

ひとりでは寂しそうで

直立した姿でうなだれては

大きな涙をふたつばかり

流そうとしているのです


強いと思われているのは見せかけで

弱いと指摘されることに慣れておらず

笑うこともあれば怒ることもあり

気が大きくなることもあれば

惨めなくらいに萎縮することもある


心はいつも

「包まれている」と言っているが

私にはどうも掴まれているように見える

好きなものには見境がないし

それを止めようとする声を聞こうともしない

それでも

きっと人間のなかで一番無邪気に振る舞うお前のことを

誰もが気に入っている


だからこそ「包まれている」なんて

お前は言うのかもしれないが

ほらあの顔

あれはお前を利用しようとたくらんでいる

単純な仕掛けの天秤に乗せて

お前の多彩な表情を奪おうとしている


裏切りに気が付いて途方にくれる姿を

私は何度見ただろう

それでもまた

近付いてくるものに目を輝かせて

お前は「包まれ」に行こうとする

そうでないと生きていけないということを

私は本当に憐れに思う


だから私は

声も出さず

姿も見せず

お前の澄んだ目や耳だけが捉えられる場所で

直立したお前を

ずっと見守っている

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