64.都合
捕まっていた人達には残っていた荷馬車2台に載ってもらい、ゆっくり牽引しながらダカツの町を目指す。
荒れた道なので酷くゆれているみたいだけど、それでも何人かは安心した表情を浮かべて眠っている。
冒険者の子は荷馬車の一番後ろを着いて歩いているけどやっぱり顔色が悪い。家族もいなかったみたいだし、災難いうしかないのかなぁ。
翌日ダカツの町の入り口に到着すると、カイが衛兵を呼びつけ事情を伝えた。
「盗賊が30人もか。 このまま待っていろ」
「捕らえられていた人数も多い。 自分で歩ける奴はこちらへこい。 手が空いてる奴は歩けない奴に手を貸してやれ」
それなりの騒ぎになったけれど、さすがに拒否する事は無く、盗賊達の引取りと捕まっていた人達の受け入れをしてくれた。
でも、衛兵の人たちの表情が良くない。こちらを睨んでいるし、盗賊の人達を捕まえたのは余り歓迎されていないような感じがする。
そんな歓迎されていない空気の中、大通りの方からこちらに走ってくる人がいる。近くに立ち止まると、小さな書面を開いた。
「黄金の竜 ギルド長が話をしたいと言っている。 付いて来るように」
「お前は付いてくるな」
カイはそう言うと冒険者の子に着いてこないようにさせた。
そのまま機嫌が悪そうな表情のギルドの使いに着いていき、案内と言うには少々荒っぽい言葉だけどギルド 黄金の竜に案内される。町の大通りに面した大きなギルドで、金や銀などで装飾された随分と悪趣味な外観をしていた。
それに入り口の前では10人近い冒険者がたむろしているし、みんな人相が良くない。前にカイが叩き出した蒼転の剣 ギルドとは違うし、これは別の意味で睨んでいるっぽいなぁ。
「では応接室の方へ」
「いや、裏庭で聞かせてもらおうか」
「しかし、ギルド長は」
「裏庭で聞かせてもらうといっている。 それとも何か問題でもあるのか?」
「いえ、そんなことは……。 では裏の広場でお待ちください」
一応自分も参加できるようにカイが言ってくれているのかな。それとも他に何か理由があるのかも。使いの人は睨む表情を隠す事も無くギルドの中にはいっていく。その間に裏に回ると沢山の冒険者が集まっていた。何か物々しい感じが漂っていて、何かあんまり良くないことに備えているような気がする。
そのまま裏の広場の端で少し待っていると、本で見たような貴族みたいに服に沢山装飾がついた威厳がありそうな男が出てくる。ぽっちゃりどころかでっぷりした体格に、蒼転の剣のギルドマスター達とぜんぜん違う。現場タイプではなくて内務担当とかそんな感じかな。戦えるようにはまったく思えない。
「お前が盗賊共を捕らえたのか」
言葉使いも偉そうというか、人を見下しているような感があるなぁ。それに取り囲むようにギルドの人達や冒険者、そして広場に居た人たちが集まってきている。これはやっぱり面倒事だ。
「そうだ。 大体殺したが30人ほどは引き渡したはずだが」
「面倒な事をしてくれたものだ。 どれだけ手間がかかると思っている」
囲っていた人たちが武器を握りしめ、逃げ場がなくなってしまう。
これでようやく色々理解や疑問が繋がった。長い事依頼を誰も完了していないのも、この町の入場料が非常に高いのも、あの盗賊の人達は町というか、このギルドや衛兵達とグルだったわけね。
盗賊から町を護る為に入場料は高くできるし、依頼を出すだけ出して正しい情報がなければ盗賊も見つからないし、規模があれだけ大きい盗賊団なのだから、普通の冒険者グループなんて捕まるか殺されるのが落ちだし、盗賊から上納金と言う形でギルドにもお金が流れていたはずだよねぇ。




