83.口実
やっぱりそれなりの戦車であればドラゴンくらいならなんとかなるみたい。これでちょっとは自信が付いたかな。
「……逃げろ! 屋敷に戻れ!!」
屋敷から離れて探索して居た人たちも、ドラゴンがやられたとわかり屋敷に戻ろうと走り出した。
逃がさないようひたすら機銃で撃ち倒していく。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
絶叫のしたほうを見ると、屋敷の入り口から数人を縛り上げ、引き摺りながら邪魔となる信者を切り捨てているカイの姿があった。
「リョウ! やれ!!」
残念だけど、幹部を捕まえたカイの考えではもう他の信者は不要みたい。
殺さないように非致死性ゴム弾を使っていたけど、あの機嫌の悪い声からして相当酷い事をしていたんだろうなぁ。
「……ごめんなさい」
小さく謝罪の言葉を述べ、機銃弾を通常弾に変更、まだ逃げようとしている人達を撃ち殺す。
恐怖に顔を歪ませ動けなくなってしまっている人も、何かに必死に祈っている人も、体を貫き部分的に肉の塊に変えながら、
カイも引き摺っていた人達から手を離し、剣を振るい次々切り倒していく。
全ての信者を倒して静かになったところ、ゆっくりカイの近くまで行くと機嫌が悪い所かその表情には怒りが満ちている。
「あの、なにが」
「ダルマだ」
「え?」
「ダルマだ!」
一瞬何かを言っているか分からなかったけれど、理解すると同時に吐き気と共に怒りがわいてきた。
ただの性奴隷として四肢を切り落すなんて、女を捨ててるカイとはいえ感情を逆撫でするのは当然だし、自分だって沸々と怒りがわいてくる。
前の神殿でも女性を慰み者にしていたし、教徒以外人としてさえ扱わないなんて、ただの害悪じゃないか。
怯えている幹部らしい信者達の下に行く。
「貴様らの全支部と本部の場所を言え」
「だっ誰が、貴様のような不浄なものに!」
「ほう。 そうか」
カイは無表情で一人の手のひらを踏みつけるとそのまま踏み潰した。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
「女は性奴隷、男は家畜、あれだけの事をしておいて、まともで居られると思うな」
あれだけ? 設定の中で軍の将軍だったカイがあれだけってどれほど、でも男は家畜ってまさか食べて。
だめだもう思考が追いつかないし、出来れば考えたくも無い。
思考を停止させている間にカイは次々と情報を聞き出しては始末していく。
「ねぇ。 カイ」
「なんだ」
「人ってどこまで堕ちるんだろうね」
カイは始末を終え、剣の汚れを落としていた。
怒りに満ちていた表情から、悲しそうな表情に変わった。
「……口実があればどこまでも落ちる。 逃げる口実、戦う口実、殺す口実、虐げる口実、自分と言う芯が無い奴らなどそんなものだ。 リョウ、自分を見失うな。 必要であれば狂うのが戦士だが、それが常になればもはや人ではなく獣だ」
カイのどこか自嘲しているような言葉に、自分がまだこの世界で多くの事を覚悟できておらず、順応できてないことが分かる。
もっと自分自身しっかりしないと。




