表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国恋歌  作者: Maaa
60/61


「な…んだ、と?」


景政の刺すような視線に一瞬怯んだ義影。対して景政は気にも留めずに静かに言葉を連ねた。


「私は構いません」


「若?」


「陣頭指揮の任、承ります」


「若?!な、一体何を…?!」


側近たちから挙がる驚きの声。


しかし、景政はそれまでの無表情とは一転、ニコッと笑って上座の義影を見た。


「楽しみだなぁ」


「!?」


「私に任せるということは、この国の兵を私の好きに動かせるんですよね。……面白そうですね」


景政の危なっかしい言葉に側近たちは再び驚き、義影はというと笑いだした。


「ふ、ハハハ!ほんにお前は馬鹿息子じゃ!戦というものを知らぬ故、そんなことを言えるのであろう。そうじゃ、お前のような男は一度経験してみるべきじゃ!」


機嫌良く笑う義影とは反対に、側近たちの顔色は青くなる。


「何をおっしゃいますか!殿、若様も、負ければただではすみませぬぞ!我々、否、この国の民はどうなります?!」


「何、戦況が危うくなれば諸国に援軍を出させれば良いではないか」


「殿!!」


側近たちの青くなる理由は他にもあった。兵の指揮をした経験も無いどころか戦にさえ出たことのない、世間知らずな若君に対する不安ももちろんではあるが…―――――問題はもうひとつ。



クスクスと気だるそうに笑う景政が、笑顔のまま義影に尋ねる。


「ただ、ひとつ確認しておきますが父上」


「何じゃ」


「この国の将軍である父上が自ら戦場に出ず、息子である私に全権指揮を任せるということ…――――これが何を意味するか、父上はもちろん分かっていらっしゃいますよね?」


これには側近たちからも賛同の声が挙がった。


「そうですぞ殿!よくお考えを!」





―――――そろそろか。




必死な側近に対し、景政は長く伸ばした前髪をいじりながら楽しげに言う。


「まさか父上、お忘れで?」


「ふん、何を言うかと思えばそんなことか」


「…ということは承知の上というわけですね。――――この国の《しきたり》」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ