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戦国恋歌  作者: Maaa
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夜の匂いが薄れた頃、景政は支度を始めた。



夜が明ける前に、闇に紛れてこの場を去らなければならない。



「…………」


「…………」



沈黙が二人を包む。


“今度は”


“いつまた逢える?”



その言葉が言えなかった。



「……椿」


抱き締められる暖かさが切ない。



―――…きっと…もう逢えない…。



わかっている。


けれど


心がついていかない。





「……わたくしは我が儘なのでしょうか」



「我が儘…?」



指先で景政の頬に触れる。



輪郭をなぞっても、顔はわからない。



「あなたに逢いたいと願い、あなたに愛されたいと願いました。……今は、この上さらに願うことがあるのです」



「…?」



「……目が…見えるようになりたい…。一度でいい。あなたの姿を見てみたいのです」




目が


鼻が


口がどこにあるのかわかっても、“表情”まではわからない。



この人の瞳に映る自分を見てみたい…そう思った。




――…片目だけでもいい。永遠じゃなくても構わない。


光の無い瞳から涙が零れた。





「…椿」



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