65.謀
「まぁいい。 聞きたいこともあったから態々ついてきてやった」
鞘から抜かないまま剣を握ると近くまで来ていた男を叩き伏せる。
結局武力を持って終わらせる為に罠に飛び込むなんて、カイのこの考え方はなんとかしたほうがいいなぁ。対応しきれない何かが起きた時大変な事になるし。
旋回しながら非致死性ゴム弾を装填した機銃を撃とうとした時、背後に迫っていた一人が履帯に巻き込まれ車体の下に引っ張り込まれる。
「えっ、ぎゃぁぁぁぁぁ!」
うっ、後方旋回中に一人巻き込んで踏み潰した。全車重が掛かり骨ごと人間を踏み潰す感触に、以前踏み潰したワイバーンやゴーレムとは違う気持ち悪さを感じる。
気を紛らわそうとカイのほうを見ると、極力殺さないで剣の鞘で打ち据えている。それでもちょこっと見る限り強く打ち据えすぎて、へんな方向に人間が折れ曲がっている人がいるけど、生きているのかなぁ。
盗賊達よりはずっと数が少なくて、5分もかからずすぐに片がついた。
「くそっ!」
逃げ出そうとしているギルド長に非致死性ゴム弾を撃ち込み転倒させると、カイは囲っていた者達が持っていた剣を掴み、ギルド長の足に突き刺し逃げれないようにしてしまう。
「さて、色々吐いて貰おうか」
「わっ、私にこれ以上何かをしてみろ! ただではすまんぞ!!」
「何を言っている。 何も話さずに生きていられると思っているのか?」
「ひっ!」
その場に落ちていたナイフを拾うと両手に突き刺し、悲鳴を挙げている中さらに剣を拾うと残る一本の足にも突き刺した。
無言で淡々とやるところが非常に怖い。話さなければどんどん苛烈化していくことが嫌でもよくわかる。法治国家というシステムが出来上がる前だから、拷問して聞き出した情報だって信頼性と言うものがあると思うんだけど。
カイは槍を拾うと急所に向けた。
「盗賊も衛兵にも話を通したのは私の指示だ! 全部私がまとめあげた!!」
まぁ気持ちは分かる。手足は厳しいけど男の象徴を潰されると話は別となるよな。今の自分にはそんなものはないけど。
「記録水晶の前でもう一度言え」
カイが小さな水晶みたいな物を取り出したけど、いつの間にあんなものを買ったんだろう。
「私が盗賊に動かし、衛兵にも賄賂を流して話をつけた! 盗賊からは上納金を受け取っている! もういいだろ! 命だけは助けてくれ!」
つまり衛兵隊と結託して盗賊を意図して放置、ギルド 黄金の竜が元締めとしてお金を貰っていたわけね。これだけ立派なギルドを維持するにはお金もかかるし、それなりに大変なのは一応理解できる。でもこんなことに気付かない町の管理者もかなり大概だし、どうなっているんだろう。
「命くらいは助けてやる。 裁くのは曲りなりにもこの町の連中だ」
槍の反対側で殴りつけるとギルド長を気絶させてしまった。これで一応この件は終わりかな。




