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8話 マッチポンプ

段々と、夕暮れになっていくのを背中の方に感じながら

ようやく、森林地帯から山へとたどり着いた。

山になっているあたりから植生が変わっているようで

やっと木々の間に地面が見えてきた。

とは言ってもまだまだかなり緑が濃い、そんなに高い山が続いている訳でもないので

そのまま尾根を越えて向こう側へと飛んでいってもらうと

尾根の向こう側は、かなり木の茂っている部分が少なくて林が点在してる感じになっていた。

地面は土が見えてる所もあるけど、大部分が茂みやら草が盛大に生えている。

先の方に行くにつれて木が少なくなっていて

草原のようなうねった見晴らしのいい風景が広がっている。


ここいらなら降りても直ぐに襲われるとかはなさそうかな?

一応、MAPでアクティブ、毒持ち、敵意、等で索敵(サーチ)してみたが反応なし。

なので、恐る恐る少し木がある緩やかな丘になってるあたりに降ろしてもらう。

片手持ちのハンマーと小型の金属盾を装備して周りを警戒するが

目視での索敵にもタゲれるような対象はないようで、ようやく安心する。

少し暗くなってきたので神鳥には送還(リターン)して帰ってもらう。

送還の魔法陣が薄暗くなってきた中で明るく輝いて消えた。


さて、一人に戻った訳だけど、どうしようかね?

これから夜になると動きようがないし、ここらで一晩過ごす事になるんだろうけど。

食事・・・・・・、手持ちのアイテムの中のを食べるしかないよなぁ。

節約しないといかんだろうし、ルピスには(アイテムリスト)の中で寝ててもらおう、うん。

早いうちに人の居るとこに行かないと食料が持たなくなったりするかも、うーむ・・・・・・。

未だにMAPの広域検索(スキャン)にも人っぽいのはひっかからなかったしなぁ。

せめて人里からは相当離れてるだけ・・・・・と思いたい、人のいない魔物だけの世界

だったりしたら食物どうしろっていうんだ。


はぁ・・・・・・、とりあえず本格的に暗くなる前に火をなんとかしよう。

荒野ではアイテムのランプを使ったけど、あれも油を使ってたんだし、

節約しとくほうがいいだろう。


周りを見渡して枯れ木でも落ちてないかと見てみるけどわからない。

ここに立ってるのを切っても、生木じゃ煙ばっか出て燃えにくいんだっけ。

そもそも枯れ木を集めるなら山の方がよかったかな? 

と思ってMAPで検索(サーチ)で探そうとして違和感に気付いた。


MAPの表示限界のあたりをチラチラと黄色の点が見えたり範囲から出て消えたりしてる。

黄色って事はさっき索敵指定したアクティブ、毒持ち がこっちへの敵意なしの状態で

何か・・・・・白く表示されてる点を追いかけてる?


白く表示されてるのは、おそらくノンアクティブ、中立の対象、餌ってことか。

まだ少し離れた場所だけど、こちらに向かって来るかもしれないので

俺の方から近づいて表示限界の内側になるような配置にしてから、

MAPで範囲指定して詳細検索をしてみた。

なんにせよ、情報を多く持っておくのに越したことはないからなぁ、いまのとこ。


すると指定した範囲にいるモノの詳細が表示された。


「ステップハウンド1

 ステップハウンド2(変種)

 ステップハウンド3

 ステップハウンド4


 ドワーフ1(亜人・ミックス)

 ドワーフ2(亜人・ミックス)」


っとぉ、人だ、いや、亜人か、餌じゃねぇ、追われてるんだよな。

配置的には俺の居る所から見てMAP西の端を北からかすめる様に南に向かってる。

どうする? 決まってるな、ステップハウンドには悪いけど助ける。

それで話が通じるようなら情報収集する、うん決定。

急ぐならまた神鳥を呼ぶか? でも夜になりかかってるこの状況で一番速いのは・・・・・・。


俺は職業(ジョブ)盗賊の足用の伝説級防具(アーティファクト)を装備してスキルを発動した。


「ダッシュ」(移動速度倍化)

装備の付加能力と合わせて45秒程の間は通常時の倍近い速度が出せるはず。

100mを12秒として、倍の速度なら100mを6秒

なら60秒で1km、今のステータスなら多少のゴリ押しは効くはず。


と思って走り出したんだけど、一分過ぎてもスキルが切れない。

そういえば防御系魔法や蘇生予約魔法を使った後にしばらくして気付いたのが

各種魔法の効果時間が例えば現実で1時間(ゲーム内時間での24時間に相当する)のものは

こっちで24時間たってからやっと効果が切れてた。

スキルの効果時間が同様にすり合わせられてるとすると・・・・・・・

45秒×24でざっと18分は倍速で動き続けることができる、

という訳であっという間に直接に対象を視認出来るところまで

走りついたので、自分ながらでもびっくりした。

しかもSTRやVITの各種ステータスがおかしな値になってるせいか、息切れもしていない。


走りながら、追われているドフーフ?を確認するが小さいな、子供か?

それに一緒に手を引かれているのは、さらに小さい幼児じゃないのか、あれは。

自分が走りながらだと魔法の詠唱ができねぇ、先回りして迎え撃つ配置に持っていくか?

ダメだ、子供(ドワーフ)の足がもつれかかってるし、もうステップハウンドに追いつかれちまう。

くそっくそっ 考える時間もないのかよ、実戦なんて思ってたのと違いすぎる。

寝かせられれば安全だったはずなのに、しょうがない。

アイテムリストから手当たり次第に投擲武器を取り出して

投げる、投げる、投げる、投げる。

チャクラム、ブーメラン、ダート、手裏剣。

ダート以外が当たったのは一発で首やら胴体に当たって動かなくなったけど

一体、ダートが当たったのはD値が低い武器だったのが理由なのかまだ生きている。

こちらを向いてヨロヨロと向かって来ようとしているが、別に殺したい訳じゃない。

・・・・・・・落ち着いて対処出来る余裕があるなら。


単体睡眠(スリープ) I」


その場に倒れたステップハウンドを確認すると息は荒いが眠っている。

肩口にめり込んでいるダートを抜き取り回収して、

でもって、ついでだ 「治癒(ヒール) II」、「再生治癒(リジェネーション) I」と。

エフェクトがステップハウンドを包んで淡く光る。


ふむ、呼吸が落ち着いてきたな、寝たままだけど

まぁ傷もふさがってきてるし大丈夫だろう。

さて残りのやつにもすまんが試させてもらうとしよう。


「蘇生」っ「蘇生II」っ「蘇生III」っ


ふ~っとMP的には余裕なんだが

再詠唱待機時間(リキャスト)のせいで無駄に高位の呪文を使うはめになったな。

蘇生した後はHPの減りに合わせて「治癒(ヒール)II」あたりをかけてった。

もちろん目を覚ましたら先に「単体睡眠(スリープ) II」「範囲睡眠(スリープス) I」

さらに詩人の「子守唄(ララバイ) I」できっちり三体とも寝かしておいてからね。


あー、疲れた。主に精神的に。


なんとか誰も死なずにすんだな、うむうむ、やはり平和が一番よ。


「あ、そこのびっくり目で腰抜かしてるっぽいの。

 助けてやったってのは解かるよな? ちょっと色々聞きたいんだけど

 俺の言ってる事、理解できる? ん?」

「○△■◎~!!!!(ギャァァァァァァァァッ)」


うむ、やっぱり無理か。

気絶されました、幼児の方はガクガクブルブル震えてるしさぁ。


・・・・・・・・・・・・・・どうしよう?



















 

  

 







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