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戦国恋歌  作者: Maaa
29/61



父を、数万の民を裏切ってでも




このぬくもりを離したくなかった。







「…景政様」


「椿…」




「――…………お慕いしております」






引き寄せられた腕に、激しい口づけに感じる悦び




そして





引き返すことのできない過ち…。





一夜の愛



明日には目覚める現実。


浅き夢だとわかっている。





―――……それでも…私は…。









――――……。








「………」



目が覚め、暗闇の中静かに隣に手を這わせた。



――……まだ…いらっしゃる…



人肌のぬくもりを確認し、椿はほっとした。


「起きたか?」


「…!…起きていらっしゃったのですか」


「ああ」




どうやら椿が触れていたのは彼の腕らしかった。そっと離すと逆に腕を掴まれ、抱き寄せられる。



「…景政様?」


「春の夜はまだ冷える」



たしかに、触れ合う肌と肌の温かさが心地よい。




――……景政様


景政は飽きることなく椿の髪を愛しげにすく。



「景政様は御髪を剃ってませんのね。まげは結わないのですか?」


「あんな堅苦しい髪型になどしたくない」


「怒られませんの?」


「怒られるな」


「まぁ」




クスクスと睦言を囁きあう一時の幸福。


そして何かを確かめるように、何度も口づけしあった。

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