↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/2

したってはヒグマに餌付けさしたらどうもなんないしょや。

不定期に書きます!

気長に読んでいただければ幸いです。

「はあ…まだ羽幌か…」


あくびを噛み殺しながら愛車の残クレアルファードのアクセルをやや強く踏み込む。

国道232号、通称『オロロンライン』は、永遠に続くのではないかと錯覚させられるほどイカれた道路だ。

右手には寒々しい日本海が荒々しく波打っていた。


さて、読者諸君。

唐突だが問題だ。

俺、北野大地の故郷である実家の稚内(北海道の最北端だ)から自宅のある札幌まで車で何kmあるか見当がつくだろうか。


正解は約330kmだ。

内地(道産子が、道産子以外を指すときに使用する言葉)の読者諸君のために分かりやすく言い換えるならば、東京駅から新潟市中心部に向かうのと同じくらい車を酷使する必要がある。

よく「北海道はでっかいどー」などと揶揄されるが、実際にそうだとしか言いようがない。

読者諸君がもし北海道を訪れる際は本当にその旅行計画で問題無いか何度も確認することを強く推奨する。

間違っても、「北海道?2日くらいあれば一周できるよね」などと思わないように。


まだ道中の半分も行ってないのに急に眠くなってきた。

調子に乗って遠別のホタテとタコの入ったコロッケを食べ過ぎたせいだろうか。


あと数kmで苫前の道の駅だ。そこで温泉にでも入って軽く仮眠を取るか…そう考えていた矢先。


左側から何かがのそのそやってきた。

黒の巨体がこちらに向かって堂々とやって来る。

ヒグマだ。

それも、そこらの2m級などという生易しいものではない。


それこそかつて苫前に出たという、三毛別の奴ほどはある。

苫前町役場の前に鎮座している、あの巨大なヒグマ像「とままえだベアー」のあいつくらいにはデカい。


思わずブレーキを踏む。

とても、話の通じる相手では無い。

とても、童話に出てくるような「かわいいくまちゃん」などでは決してない。


我こそ食物連鎖の頂点であると言わんばかりにこの大地を闊歩していた。

そして左側のガラスにぴたりと張り付いた。


…餌を、たかっているようですらあった。

常識だが、野生生物に餌付けをしてはいけない。

人間の食べ物の味を覚えたが最後、それを求めて人里に降りて来るからだ。

そうでなくとも森に木の実やらが不作の時は札幌にすらやってくることもあるというのに。

たまに、内地の愚か者どもや迷惑観光客どもが餌付けをするせいで、我々善良な道産子が迷惑を被るのだ。本当にやめてほしい。


そう思い、無視して走り抜けようとしてアクセルを踏む。だが、車体が妙に傾き、足元から異様な振動が伝わってきた。どうやらタイヤがやられているらしい。


ヒグマは餌をくれない自分に苛立ったのか、全力で体当たりしてきた。

強烈な衝撃をくらい、車ごと跳ね飛ばされた。


左手にはヒグマの降りてきたやや小高い丘…

右手には荒れ狂う日本海がある。

その状況で、ヒグマが突進し、俺の乗った車が面白いほど宙を舞う。


まるで、プラレールで遊んでいた幼児が何かの調子に癇癪を起こし、車両ごとぽいっ、と投げるような感覚ですらある。


叩きつけられたような音が聞こえたような、気がした。

そこからは、何も覚えてない。


ただ死ぬのだ、ということだけが分かった。


数日後、新聞のお悔やみ欄には自分の名前と享年、葬儀場が載っていたそうだ。



第二話からどう見ても北海道にしか見えない異世界に飛ばされます!お楽しみにー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。