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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
98/313

98.女性は強い

 昼過ぎ、村まで行くと、村の男の人達はこちらに怯えと敵意の視線を向けながらこちらを見ている。

 荷台から女性達が降りていく、形ばかりにしか見えない喜びの様子が見えるけれど、女性達の目は非常に冷たい。

 頬をはたく高い音がした。


「村を出て行きます。 私達はあなた達の都合の良い道具じゃありません!」


 強い意志を感じる言葉に、やっぱり女性は腹が据わると強いと思う。男もそりゃ腹が据わると強いけれど、その覚悟を決める速さが違うというか、切り替える速さが全然違う。


 さすがにカイも目を大きく瞬いて驚いている。

 何人かでまとまって家に入ると数分して荷物をまとめて出てきた。それを数回繰り返しているなか、一人の女性がカイの前に歩いてきた。


「数日中には自活できるようにいたしますので、少しの間ですが、よろしくおねがいします」


 笑顔を浮かべ丁寧に頭を下げている女性達を見て、さすがのカイも少し引き気味だ。


「あっ、あぁ わかった。 荷物と一緒に後ろに乗れ」


 肩や腕、酷いと髪を掴んで止めようとしている男も居るけれど、他の女性が引っ叩いたり囲んだりして、つれてきている。

 腹が据わった女性の集団は怖いとはいうけれど、この目で見るとぞっとしてくる。

 やっぱり女性って怖いわぁ。


「うるせぇ! てめぇわ俺の言うことを聞いてりゃいいんだ!」


 怒鳴り声に視線を向けると、夫だと思う男が鉈みたいな物を振り上げて脅している。

 弱いものには強い。勝てるものにも強い。人間なんて大体そんなものよね。前世でも会社でそんな上司も居たし、DVもニュースになっているし、この辺は冷静に見ていられる。

 狙いを定めて機銃で鉈を撃ち抜く。


「ひっ!」


 男は腰を抜かせてその場に座り込んだ。言葉の説得なら手出しはしない。

 申し訳ないけれど、脅しや暴力に訴えるならこちらも訴えさせてもらう。


「ほら、がんばって」


 他の女性が、脅されていた女の人の手を取ってこちらに連れてくる。


「カイ、これどうしよう?」


 小声でカイに尋ねる。


「さぁ、どうしたものだろうか。 ここまで行動的とはオレも思わなかった」


 カイも、昨夜話しただけで、今日ここまで行動的になるとは考えていなかったみたい。

 それにしても、着替えとか料理道具とかどんどん積み込まれていくんだけど、これって出ていくんじゃなくて、引越しってレベルになるんじゃ。

 それに荷台が一杯になり、何人かが乗れなくなったんだけど。


「ちょっと失礼しますね。 みんな少しずつ詰めて」


 戦車の車体に何人かが上がってくる。

 うん。考えを訂正しよう。覚悟を決めた女性はこの世界でもとっても強い。

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