89.旅費入手
荷降ろし出来る場所に移動すると、イスとテーブルを持ってくる。
「どうぞ」
カイが椅子に座ると、向かい側に四人の商人が席に付いた。
「それではお話の続きですが、こちら布を売っていただけると言う事ですが」
「そちらが最初に提示する金額次第だ。 足元を見るつもりなら売らん」
こう言う交渉は有利だと思ったら、最初は強めに出た方が良いらしいけど、どうなんだろうか。このタオルというか布を取り扱えるのは自分だけなんだけど。
「それでは……、この布1枚に銀貨1枚で」
「縁がなかったようだな」
カイが席を立とうとすると、三人の商人が慌て出す。
「失礼しました! 銀貨3枚!!」
「5枚だ」
カイが言う値段はさすがに高過ぎる気がする。これ日本円だったらたぶん一束1200円くらいだろうし。
「さっ、さすがにそれでは」
「銀貨8枚か10枚で売るのだろう? オレを甘く見るな」
3人かの商人の人達は苦い顔をしているけれど、たぶん商会長?らしい人はずっと何も言わず笑顔を崩さずにいる。こういう感情を見せない人は、前世でもやり手だったけれどどうだろうか。
「なるほど、それではその金額であれば当商店に多くお売り頂ける、ということで宜しいですね?」
商会長らしい発言したけれど、相変わらず柔和っぽい笑顔を向けている。
「……まぁそうだな」
「では、銀貨6枚お支払いいたしますので、この布を全てお売り頂きたい」
あぁ、専売にして高値で売るつもりだなこの人。それでも問題はないから売り払ってしまえば良いかな。
「良いだろう。 少し待て」
カイがイスから立ったのでハッチを開いて中に入り、タオルの束を次々車内の外に積み上げていく。
10枚の束を500個だから、銀貨3万枚くらいかぁ。金貨に直すと30枚だけど、これだけだとまだ足りないかな。
「白とベージュのシーツを売ればお金になるんじゃないかな。 かなり吹っ掛けちゃえば良いと思う」
小声で伝えるとカイは頷いてくれた。
急いで梱包されていた袋から取り出し、丁寧に折りたたんでおく。
全てのタオルの束を出した後、2色5個ずつ持って車体から出て行った。
「さて、まずは買取の支払いをしてもらおうか」
下働きの人達がどんどん運んでタオルのヒモを解いて枚数を数えている。
「すぐお金を用意致しますので、お待ちください」
カイがテーブルの上にシーツを置く。
すぐに商会長らしい人は目に留めじっくりと眺めている。
「これは、一枚金貨5枚だが、買う余裕はあるか」
高っ!さすがに自分が言った事だけど、さすがに吹っ掛けすぎじゃ!?
さすがに一瞬商会長らしい人の眉間が動いたけれど、
「まずは調べさせて頂きたいのですが、宜しいですか?」
「構わない」
他の3人と一緒に白とベージュのシーツを広げて調べ始める。
「これは、素晴らしい手触りです。 色も均一で美しい」
「ふむ、これだけ大きければドレスも作れましょう」
「この淡い色も綺麗です。 これならどこにでも卸せるかと」
あ~、やっぱり。この世界の人たちの服が、ちょっと見たところあんまり出来がいいものじゃなかったから、ふと売れるんじゃないかと思ったけれど、タオルやシーツでもとっても高くなるなら当分はこれで行けそうかな。
でも、こうなると前に少年冒険者がマントにしたブルーシート、とんでもない事になってなければいいけど。




