共和国公認の店長
そんな聖女を連れ歩いている人なんて見たことない。そんな人間がいたら羨ましがられるだろう。
「あの、カインさん」
「なんだい、アルメリア」
「その、聖女なのですが」
「うん?」
「わたし、聖女です」
「……!?」
アルメリアが不思議なことを言った。
今、彼女はなんと……。
聖女?
聖女……聖女ォ!?
マジかよ!!!
「本当です。信じて下さい!」
「し、信じてるよ。うん……」
いや、まだ信じられないけど、でも……でもアルメリアが嘘をついているとは思えない。きっと本当のことなんだ。
「ということは石化を回復できたり!?」
「もちろん可能です!」
アルメリアがそう叫ぶと、周囲の冒険者がざわついた。
「マジィ!?」「アルメリアちゃんって聖女だったのかよ!」「だろうとは思ったけどね。あんな可愛いし、神々しいし」「石化がなんとかなれば楽勝だぞ!!」
おいおい、アルメリアを借りる気満々じゃないか。
「カインくん、良かったら力を貸して欲しい」
「僕じゃなくて、アルメリアですよね?」
「いや、カインくんの力も必要だ」
「僕も?」
「ああ、君は店長だから、きっと出来るはずだ」
「なにを?」
「ポーションピッチャーさ」
ポーションピッチャーって、あれか。
ポーションをブン投げて支援する役割の。確かに、商人系であれば誰でも可能だ。ただ、上位職であれば回復量の補正が掛かったり、投げられる射程も増えていく。
「つまり、僕に回復と魔力回復ポーションを投げまくれと?」
「S級店長なら可能なはずだ」
「分かりました。その代わり報酬は弾んでもらいますよ、バルクさん」
「ああ、決まりた」
握手を交わし交渉成立――かと思われたが、遠くでこちらを見つめていた二人組が僕の露店に忍び込んできた。
そして、アイテムを盗んでいった。
って、ドロボー!!
「油断した!!」
「カインさん、ドロボーです!!」
僕は超高速で移動してドロボーを追いかけた。現在は超店長モードだから、一瞬だ。
「アイテムを返せ!!」
二人を捕まえ、そのまま壁にブン投げた。
「がはっ!?」
「うわあああああッ!!」
ドロボーからアイテムを奪い返した。
それから僕は、二人組に『ドロボー』の烙印をおでこに押した。アベオの葉を使って共和国のアナライズへ強制送還。これで向こうで処理してくれるはずだ。
S級超店長になると、このようなことが出来るようになっていた。
「おぉ、カインくんすげぇ!」「ドロボーを見事に捕まえていたな」「あれが店長の力か」「こんなところにもアイテムを盗む愚か者がいるとはな」「力を合わせようって時にアホだろ」
よし、これでひと段落だ。
「お疲れ様です、カインさん」
「まさか盗んでくるヤツがいるとは思わなかった」
「気を付けないとですね」
「うん」
ドロボーを対処したあと、バルクと合流。
パーティは僕達も含めて十五人となった。
こんな大所帯で行動するなんて初めてだ。
それに、この人数じゃないとボスは倒せないんだな。
いよいよ、ボスのいる部屋へ踏み入れていく。
怖い。
正直怖い。
でも、今の僕には力がある。
それに、アルメリアも隣にいる。
きっと……きっと勝てるさ。
この力を信じている。
* * *
共和国へ戻った。
とりあえず、死ぬことなく無事に生還。
アナライズへ戻ると、オーティスが出迎えてくれた。
「カインくん、君は素晴らしい成績を残した。これからはフリーで活動するといい」
「僕を認めてくれるんですか!」
「もちろん。だが、世界はまだ広い。ダンジョンも数多く存在する。困っている人もいる。そんな人たちのサポートが出来るよう、がんばってくれ」
この日から、僕は共和国公認の店長となり活躍するようになった。
アルメリアも変わらずついて来てくれる。
「今日はどこへ?」
「まずは久しぶりに帝国へ里帰りしようと思う」
「帝国ですか!」
「もう二度と行かないと思っていたけどね」
そうは言っても、家族は住んでいる。
一度くらい挨拶はしないと。
自分が共和国の店長になったって。
それに、アルメリアも紹介したい。
これからも僕はアイテムショップの店長を続ける。アルメリアと共に。
ここまでありがとうございました!
また新作も追っていただけると幸いです。




