96.討伐
全ての機銃と87式で対空機銃の平射撃ちを行う。さすがに目は急所らしく、腕というか前足と言うか、それで両目を覆うように防いでいる。
5mくらいまで接近して再び主砲の狙いを定め発砲。
砲弾は赤いドラゴンの右腕に突き刺さり、血が流れ出しだらりと垂れ下がる。それなりに効果はあるようだけれど、これだけ近付いてやっと効果があった。
もう倒すには零距離で口に撃ち込む以外方法がない気がする。
再装填を待っている間も87式の対空機銃平射撃ちで時間を稼ぐけど、途中で弾が切れ射撃が止まってしまう。いくら弾薬の自動供給スキルがあっても、連射速度に追いつかなかったみたいだ。
「グォォォォ!」
赤いドラゴンは雄叫びを上げ、左腕をこちらに振り下ろした。
激しい音と共に地面にめり込む感触と、履帯や駆動系の車輪が全部壊れた感覚が走る。
「だぁぁぁぁ!」
気合の声をあげながら、壊れるんじゃないかと言うくらいエンジンを回転させ、念動力で赤いドラゴンの口を開かせる。それでも力負けしそうになり、口に砲身を突っ込む。
暴発する可能性など忘れ、そのまま主砲を発砲。
赤いドラゴンの頭部を貫きはじけ飛ぶ。
その途端違和感と共に力が抜け、エンジンの動きが止まった。
無理をし過ぎたためにエンジンが壊れてしまったみたいだけれど、ドラゴンも倒す事ができた。頑丈で強いケーニクスティーガーになって、安全で危険なんてないと思っていたけれど、やっぱりファンタジー世界の凄い生物相手には最新戦車じゃないと戦うのは難しいみたい。
ようやく一息を付いて、87式で逃げ出そうとする教団員をし止めながら女の子の様子を窺う。
静かだと思ったら、女の子は気絶していた。グリーンドラゴンに襲われたり、赤いドラゴンと危ない戦いをしたし仕方ないか。
気絶していたおかげでトラウマになってないと思うし、これもまだよかったのかな。
動く教団員が誰一人居なくなり、そのまま少し休んでいると、女の人達を連れてカイが屋敷の入り口から出てきた。
「そちらも終わったか。 だが随分とやられたな」
こちらの様子を見て少し驚いているようだけど、カイの後ろにいる女の人達は毛布や布で体を覆っているだけで、もっと状態が悪そう。
「リョウ、辛いところ悪いが、女達を乗せることが出来る姿になってくれ」
自分は車体を変更すれば辛さはなくなるから、大丈夫と言いたいけれど、他の人達がいるからとりあえず黙っておこう。
それよりも死体だらけのここを早く離れて、気絶している女の子を起こして家族と再会させてあげないとね。




