超店長のA級スターライトダガーの一撃
僕は商人で戦闘タイプではないのだけど、戦うことはできる。
まずはダメージを受ける必要がある。
けれど、相手は岩の剣で斬りかかってくるから受けるダメージは大きいはず。となると、即死もありえる。
迂闊に攻撃を受ければ危険だ。
防御してダメージを軽減するしかない。
A級チタンガードを装備して、僕はゴーレムナイトの前に立つ。敵は剣で物理攻撃を加えてくる。その衝撃が盾に。ダメージは軽減されて、僕の体力は地味に削れていく。これでいい。
「アルメリア、回復はするなよ! なるべく距離を取れ」
「了解ですっ」
地道に体力を削っていく。
すると、自身のクラスが店長から大店長、超店長と変化していった。とりあえず、ここまでか。
超店長の状態なら、全ステータスが二十倍に跳ね上がっている。
この状態なら勝てるはずだ。
武器にはA級スターライトダガーを使う。これはアナライズから支給された販売品だけど、壊れたら僕が買い取ればいいさ。
「くらえッ!!」
思いっきりナイトゴーレムにぶっ刺すと、とんでもないパワーで胴体を粉々に破壊した。
『――――ボゴォォォォォォォ!!!!』
お、思った以上の力が出てしまった!!
「わ、わぁ……カインさん、耐えるだけで精一杯だったナイトゴーレムを一撃で!」
「僕はダメージを受ければ上位の店長にクラスチェンジ出来るんだ」
「なるほど~、前のダンジョンでもそれで強かったんですね」
ただ、体力を上手いこと調整しなければならないし、強化するまでの時間も掛かるのがネックだ。
でも、これなら先へ進める。
前進あるのみだ!
続けて、僕はナイトゴーレムを粉砕していく。
その度にレアアイテムもドロップ。
回収できるアイテムはアルメリアにお願いして、僕は戦闘に集中した。
そうして、ついに一番奥のエリア前に到着。
ボスモンスターの前にある安全地帯だ。
ここなら、モンスターは出現しない。
「ようやく到着したか」
「あ、カインさん! あちらこちらに負傷した方が」
「どうやら、先発組のようだな」
中には血塗れの重傷者もいた。
これは……なにがあったんだ。
幸いにも死亡者はいないようだが。
様子を伺っていると、弓職らしき青年が話しかけてきた。
「なあ、あんた。二人きりか?」
「そうですよ。僕はとアルメリアはペアパーティです」
「凄いな。よくあのナイトゴーレムを撃破できたものだ。それより、見たところあんたは商人のようだな」
「その通りですよ。これから回復アイテムの販売をするんです」
「それは助かる!!」
弓職の青年が叫ぶと、周囲の冒険者も涙ぐんで歓喜の声をあげた。
「助けだ! 助けがきたぞ!!」「おい、マジかよ。こんなところに商人だって!?」「回復アイテムをくれ!!」「高くてもいい、買うぞ!」「金ならたくさんある!!」「こっちにも売ってくれ!!」
みんな消耗しているらしいな。
なら、さっそく取引開始だ。
「アルメリア、手伝ってくれ」
「はい、分かりました!」
アルメリアの力も借り、僕は回復アイテムを売りさばいていく。在庫はどんどん減っていく。
ウソ……あんなに補給したのに、もう残りが僅かだ。
ここにいる冒険者はみんな高レベルで金持ちばかりというわけか。
「助かったよ、カインさん!!」「A級回復ポーションを販売してくれるとはな!」「魔力回復ポーションもA級だぞ」「これで治療もできるぅ!」「さすが噂の店長だな」「ありがとう、ありがとう!!」「死ぬかと思ったよ……ありがとう」「こんなところにS級店長が現れてくれるなんて奇跡だよ」
めっちゃ感謝され、僕もアルメリアもいい気分だった。よかった、みんな回復しつつある。
「俺からも礼を言う」
「あ、さっきの弓職の」
「自己紹介がまだだったな。俺はコイツ等のギルドマスターである『バルク』だ」
金髪の青年はそう名乗った。
すると、隣の高身長の男がもっと詳細を教えてくれた。
彼の名は『バルク・リヒトホーフェン』という共和国の元軍人らしい。父は将軍のクラウス・リヒトホーフェンという。
英雄の息子じゃないか……マジかよ。
なぜ、冒険者をしているんだ?
「僕はカインで、こっちが――」
「知ってるよ、アルメリアさんだろう」
「なぜ御存知で?」
「さっき呼び合っているのが聞こえたからさ」
「そ、そうですか。とりあえず、消耗品はまだ在庫がありますので、可能な限り販売しますよ」
「それは助かる。この先のボスモンスターが非常に厄介でね……回復アイテムの補給に困っていたんだ」
バルクによれば、この奥にいるのは状態異常の『石化』を使ってくる厄介なモンスターらしい。状態異常回復ポーションでなんとか切り抜けているらしいけど、それも直ぐに底をついたという。
多数の負傷者が出て撤退してきたところのようだ。
それはマズいな……。
「石化耐性の装備とか、解除できる魔法職はいないのです?」
「それがいないんだ」
「この豪勢なパーティなら、それくらい用意できるのでは……」
そう疑問を投げかけると、バルクは首を横に振った。
「石化を解除できるのは『聖女』のクラスを持つ者だけだ。だが、その聖女と呼ばれる存在は、世界に指で数えるほどしかいない」
せ、聖女だって!?




