↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/45

おまけ

最終話の後のおまけのエピソードです。


 勉強が一段落つき、私達は和音さんに言われた通り、おやつを食べにリビングへとやって来た。

 リビングには壁掛けのテレビが設置されている。前はなかった物だけど、毒親から段々と態度を融和させている和音さんが、愛音のためにと設置してくれたらしい。


 かと言って興味がある番組がある訳ではないので、愛音は学校で私達と話を合わせるため程度にしか見ていないみたいだけど。


 私達がイスに座っておやつのケーキを食べる傍らで、テレビではニュースが流れている。


『──続いてのニュースです。昨日のお昼頃、河川敷で男性の水死体が発見されました。散歩中の男性が、川に浮かぶ人のような物を発見したと警察に通報。駆け付けた消防と警察によって引き上げられ、その場で死亡が確認されました』


 よくあるニュースだ。さほど珍しくないのに、私は妙にそのニュースに惹かれた。


『警察は指紋と服装や所持品等から、死体を近所に住む公務員。石塚 連太郎さんと特定。遺体の損壊状況から事件性はなく、事故と発表しています。続いてのニュースです』


 それだけ呆気なく言って、そのニュースは終わった。


 石塚というのは、聞いた事のある名前だ。ニュースに出て来たその名前と、私が思い浮かべる人物が同じかどうかは分からない。


 あの男が、どこで、どうしていて、もし仮に川に沈んで死んだとしても、私には関係ない。例えそれを、化け物の誰かがやったのだとしても……きっと、諦めの悪いあの男が、逆鱗に触れるような事をしたのだろう。


 だから、関係ない。


 でももし、ニュースの石塚があの石塚で、化け物の逆鱗に触れたから消されたのだとすると、この国はもしかして、もう化け物によって支配されつつあるのではないだろうか。そんな疑問が浮かんできてしまう。


 化け物の楽園を作りたいと、あの時お父さんと一緒にいた喪服姿の女性は言っていた。彼女は私に、この町に楽園を作る手伝いをしてほしいと。そうお願いをして来た。

 私は漠然と、楽園というのが町とか、狭い範囲の物であると考えていた。でももしかしたら彼女の言う楽園とは、町にとどまらずこの国そのものを指していたのではないだろうか。

 だとしたら、目指している所は一斉蜂起してこの国を支配しようとした新種の化け物達となんら変わらない。


 いつかこの国は、化け物によって操られる国になってしまうのだろうか。


「──どうしたの、咲夜?ケーキ、美味しくない?」


 だけど、隣に座る愛音にそう尋ねられてもうどうでもよくなった。


「ううん。美味しいよ」

「じゃあ、私にもちょうだい」

「いやいやいや。同じケーキだからね。あげたら私の分が減るだけだから」

「くれたら同じ分をあげるから。あーん」


 まったく同じケーキを食べていると言うのに、口を開けて私のケーキをせがんで来る愛音が可愛い。なのでフォークでケーキをとり、それを待機している愛音の口の中にいれてあげた。


「ん。んん……美味しい」


 その際に、私のフォークを口に含んだ愛音は、フォークを思い切り舐められた。愛音の口から解放され、姿をさらしたフォークにはケーキの欠片もついていないくらいキレイになっている。


「はい、じゃあ次は私ね。あーん」

「あー……」


 そして私も、同じくらいキレイにフォークを舐めとるのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。