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第四十話:白銀の帰還と、満天の生徒指導

地下深くで目覚めた古代兵器『極光の巨神機』。

大地を揺るがす圧倒的な暴力が迫る中、生徒会6人は決して諦めません。

それぞれが磨き上げてきた専門技術を連動させ、巨神機の外堀を埋めて急所をこじ開けます。

狙うは胸部古代炉の粉砕、そして囚われのギルバート救出!

大事な家族を取り戻し、温かい生徒会室へ帰るためのラストバトルが始まります!


北方奪還編、堂々の完結回です!


立ち上がった巨神機が、空気を圧縮してソニックブームを撒き散らしながら、数十トンに及ぶ巨大な鋼鉄の右拳を生徒会一行へ振り下ろす。

拳の風圧だけで床の石畳がめくれ上がり、直撃すればミンチどころか消滅するほどの衝撃波が迫る。

タクトが迷わず最前線へ踏み込み、両腕の青銀の魔導腕甲を前上方へクロス。

頭上に『三重偏向障壁』を角度55度の急傾斜で滑り込ませる。

「ガギィィィンッ――!!」と鼓膜を劈く衝突音とともに、拳の破壊エネルギーのベクトルが斜め上空の岩盤天井へと強制偏向される。

「ぐ、うぅぅッ……重すぎんだよデカブツがァッ! 『三重偏向』、頭上へ全反発っす!!」

「うわっ、受け流しただけでドームが割れそうなんだけど!?」

「直撃衝撃値、測定限界オーバー! 逸らさなければドームごと圧殺されていました!」

反らされた拳の余波が頭上の鍾乳石や天井鉄骨を粉砕し、数百キロ単位の瓦礫が雨あられと降り注ぐ。

リサが眼鏡のブリッジを押し上げ、冷徹な瞳を天井へ向けて床に両手を叩きつける。

「『永久凍土の天蓋フロスト・キャノピー』!」

の詠唱とともに、生徒会一行の頭上に巨大な半球状の氷晶ドームが瞬時に展開される。

「頭上は抑えました。タクト、体勢を立て直しなさい」

降り注ぐ瓦礫が分厚い氷の天蓋に激突して砕け散り、直撃を防ぎつつ安全な戦闘スペースと退路を死守する。

「助かったっす、リサ先輩!」

「ふふ、見事な防御ですこと。ですが、相手の第二打が来ますわよ」

頭上の鉄骨通路から見下ろす傷のある将校が、葉巻をくわえたまま腹を抱えて哄笑する。

「ハハハハ! 逃げ回るのが関の山か、烏合の学生どもめ! 我が軍が蘇らせた古代神代の装甲と出力の前には、貴様らの小手先の魔術など蟻の羽ばたきに等しいのだ!」

「その程度で、帝国最強の騎士を救い出せると思ったかァッ!」

巨神機が再びギギギと重々しい駆動音を立て、胸部の古代炉から漏れ出る赤黒い閃光を両腕に充填し始める。

胸部カプセル内のギルバートは、激痛に顔を歪めながらも必死に目を開けようとしている。

私は真紅のマントを翻し、指揮杖の先端を将校へ突きつける。

「……小手先かどうか、今すぐバラバラに解体して確かめてあげるわ!」

「大事なお兄様を勝手に動力炉の燃料にした罪……生徒指導室の始末書1万枚じゃ済まさないから覚悟しなさいッ!」

巨神機が両目と胸部から極大の古代魔力レーザーを掃射しようと、空間を歪めるほどのチャージ音を響かせる。

ノアが端末を展開し、無数の観測ドローンを巨神機の周囲へ一斉に射出。

アイラの号令の下、生徒会各員がそれぞれの配置へ散開し、力押しではなく「機能停止と解体」へ向けた戦術機動を開始する。

「ノア、急所を暴きなさい! セナ、リサ、外堀から埋めるわよ!」

「了解! 巨神機の魔力循環ログ、強制スキャン開始します!」


頭上を飛び交う観測ドローン群から送られる魔力波形データを、ノアが黒革の端末上で猛烈な速度でフリック解析。

空中に展開された立体スキャンホログラム上に、巨神機の魔力循環ルートが血管のように赤く浮かび上がる。

「解析完了! 胸部カプセルへの強制過負荷ラインは両肩の『古代排熱バルブ』と直結しています! ここを塞げば胸部への逆流ショックを遮断できます!」

胸部カプセルのギルバートへ向けて、古代炉から逆流しようとしている過負荷エネルギーの循環バイパスを特定する。

「さらに右膝の主駆動シリンダー! あそこの魔力供給が途絶えれば、自重を支えきれずに姿勢が崩れます!」

「上出来よノア! セナ、両肩を潰しなさい! タクト、リサ、セリア先輩は足元よ!」

私の号令と同時に、セナが影分身を散らしながらドーム壁面の配管や鉄骨を跳び移り、一瞬で巨神機の頭上へ駆け上がる。

巨神機が頭部レーザーで迎撃しようとするが、セナは身軽な空中機動で紙一重で回避。

両手の指先から放たれた極細の「高伝導魔導ワイヤー」が、巨神機の両肩にある古代排熱スリットの内部ファンへ何重にも巻き付く。

ワイヤーの張力でファンを強引にロックし、内部の排熱機構を物理的に焼き付かせる。

「お人形さん、肩凝りにはコレが効くよ〜! ガチガチに固まってな!」

両肩からプシューッと異常な黒煙と高熱の火花が噴き出し、胸部カプセルへ流れ込もうとしていた赤黒い逆流魔力がピタリと遮断される。

肩を押さえられてバランスを崩しかけた巨神機が、右足を踏み鳴らして生徒会を押し潰そうとする。

タクトが即座に割り込み、『二重偏向障壁』を滑り込ませて踏みつけの衝撃を横方向へツルリと受け流す。

踏み抜いて軸がブレた巨神機の巨大な右膝へ向け、リサが床に手を叩きつける。

「『氷葬連環アイス・バインド』!」

の詠唱とともに、右膝の古代シリンダーと関節部が一瞬で超低温の氷柱に覆われ、金属組織がカチコチに凍結する。

そこへ、セリアが優雅にスカートをひるがえし、紫の蒸気を放つ特製フラスコを3本同時に投擲。

「ふふ、急速冷凍した古代合金に強酸性の酸化触媒を流し込んだら……どうなりますかしら?」

アンプルが凍りついた関節部で割れた瞬間、バキバキと急激な化学反応が起き、数千年耐え抜いた古代金属がまるで湿ったクッキーのようにボロボロと崩れ去る。

「うわ、エグい! 凍らせてからの強制風化……!」

タクトが言う。

「薬品の使い道は適切に、ですわ。さあ、お倒れなさいな!」

右膝の支持を完全に失った巨神機が、自身の数十トンの自重に耐えきれず、「ズドォォォォンッ!!」と地響きを立ててその場へ片膝をつく。

ドームの床が大きくひび割れ、頭上のキャットウォークが激しく軋む。

膝をついたことで、胸部コアと囚われのギルバートの位置が、地上から手が届く低高度へと一気に降りてくる。

しかし、巨神機の胸部古代炉は暴走モードへと切り替わり、赤黒い光をカプセルごと膨張させ、全方位自爆・殲滅波のカウントダウンを開始する。

「右脚機能停止、巨神機の体勢崩落を確認! ……ですが古代炉が暴走励起を始めました! カプセルごと吹き飛ばす気です!」


片膝をついた巨神機の胸部コアが、ドクン……ドクン……と心臓の破裂寸前のような甲高い共鳴音を撒き散らしながら膨張する。

赤黒い古代魔力光がカプセルを包み込み、地下ドーム全域の空気が摩擦熱でチリチリと発火し始める。

天井の岩盤が耐え切れずに亀裂を広げ、鉄骨がバキバキと崩落していく。

「古代炉の魔力臨界圧、限界突破まであと4秒! ドーム全域を巻き込む自爆規模の殲滅魔力波が放たれます!」

「クハハハ! 終わりだ! 貴様らも、我が至宝も、あの生意気な騎士もろともここで灰になれェッ!」

カプセルの中でギルバートが意識を手放しかけ、力なく項垂れている。

「勝手に終わらせてんじゃないわよ! タクト、足場! てっぺんまでぶん投げなさい!」

「了解っす! 一番高いところまでブチ上げます!」

タクトが両腕の青銀の魔導腕甲を天へ突き出し、魔力を最大励起する。

巨神機の胸部へ向けて、空中に角度を計算した3枚の偏向障壁『空中多段偏向障壁アクセルステップ』を階段状に展開する。

アイラが装甲車《スレイプニル改》のルーフを力強く蹴り、1枚目の障壁へと飛び乗る。

「ドォン!」と反発魔力を受けて初速が跳ね上がり、すぐさま2枚目、3枚目を踏み抜く。

「バシュゥゥッ!」と音速の壁を突破する衝撃波がドームの空気を円形に吹き飛ばし、アイラの身体は天井すれすれの最高高度へ一気に到達する。

「三段全開! いっけぇぇぇ、アイラ会長――ッ!!」

「お兄様――今すぐそこから引きずり出してあげる!!」

ドームの天井付近で身体を反転させたアイラは、空中に不可視の『瞬間凝固』の足場を生成して全力で踏み込む。

重力、落下エネルギー、反発初速のすべてを右手の『魔導指揮杖』の切っ先へ一点集中する。

狙うはカプセルそのものではなく、胸部装甲と古代炉を強引に繋ぎ止めている「結合フレームの極小ポイント」。

「なっ……!? 上空から……!? 馬鹿な、そんな速度で突っ込めば本人ごと砕け散るぞ!」

「私の生徒指導を舐めないで! 他人の家族を勝手に燃料にした罪、骨の髄まで反省しなさい――ッ!」

「――『絶対凝固・全校集会指導』ッ!!」


音速を超える彗星となって急降下した指揮杖の一撃が、巨神機の胸部古代炉の結合部へ寸分の狂いもなく直撃する。

「パリィィィンッ――!!」と巨大なガラスが割れるような破砕音がドーム全体に轟く。

幾重にも張られていた古代魔導障壁が飴細工のように砕け散り、直後に暴走エネルギーの核が『瞬間凝固』の余波によって一瞬で結晶化。

ドゴォォォンッ!という衝撃波とともに古代炉が内部から破裂・粉砕され、赤黒い光芒が完全に掻き消える。

巨神機は全身の古代紋様をプスンと消灯させ、完全沈黙して前方に崩れ落ち始める。

「ば、化け物か……!? 神代の炉を……拳一つで叩き割りおった……!?」

吹き飛んだ強化ガラスのカプセルから、拘束を解かれたギルバートの身体が空中に投げ出される。

私は空中で身を翻しながら叫ぶ。

「タクト! お兄様を受け止めなさい!」

「任せてくださいっす!」

胸部カプセルの粉砕とともに、空中に投げ出されて落下するギルバート。

タクトが即座に駆け込み、両腕の魔導腕甲から淡い藍色の光膜を展開する。

反発係数を極限まで落とした『多層偏向クッション』を滑り込ませ、ギルバートの身体をふわりと無傷で受け止めて床へ着地させる。

私は身軽に着地し、埃を払う暇もなく膝をついて兄の元へ駆け寄る。

「キャッチ完了! 外傷なし、受け止めましたよ!」

「お兄様……! お兄様、聞こえる!? 私よ、アイラよ!」

セリアが駆け寄り、ベルトポーチから深紅に脈動する「即効性魔力賦活剤」を取り出してギルバートの首筋へ投与する。

「古代兵器による魔力吸収ショックを中和しましたわ。もう命に別状はありません」

白銀の純粋魔力が全身を巡り、青白かったギルバートの頬に赤みが戻る。

「……アイ、ラ……。本当に、来てしまったのか……」

ゆっくりと深紅の瞳を開けたギルバートが、目の前で半泣きになりかけている私を見上げ、掠れた声で小さく息を漏らす。

「あったりまえでしょ! 誰のせいでこんな極寒の雪原まで走らされたと思ってんのよ、この大馬鹿お兄様!」

「……すまない。だが……見事な指揮と一撃だった。誇りに思うぞ、我が当主殿」

震える手袋の手を持ち上げ、優しく妹の頭にぽんと手を置く。

私は恥ずかしくなって顔を背けて涙を拭い。

「……ふん! 帰ったら始末書とお説教、覚悟しなさいよね!」

足場となっていたキャットウォークが巨神機の崩壊に巻き込まれ、瓦礫とともに床へ転落していた将校。

血まみれになりながら這いずり、非常用脱出ハッチへ逃れようとする。

「く、くそっ……離せ! 貴様らなど軍法会議で死刑にしてやる――」

背後の影からセナが音もなく滑り込み、魔導ワイヤーで両手足を床に縫い止める。

「往生際が悪いよおじさん! 悪役のセリフとしては0点ね!」

リサが歩み寄り、冷徹な一瞥とともに床へ指先を向けると、将校の首から下がガチガチに氷結拘束される。

ノアが黒革の端末を操作し、通信画面をホログラム投影する。

「これにて査察完了。国家反逆および古代兵器不正運用の現行犯として、あなたを拘束します」

「ば、馬鹿な……我が軍部強硬派の悲願が……こんな学生どもに……ッ!」

ドームの天井の亀裂から、戦いの終わりを告げるように朝の光がひと筋差し込む。

ギルバートがタクトに肩を支えられながら立ち上がり、生徒会メンバー全員と視線を交わして短く頷き合う。

「さ、任務完了っすね! 早く帰って温かいもん食いましょう」

と、タクトが言う。

「アタシ、帰ったら絶対コタツでアイス食べるー!」

テンションの高いセナ。

「ふふ、お茶会の準備ならいくらでもいたしますわ」

「ええ。ですがその前に、公爵家と演習場破損の『特務実習事後報告書』が待っていますよ、会長」

「うっ……それ今言う!? ま、いいわ! 大事なお兄様も取り戻したし、全員満点で実習クリアよ!」

私は魔導指揮杖を肩に担ぎ、埃を払いながら仲間たちへ最高の笑顔を向ける。

「さあみんな、私たちの温かい生徒会室へ帰りましょう!」

「「「了解イエス・プレジデント!!」」」

一同が揃って《スレイプニル改》へと歩み出し、帝都への帰路につく。


雪煙を上げて走り去る《スレイプニル改》のエンジン音が、晴れ渡った北方の白銀の空へと響き渡る。


あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜無事終わってよかった

終わらないかと思った正直第五章。

今まで書いてて一番辛かったです、なんでって?戦闘シーンが長いから(死んだ目)

戦闘シーンは漫画で描くのも苦手だし、小説で書くのも苦手です……

お見苦しいところもあったと思いますが、ここまでお読みいただきありがとうございます!

第六章はちょっと肩の力抜いてお読みいただける内容にしようと思っていますので、気軽に読み進めていただけたらと思います!

ともかく!第五章完結!ありがとうございました!

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