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戦国恋歌  作者: Maaa
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城の離れの一角から、女性の声が響く。


椿の乳母、染乃の声だった。


  ドンドン!!


「姫様!!ここをお開け下さいませ!姫様!!」


「……しばらく、ひとりにさせて」


重厚な板の向こうから、か細く聞こえる椿の声。

戸を固く閉ざした明りのない部屋の中、椿は茫然と、人形のように座っていた。


「―――――景政様…」


―――――ああ、もう何も考えたくない。








『我が正妻は、琴菊…そなたじゃ』


『…有り難き幸せに存じます』


『そして』



見えなくても分かった。

この続きが、決して良いものではないということくらい。




『椿、そなたは我が側妻とする』



――――側妻…



『…わたくし…が……側妻…?』


『一人に決めようと思うたのじゃがな、どちらも捨て難くての』


『……』


この上ない屈辱。それでも、この身ひとつならまだ良かった。



『そうじゃ、皆にもうひとう言わねばならことがあった』



人はいくつ苦難を越えねばならないのか。



『次の戦は景政、そなたが将軍代理として指揮せよ。陣頭に立て』

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