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景政
*
宴席に足を向けたのは気まぐれだった。
否、“彼女”がいると思ったからかもしれない。
偉そうに命令してくるあの男の我が儘も、たまには役に立つ。
「何かと言われても……私は笛などしか‥」
笛にしたのは目の見えない彼女のために
―――…曲は…そうだな…あれにするか
ふと笑みが漏れた。
いつもなら絶対に出ない、まして呼ばれてもいない宴席になど顔も見せない自分が
こうしてこの場所にいて
一人の女のために曲を奏でることになるとは…。
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宴席に足を向けたのは気まぐれだった。
否、“彼女”がいると思ったからかもしれない。
偉そうに命令してくるあの男の我が儘も、たまには役に立つ。
「何かと言われても……私は笛などしか‥」
笛にしたのは目の見えない彼女のために
―――…曲は…そうだな…あれにするか
ふと笑みが漏れた。
いつもなら絶対に出ない、まして呼ばれてもいない宴席になど顔も見せない自分が
こうしてこの場所にいて
一人の女のために曲を奏でることになるとは…。