94.教団支部
木製の門が大きな音を立てて壊れ、警備していたと思われる信者が集まってくる。
「襲撃だ!」
「ゴーレムが二体居るぞ!」
「爆裂魔法を使っている! 魔道士を呼べ!!」
武器を持って集まってくる人達を同軸と砲塔上部の機銃で撃ち抜き、主砲で噴水や集団で固まっている所を吹き飛ばす。
「きゃぁ!」
車内に女の子がいるとなんとなく締まらないというか、主砲の発砲音は轟音だから耳栓していても煩いもんねぇ。
「「「ファイアボール!!」」」
いくつもの大きな火の玉が車体にぶつかり弾ける。小さな爆発音が連続して響き、車体がほんの少しだけ揺れる。
「きゃぁぁぁ!」
女の子はさっきの悲鳴よりもさらに大きく、外に漏れてしまうほどの声をあげてしまう。
「中に術者がいるぞ! 攻撃を集中しろ!!」
いままでは遠巻きに攻撃していたのに、ハンマーや斧を持ってどんどんこちらに集まってくる。
遠隔操作のティーガーには破壊した門で陣取ってもらい、逃げ出そうとする人達を誰も逃がさず、断末魔の絶叫を上げながらただの肉の塊に変えていく。
そんな声が響くなか、女の子は耳を押さえ目を瞑って震えている。
少し気をつけたほうが良いかも知れない。本来の自分なら女の子みたいな反応に近いはずなのに、この世界で、なんていうか慣れたくはなかったけれど、生命を奪うことに躊躇がなくなってきている。そして吐き気を催さなくなってる。
自分をしっかり持っておかないと、自分が自分でなくなっていくような、前に感じたようにただの兵器になっていってしまう。そんな気がして怖くなってきた。
鉄を激しく叩く音が響き、考え込んで動きが鈍っていた事に気付いた。念動力で車体を叩いていた三人を掴み、上空に放り投げる。申し訳ないけれど、アルスト教団の人は誰一人生かして置くわけにはいかない。
「くそっ! ドラゴンをだせ!!」
やっぱりここにも居た。だから冒険者とか傭兵の人に依頼できないってカイが言ってた。人が相手にするにはかなり辛いらしい。
屋敷の左右にある大きな小屋から一匹ずつ緑色のドラゴンが現れる。小さな翼で飛べるのか良くわからないけれど、今までよりも大きいドラゴンは、戦車の自分よりも大きく鋭い爪と牙が恐ろしい。
だけど、今回は車内に女の子がいるし、出来る限り攻撃を受けないように戦わないと。
主砲の照準を左側のドラゴンに合わせ、遠隔操作しているティーガーには右側のドラゴンを狙わせる。
「ゆけ! ゴーレムを叩き壊せ!!」
教団員の命令を受け、二匹のドラゴンが雄叫びを上げこちらに向ってくる。




