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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
73/313

73.信仰の代わり


「リョウ、オレの言ったとおり道を進んでくれ」


「わかったよ」


 眼を瞑ったカイの言葉に従って 町の道路を右や左と進んでいくと大きな倉庫の前についた。


「この先だな」


 倉庫の扉は少し開いており、中が覗ける状態だった。入り口の前で止まると、カイは倉庫の前にたって少し扉を開けた。

 中には大きな台車みたいなものに、沢山の装飾がされたタワーみたいなものが作られている。高さは5mくらいはあるかな。


「おや、旅人かい? パーティーは来週ですよ?」


 少し年老いた婦人が布を片手にタワーみたいなものを拭いていた。落ち着いた雰囲気で丁寧に拭っているし、この作業になれているっぽい。


「あぁ、すまないがこれは一体なんだ?」


「これですか? これは年に一回のパーティーの時に使うものですよ。 ちょうど来週に行われるんです」


 カイはタワーの頂点にある小さな家の飾りを見ていた。もしかしてあれが神棚みたいな役割をしているのかな。


「随分、古いもののようだな」


「えぇ、もう150年くらい前から使われているんですよ。 古くなって読めない文字や、無くなった装飾もありますけど、パーティーの日にはこれを必ず中央に飾るんですよ」


 もしかしてこれって、日本の盆踊りみたいにタワーを中心に踊ったり騒いだりするのかな。もしそうだとしたら、それが信仰の変わりになっているとか。


「パーティーとは、初めて聞いたがどんなものだ?」


 それから昔話とか家族の話とか色々脱線しながらも、婦人の話でわかったことはためになった。

 150年以上前からこの町では、年に一回台車のタワーを町の中央広場に移して、お酒を飲んだり踊ったりしている。前は歌もあったけど、酷い戦争があったらしくて、歌い手が途切れてしまったそうだ。音楽だけは伝わっていても、文字が古くて掠れて分からなくなってしまって、誰も歌わなくなってしまったということらしい。


「そうか。 邪魔をしてしまったな」


 そういうとカイは倉庫の入り口から車体に乗った。とりあえずゆっくり走り出してその場を離れる。

 それにしても年に一回の大規模パーティーって、それが神様を信仰していた時の名残として形を変えて残っていたのかな。だから信仰はないけど、パーティーとして名残があったので神様が残っていたみたい。パーティーを元のお祭りに変えてしまえば、これはこれで良いのかな。

 でも、それはどうすればいいんだろう。

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