作戦
この主人公は、私なんて大好きです…。
すみません…。
「余ははじめ見た時思い出せなかった。」
「僕が名乗ってやっと思い出したのですよね、ジル。マリーは忘れなかったのに」
「っう…ゴホン…余とエルは久々に話した。内容は、18の誕生日パーティーのことだった。何故その話をするのか不思議だった。しかし、作戦を聞いて驚いた。」(作戦…?)
「この国じゅうの18歳の男女全員を招き入れて夜会を開く。それを聞いて余は心躍った。もしかしたらまたマリーに会えるかもしれないと思ったからだ。マリーは白髪だから目立つだろうとエルは言った。ラインも参加させてマリーを探させようとも言った。だが、これは賭けだった。マリーがこの国を出ていたらそれまでだし、ましてや数百はゆうにいる中で探すなど正気の沙汰ではなかった。なのでラインの提案により、余が階段を下りきるまでに探せたら容姿を表す白ウサギを捕まえたと叫び、探せなかったらウサギの天敵である狼が攫ったと叫ぶ。とても、ギリギリだったんだぞ?」
私は、溜息をついた。
「…馬鹿…」
「…今、なんて?」
「馬鹿って言ったの」
「ッな!?」
「どうして私なんかのために…」
「だ~か~ら~」ジルが言おうとしたがエルが私の頭を撫でた。
「僕たちだって貴方以外を考えました。しかし、違ったのです。僕たちの立場を分かってしまっている人々は媚び諂い、本当の友達はマリーしかいなかったのです…《僕は》マリーが好きです。マリー以外なんて…いませんよ」エルはニコリと笑った。
「…今、完全に美味しい~とこ持ってったよな…しかもなんだエルの『本当の友達は…』みたいなやつ!しかも、【《僕は》マリーが好き】だと!?余たちは4人で友達だし、3人ともマリーが大好きだろーが!!」
「…それ、俺も、カチンときた…」ゆらゆらとエルに近づく二人。
「まぁまぁ、それは言葉のあやというもので…ギャー」襲いかかる二人。
2対1の追っかけっこの始まり。
(なんだ3人とも全然変わってない…)
本当は馬鹿なんて思ってない。嬉しさと、感謝と、喜びだけ。
会える時間こそ少なくなるだろうけど、また4人で集まって話して笑って…。
考えただけでワクワクする。チラッと時計に目をやる。
(ゴゼンノサンジ?)
「大変!!もぅ帰らなきゃ!母に怒られる!じゃあ、3人ともまた連絡するから!!」3人は、足を止めた。
スクっと立ち上がり、ドアに向かう。「バイバイ」と私はドアに手をかけた
ガチャリッ…(アカナイ…カギ?)
「余たちの作戦はまだ続いておるぞ…というかこっちが本命だな…」
振り向くとジルは今までに見たことのないような歪んだ笑みを見せた。
「ドウイウコト?」
「この作戦はもともと、二度と余たちから離れぬように後宮に住まわせようというものだ」
「後…宮?」
「知らないのか?後宮とは、余や未来の妃(マリー以外考えられんが)などが住まう場所だ。王族は基本恋愛結婚でな…余が王となってから余の妃になりたいと志願するものが跡を絶たたなくてな、面倒なんて全員妃候補としてこの王城の裏にある建物に入れておいてある。普段は、余以外の男は立ち入り禁止なのだが、ラインとエルは昔の誼みで特別に…〔特別に〕入れるようにしてやろう!」
「ちょっと待って!私の意見は無視?帰らなきゃ…」
「先ほど、『不束な娘ですがよろしくお願いいたします』と」かぶせるようにエルが言う。
「い、や…衣服とか、家具…とか…ねぇ?」
「…家具は、こっちにある。衣服も…だ」と、ライン。
「ど、どんだけ用意周到なのよ…」
私は、へなへなと座り込んだ…。
やっと、本編らしきものに入れます。
…やった…見てくださった方がいますなら有り難う御座います。