表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国恋歌  作者: Maaa
58/61


染乃はこの状況を、先刻立て続けに起こった心労のあまり、椿が引き籠って泣いていると思っているのだろう。

だが、椿は涙など流してはいなかった。

何も考えたくはないが、もう「事」は起きて進んでしまっている。

盲目であることや、姫などということを逃げにせず、考えねばならない。


「…落ち着かねば」


小さな声で自分を律し、心を静める。泣いてばかりではいられない。「あの方」に頼ってばかりではいけない。



―――どうすれば、良いのか。



諦めたのか、外にはもう染乃はいないようだ。


しん…となる室内。


椿は耳をすませた。そして



「そこの者。名を名乗りなさい」




答えはない。椿は口調を強くしてさらに問う。


「どなたの指図ですか」


ややあって天井から声がした。



「……よくお気づきに」


「気配でわかります。…声からしてまだお若いようですね。もう一度聞きます。どなたの指図で?」


こともなげに「気配で」と答えた椿に対し、相手はわずかに驚いたようだった。


「お答しかねます」


「景政様ですね?」


「……」


「肯定と受け取っておきます。名は?」


小さな声で矢継ぎ早に問う椿。


「………。………朔」


朔は聞かれるがままに答えた。

椿は再び耳をすませる。



「では、朔。あなたにお願いがあります」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ