63.惨状
村はずれにある家は壁こそしっかりしているだけで、屋根は雑草が生えたりしていてあんまりいい状態に見えない。
においを感じることは出来ないけど、近付いていくと冒険者の子が鼻元を手で押さえている。死臭じゃなければいいけど、それにしてもカイは気にする様子もなく、扉の外側にあるかんぬきを外してカイが開ける。薄暗い中からは何かが動く姿が見えた。
基本的に自分は肉眼じゃないのではっきりみえるけど、中に居る人の姿は青あざだらけで服もボロボロでやせ細っている。ろくな扱いをされていなかったみたい。
「リョウ、盗賊の連中が殺されないよう荷車に押し込むのを手伝ってくれ」
開放されてまだ余り動けないけど、元気になったら報復で殺してしまうかもしれない。カイの言うとおり、近くにあった荷馬車を牽引しながらカイに縛り上げられ、その辺に転がされていた盗賊を詰め込んでいく。思ったよりも倒していたらしく、ぎゅうぎゅうに詰め込んで30人くらい荷馬車に座り込んでいる。全員ロープで繋いであるけど、大丈夫かなぁ。
「終わったなら無事な荷車を探す。 奴隷だった人達を連れて行かないとな」
村の中を探しまわって無事な荷馬車を3台と水や食べ物を集め、再び村はずれの家に戻ると何人かの人達が家の外に出ていた。でも歩き回る元気もないみたいで、つかれきった顔で家の前に座り込んでいるだけ。
「リョウ、食べ物と水をおろしてやれ」
言われたとおり集めた食べ物や水を荷車からおろし、家の外に出ていた人達に渡していく。
その間にカイは家の中から一人ずつ奴隷にされていた人達を連れ出していた。
見ないようにしていたけど、女の人はなんていうか形容しがたい。何をどういえばいいかも分からないけど、性奴隷として好き勝手にされていたみたいで、男よりも眼が虚ろで青あざも多い。服も着ていない人までいるし、本当に人として扱われていなかったみたい。
「う…あ…」
精神が壊れちゃっているのか、何人かの女性は言葉にならない声を出して震えている。
盗賊の人たちを捕らえたけど、これ助ける必要あったかな。ここまで酷い事をする人を、法律で裁く必要なんてあるかな。
冒険者の子は遠めに見ているだけで、何も出来ずにうつむいている。酷い状況に耐え切れず、なんどか吐いてしまっている、トラウマにならなきゃいいけど。
「リョウ 毛布をありったけだして女たちにかけてやれ。 オレは着る物を探してくる」
車内においてある複数の毛布を取り出し、何も着ていない女性に掛ける。何人かはそれで身を覆うけど、やはり精神的に壊れちゃっているみたいな人はそれもできず、まだ少し余裕のある人が手を貸していた。




